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バットラ!~Battle Triangle 三校対抗全面戦争~  作者: くつぎ
第十章 その男、『職人』
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『職人』、推挙

「なるほど、なるほど。それで千里にーちゃんが二高に来られたと」

「まあ、そういうことだね」


 現在地、二階堂高校生徒会室。

 灯熾に敗北したはずの千里は、灯熾に入れてもらった紅茶などいただきながら、今回奇襲に至った経緯を語った。


「しかし『審判』が出かけていたとは誤算だったよ」

「会長も今日突然出かけるって言いだしたからね。普段ならいたと思う」

「じゃあ、本当に不測の事態だったわけだ」

「まあ、一高が今日あたり攻めて来るかもー、ってことには、感づいていらっしゃったようだけど」

「なら結局、奇襲作戦としては失敗だな」


 紅茶を飲みほして、千里はカップを置く。

 それからゆっくりと立ち上がって、深く息をついた。


「ちなみに、どこに行ったの」

「聞いてどうするの」

「時間が許せば、追いかける」

「千里にーちゃん、私に負けたのに?」

「……痛いところを突くなぁ」


 へらり、笑顔を浮かべながら、千里は窓の外を見る。


「確かに灯熾には負けたけど、それが『勝てない』証明にはならない」


 千里の言葉に、灯熾はしばし無言。

 それから、口を開いた。


「行き先は、三座川高校」

「!」

「考えることは同じみたいだね。千里にーちゃんがやったように、奇襲作戦に出た」

「三高に奇襲って、勇者か」

「さすがに一人じゃないよ」

「え」


 きょとん。千里が目をしばたく。

 二高で戦えるとしたら、『審判』、『怪力』、今目の前にいる『幻影』。

 それから現在入院しているという『踊子』と『鏡像』。


 それだけ、だったはず。


「二高にまだ戦える子いるの」

「いるよ。本人はあんまり戦いたがらないから、知ってる人少ないけど」

「誰?」

「きっと聞いてもピンと来ないよ」

「それでも教えて」


 食い下がる千里に内心で溜息をついてから、灯熾はホワイトボードを指さした。


「ここで、会長と『怪力』ちゃんが話していたらしいんだ。ほら、その名前」

「……『職人(ショクニン)』」


 先ほどの戦いで、大きな傷がついたホワイトボード。

 その片隅に、いびつな形で書かれた文字。


「そう。『職人』・伊田詠時(いだ えいじ)。私と、三高の『時刻』の、幼馴染」



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