『戦争』、開始
『一高、二高、三高で全面戦争をするらしい』
その噂が流れ始めたのは、数日前。
たまたま図書館で『発端』を目撃していた何人かの一般生徒からそれぞれの学校へ、その情報は持ち帰られたという。
噂は千里を走る、そのことわざ通り、全面戦争の噂は瞬く間に生徒たちの間で広まり、本日。
一高の精鋭が二高に奇襲をかけると決めた本日。
二高の精鋭が三高に奇襲をかけると決めた本日。
それが重なり、一高と二高と三高の精鋭がそれぞれ集まった本日。
ある人物がもたらした『一高の何人かが二高に来ている』という情報と、『二高の何人かが三高に行った』という情報。
それを契機に、腕に覚えがあると自負する猛者たちが、武器を手に集まったという次第。
「なんか質問あるかいな、芹沢くん」
三座川高校、校門前。
各校の猛者たちが集まっている場面。
二高軍勢の最後尾で、芹沢は困ったように頭を抱えた。
「いや、質問というか……東條さんに怒られるんじゃないですか? 知りませんよ?」
「そんなん大したことあらへん!」
へらへらと笑いながら、ひらひらと手を振って、その男、西崎皇牙は、口を開いた。
「飛鳥かて、なんやかんや言うておもろいほうがええんやから」
ポケットに携帯をしまいながら、皇牙は屋上の方を見やる。
屋上で飛鳥と帆風が戦っているのが、ここからでも見える。
「ほら見てみ、屋上」
「えっと」
皇牙に指をさされた先を、芹沢も見る。目を凝らす。
「飛鳥、笑てるで」
それは目の前の『敵』に対してなのか、眼下の『状況』に対してなのか。
しかしその笑顔は確かに。
「なんか、楽しそうっすね」
「あんな顔、一年の時の大乱闘以来やで」
懐かしそうに目を細める皇牙の横で、芹沢は困ったように頬を掻く。
さて、状況は整っただろうか。




