『二高』、挑発
「何があったのか、大体想像はつく感じがするけれど」
三座川高校、屋上。
フェンスに仁王立ちしていた飛鳥は、いつも通りへらへらと笑いながら、校門の方を見下ろす。
視線は校門のそば、一ノ宮高校一行に同行してきた灯熾。
飛鳥の視線に気づいた灯熾は、無表情のまま顔の前で両手を合わせた。
謝っているらしい……が、おそらく言わんとしている言葉は『ごめん』ではなく『めんご』だ。
「ま、いろいろあったってことだろうねぇ、伊田くん」
「そうっすねぇ」
飛鳥の近くにいた詠時が、ちらり、三座川高校の面々を振り返る。
屋上に座り込んでいる深花が、悔しそうに舌打ちをした。
「単純な体力勝負で競り負けるとは思いませんでした」
「言うねぇ、深花ちゃん。単純に考えて、女の子が男の子より弱いのは仕方のないことだよ?」
「そんなことないですー、僕は女の子の中では強い方ですー」
むくれながら、地面にのの字を書く深花。
その様子を見てから、詠時は校門の方へ視線を移す。
「どうします? 予期せず大集合っすよ」
「いや? よく見てみなよ、伊田くん」
ふいに目を細めて、飛鳥は校門を指さした。
「『最強』は、まだ来ていない」
視線の先で、指をさされた先で、千里が笑う。
「来ると思う?」
「どうっすかね」
「来ないなら来ないで、俺がやりやすいだけなんだけど」
校門をさしていた指で、千里に向かって手招きをする。
挑発するように。
「さあ、楽しくなってきた」
「さあ、楽しくなってきた」
飛鳥に手招きをされた千里が、にやりと笑みを深める。
後ろにいた架月が、呆れたように溜息をつく。
同じように後ろにいた帆風は楽しそうにストレッチを始める。
「帆風ちゃん」
「ん」
「あそこまでいける?」
「余裕」
千里の後ろを通り過ぎた帆風が、数歩走って地面を蹴った。




