『三高』、激化
「懐かしいな」
「あん?」
現在地、三座川高校グラウンド。
向かい合うのは、傷だらけの二人。
「昔から俺たち、何かあるたびこうやって殴り合ってたよなぁ」
「あー」
『時刻』・時宮仁時、『職人』・伊田詠時。
幼馴染である二人の、幼い頃の話。
「おやつの最後の一つをどっちが食うかとか」
「どっちが晩飯の肉を多くもらうかとか」
「あと」
つぶやくように言った後、仁時が自嘲するように笑う。
「どっちが先に、灯熾に告白するかとかな」
しばしの沈黙。
それから、どちらともなく笑いだす。
「それで二人ともフラれてんだから世話ねーや」
「全くだよ、あほらしい」
「本当、あほらしい」
そんなことを言い合って、笑い合う。
踏み込んだのは同時。手が出たのも、ほぼ同時。
クロスカウンター。
「うわっ」
聞こえた声は、その場にいた二人どちらかのものではなく。
殴り合っていた二人は、手を止めてそちらを向いた。
「灯熾?」
「仁時、詠時! あれ!」
校舎の方から駆けてきた灯熾が指差したのは、校門の方。
そこに広がった光景に、仁時と詠時は、二人そろって顔をひきつらせた。
「空気がだいぶ、混沌としてきましたね」
現在地、屋上。
『審判』・東條飛鳥と『極神』・竜崎帆風が戦闘を繰り広げる場所。
ふいに、戦闘を見守っていた『百式』斑鳩奈音が、呟いた。
「どうしたの、奈音さん」
「言われた通り、式を飛ばして様子を伺っていたんですが」
ぺらり、奈音の頭の上に、人の形をした小さな紙が落ちる。
「どこかから情報が行ったのか、あるいは変な瘴気にでもあてられたのか」
「?」
「来ましたよ。桧山先輩レベルの下っ端たちが」
「軽く俺のことディスったね」
落ち込む桧山を横目に、奈音は校門の方へ視線を移す。
校門前では、武器を手に集まった三校の不良たちが睨み合っていた。




