『怪力』、ねだる
「和樹ちゃんが知ってる強い人情報って、本当にこれが全部?」
「そうですねー。私が知る範囲ではこんなもんですねー」
生徒会室のホワイトボードに、雑な字で書かれた名前がいくつか。
その名前をまじまじと見つめながら、飛鳥は腕を組む。
「三高にこんな生徒いたんだね。知らなかったよ」
「三高の強い人って二年生が多いですからねー。二年前の大乱闘のころはまだ中学生でしたからねー」
「あー、なるほどね」
ペンを置き、和樹も飛鳥の隣に立つ。
そして書かれた名前をまじまじと見てから、思い立ったように手を叩いた。
「そう言えば会長、忘れてましたけど」
「うん? 何?」
「二高で今、会長と同じくらい強いらしいって噂の子がいるの知ってますー?」
「え、知らない。何それ」
知っていたら真っ先に声をかけに行くに決まっている。
「普段はおとなしい子らしいですから、知らないのも無理はないですよー」
「逆に和樹ちゃんは何で知ってるの」
「従兄の幼馴染らしくてー。今、従兄の名前見たら思い出しました」
「経由点が遠い」
そんなツッコミも聞き流しながら、和樹は携帯を見る。
画面を繰り、やがてもう一度ホワイトボードに近付くと、ペンをとった。
「なんて読むのかよく知らないんですけどー」
そう言いながら、ペンを走らせる。
いびつな形で書かれたその名前に、飛鳥は小さく声を上げた。
「ああ、その子なら知ってる」
「なんだ、知ってたんですか」
「名前はね。戦えるとは知らなかったな」
「へー」
「そっか、その子か」
飛鳥は和樹の方を向くと、にっこり、笑って見せた。
「いい情報をありがとう」
その笑顔につられて、和樹もへらりと笑って見せた。
「いいえー。お礼はコンビニスイーツで結構ですよー」
「あとで買ってきてあげるよ」
「わーい」




