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バットラ!~Battle Triangle 三校対抗全面戦争~  作者: くつぎ
第十章 その男、『職人』
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『職人』、送り出す

「え、一人で戦えってこと?」

「戦いの場が屋上になるなら、俺は戦えないっす。能力の都合上」

「えぇー」

「えぇーじゃないっすよ、とにかく行きますよ」


 地面にスコップを突きたてたまま、呆れたように飛鳥を振り返る詠時。


「俺、どこにいればいいの」

「俺の近くにいてください」

「え、やだ告白?」

「……俺、彼女いるんで」

「そこ真剣に返されるとこっちが反応に困るよ!」


 飛鳥が自分の近くに来たのを確認してから、詠時はもう一度スコップを担ぐ。

 方向を確認。高さを確認。


 そして。


「じゃ、行きますよ」


 ざくっ、スコップを地面に突き立てた直後、地面が大きく隆起した。


「うっわ、派手なことするね!」

「大丈夫っす、被害は最小限に抑えるんで」

「いや、この状況でそう言われても説得力が」

「とにかく会長はその地面にいてください」

「へ」


 ぼこっ、めきっ、そんな音が足元から聞こえて、飛鳥は不意に足元を見た。

 瞬間。


「行ってらっしゃい」


 隆起する、とは違う。めきめきと音を立てて、地面は形を変えていく。飛鳥は言葉通り地に足を付けたまま、空中に押し上げられた。


「伊田くん! 君はそう言いながらもちゃんと来てくれると信じているよ!」

「いや、行きませんって」

「待ってるよ!」

「行きませんって」


 形を変えていく地面の上、意外と余裕そうに詠時に向かって手を振る飛鳥。

 その様子を見て、飛鳥が屋上に到達するのを見届けてから、詠時は小さく溜息をついた。


「で、まさかとは思うけど、俺と戦いに来たとかそういう感じですか」


 くるり、スコップを担いで後ろを向いた詠時の目の前。

 校門の方に二人、一人はスパナを片手に、もう一人はハンマーを片手に。


「おっと、よくわかってるじゃないか、他校生」

「分かりたくなかったんすけどね」

「まあまあ、楽しく行こうじゃないか、他校生」

「楽しくないっすよ」


 深く溜息をつく詠時に、その二人はにんまりと笑った。



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