『一高』、進軍
「さあ、行こうか」
場所は変わって、二階堂高校、校門前。
「行こうか、はいいですけど」
「うん? どうかしたかい、架月くん」
「そちらの方は?」
架月は困ったような顔をして、ちらり、千里の隣にいる少女を見た。
「ああ、この子は浅宮灯熾さん。『幻影』と呼ばれてて、俺の親戚の女の子でもありつつ、二高では『審判』に次ぐ実力者と言われているらしい子だよ」
「大体合ってます」
「長い説明をありがとうございます」
千里の紹介に、灯熾がぺこりと頭を下げる。
それに頭を下げ返しつつ、架月は少々首をひねる。
「何がどうなって、彼女が一緒に?」
「つまり『審判』は三高に向かったそうだから、これから俺たちも合流しようってこと」
「すみません、もうちょっとわかりやすく……ああいや、待ってください、今ちょっと頭の整理を」
「大変そうだなぁ」
頭を抱える架月に、灯熾が同情を含んだ視線を向ける。
はあ、と深い溜息をついて、架月は千里の方を向く。
千里は相変わらずにこにこと笑いながら、校門の外を指さした。
「ほら、行くよ」
「「はーい」」
千里が先導し、帆風と灯熾が声をそろえて返事をする。
その様子に架月は再び頭を抱えた。
「つまり、連戦ってこと?」
「架月まだ戦ってないじゃん」
「まあそうだけど」
「だから問題ない。私もまだ眠くない。大丈夫」
拳を握って元気アピールをする帆風。
そうじゃなくて……などと言いかけて、架月はまた溜息をつく。
「架月くーん、溜息ばっかりついてると幸せが逃げていくよー」
「今まさに僕を幸せから遠ざけているのはあなたです」
「あっはっは、否定できない」
楽しそうな笑顔のまま歩いていく千里の背中。
その背中に、帆風と灯熾がついていく。
さらにその後ろについて、架月はガシガシと頭を掻いた。
ああ、もう何を言っても無駄らしい。




