『炎帝』、発案
「あっはっは、まさか名前を知られてるとは思ってなかった」
現在地、相も変わらず一ノ宮高校・資料室。
加わったのは、三年・浦谷千里。
「よく知ってたね?」
「千里さんが中三の時、私中一。同じ学校。いろいろ知ってる」
「うわ、マジか。そういうことね」
笑顔を浮かべたまま、千里が帆風の頭をわしわしと撫でる。
撫でられるままに体を揺らしながら、帆風は架月の方を向いた。
「もう一人思いついたけど、よく考えたらその人もう大学生だった」
「それは残念だ」
「そういうわけで、現時点で三人になったね、三崎くん」
三崎の方を向いた帆風が、眠そうな顔で親指を立てる。
「そ、そうだな、あと二人か……何とかなるかな……!」
「ああ、でも一斗は戦う気ないと思うよ」
「へ」
「どうやら受験勉強に力を入れたいらしいから」
「真面目かよ!」
にっこり、笑いながら千里が放った言葉に、三崎はまた肩を落とす。
今日だけで気分の変動が激しすぎる。体力の消耗が激しい。
「ところで三崎くん」
「なんすか、浦谷さん」
「全面戦争だーって騒いでるのは知ってるし、町中で噂になってるのも知ってるんだけど」
「はい」
「いつどこで戦うかとか、ルールとか、そういうのって決まってないの」
沈黙。
帆風が、三崎の顔の前で手を振る。
架月が、三崎の頬をつねる。
「……全然決まってないっす」
「マジか、あっはっは!」
三崎の返答に、千里が快活に笑う。
首をかしげる帆風と架月に、千里は笑ったまま、言い放った。
「んじゃ、先制攻撃でも仕掛けてみようか?」
その言葉に目を見合わせた帆風と架月は、同時に千里の方を向き、さらに同時に口を開く。
「「じゃあ、それで」」
目の前で繰り広げられた会話に、さらにはどうやら方針を決定してしまったらしい三人に、三崎はぱちくりと目をしばたいた。
「……え、ちょっと、冗談ですよね?」




