『一高』、歩く
二高から三高までは、そこまで距離があるわけではない。
一高から二高までの距離と、一高から三高までの距離、そして二高から三高までの距離は、大体同じ。三校を線でつなぐと、綺麗な三角形が出来上がる状態だ。
ちなみにその中央に位置するのが、図書館である。
「最初から三高に行っておくべきでしたかね」
「いやいや、それだと何の準備もなく全面戦争になるところだったよ」
「ああ、確かにそうですね」
架月の言葉に、千里は相変わらずの笑顔。
ちらり、架月は隣を歩く帆風の顔を見る。
「ん、どうしたの架月」
「何でもない」
やっぱりとでも言えばいいのか、何なのか。
帆風も、千里と同じような顔をしていた。
架月が最初に帆風と会ったのは、中学に入学してすぐの頃。当時、帆風はまだ小学生。
通学路の途中、不良中学生が目の前を横切って塀にめり込んだのがきっかけ。
めり込ませたのは帆風。目撃したのが架月。
『『……なんかごめん』』
帆風は、驚かせて申し訳ないという気持ちで。
架月は、見てしまって申し訳ないという気持ちで。
見事に重なった言葉に、お互いにぽかんと目をしばたいて。
それが出会い。それが始まり。
以来四年と少々、二人は『極神』と『神官』なのである。
「帆風」
「んー?」
「どうせさっきのじゃ暴れ足りないんだろうから先に言っておくけど」
架月の言葉に、帆風がきょとんと首をかしげる。
「今日は許す」
「!」
「好きなだけ暴れていい。フォローはなんとかするから」
ぱあっと表情を明るくする帆風。
その様子に、千里が笑みを深める。
つられたように灯熾も笑う。
「さて、それなら急ごうか」
千里が前を向いたまま口を開く。
「『審判』たちがいる間に三高に到着しないと、戦争に参加できないからね」




