『咲乱』、あおる
「やあ、どうも」
「ずいぶん大胆な登場をしますね、『審判』殿」
「あはは、ばれてる」
とん、と屋上に着地した飛鳥は、ぐるりとその場の面々を見渡す。
自分の知らない顔ばかり。
それだけで、好奇心が刺激されて仕方がない。
「で、誰が俺と戦ってくれるの?」
にっこりと微笑む飛鳥に、三高の面々は顔を見合わせる。
ふう、と息をついた後で、一歩踏み出したのは、少女。
「お初にお目にかかります、『審判』さん。僭越ながら、僕が相手をさせていただきましょう」
深々とお辞儀をして、少女はにこりと笑って見せた。
「当方、信楽深花と申します。『咲乱』と呼ばれております」
広げた右掌に、花が咲く。
右腕を覆うように、ツタが這う。
「以後、お見知りおきをお願いいたします」
少女、深花の挨拶に、飛鳥は同じように笑顔を返す。
「ご丁寧なご挨拶をありがとう。改めまして、俺は東條飛鳥。『審判』と呼ばれているよ」
広げた右手に、握られるのは長刀。
得物を手に笑う。嗤う。
「さっそく始めようか、深花ちゃん?」
「馴れ馴れしく名前で呼ぶのはお控えくださいな」
にっこりと笑ったまま、立てた親指をびっと下に向ける深花。
その様子を見た飛鳥は、一瞬きょとんとしてから、盛大に吹き出した。
「君、思ったよりいいキャラしてるね?」
「よく言われますけど、あなたには言われたくないですね。僕からしてみれば、あなたも大概『いいキャラ』してます」
「よく言われるよ」
お互いに笑い合う、異様な空間。
ひとしきり笑い合ったあとで、踏み込んだのは同時。
「空間展開」
ぽつり、飛鳥が小さくつぶやく声。
ヴン、空間がゆがむような音がして、二人の周囲に展開する結界のようなもの。
深花が眉根を寄せる。その真向いで、飛鳥はにやりと笑って見せた。




