『炎帝』、企てる
「じゃ、作戦会議と行こう」
オロオロとする三崎を横目に、机を囲んで話し合う千里、架月、帆風。
「正直、三高については未知数なんだよね。秀でて強いと噂される人間がいない分、どれくらいのレベルの人間がどれくらいいるか、推測がしにくい」
「そうですね」
「逆に二高は『こいつは強い』って噂されてる人間が多いからね。攻めるとしたらそっちの方が、作戦が立てやすい」
「なるほどー」
「あの、なんか勝手に話が進んでますけど、大丈夫なんですかこれ」
心配そうな三崎の声は無視して、千里はノートを開く。
「二高で最も警戒すべきは『審判』、『踊子』・『鏡像』コンビ」
「あ、そのコンビは今おそらく入院中ですよ」
「え、そうなの」
「この間ゲーセンで小競り合いになって倒したもの」
「マジか、それはナイス」
帆風の発言で、千里はノートに書いた『踊子』と『鏡像』の文字にバツを重ねる。
「と、あとは『怪力』かな」
「あー、なるほど」
「この二人を先に何とかしておけば、二高については恐れるに足りず」
千里はそう言うと、ペンのキャップを閉じ、架月と帆風の顔を交互に見た。
「決行は明日の放課後」
「いきなりですね」
「『審判』の方は俺が引き受けるから、二人は『怪力』の方を頼むよ」
「了解しました」
「戦い方については各自任せる」
ぱたん、ノートを閉じて、千里はにっと笑って見せた。
「どうかな、三崎くん。異論はあるかな?」
「いや、異論も何も、俺はなんか言えるような立場でもないっすからねぇ……」
困ったように頭を掻いて、三崎は千里の方を向く。
相変わらずにこにこと笑っている千里の顔に、何故だか、かすかに安堵した。
「浦谷さんに任せます」
「そう言ってもらえるとやりやすいよ」
「だってもう、そう言うしかないです」
溜息をつく三崎の頭をわしわしと撫でてから、千里は帆風と架月に向かって、もう一度笑った。
「では、武運を!」




