『怪力』、伝達
「くだらないきっかけっすねー」
「でしょ。俺もそう思う。でも、楽しそうだとも思わない?」
「思う。楽しそう」
飛鳥の話を聞き終えた和樹は、にこにこと笑いながら、ゆらゆらと体を揺らす。
「でも会長、一高にも三高にも、強い子たぶんいっぱいいますよー。私ら真正面から行って勝てますかねー?」
「それはどうかな。かと言って、だまし討ちが通用するとも思えないし。変な先制攻撃してやられるのも嫌だしな」
「それは確かにー。……あ、じゃあ会長」
「うん?」
一人しかいないにもかかわらず挙手をして、和樹は言った。
「とりあえず、情報収集から始めてみましょー」
「情報収集」
「まずは一高と三高の強い人を調べてみましょー。抜かりないように」
「ああ、それは確かに大事だね」
「んで、勝てそうになかったら欠席しましょー。これで決まり」
「いや、欠席は駄目だよ、芹沢くんが可哀相だから」
「じゃあ私だけ欠席しますー」
「まさかの」
和樹の提案に、しかし飛鳥は考える。
確かに、敵の情報を知ることは重要。そこから勝てる算段を導き出さねばなるまい。
「ああ、でもそういえば俺、三高の強いやつって全然知らないんだよね」
「三高? それなら私でも調べられますよー」
「え、本当?」
「だって私、三高に友達いっぱいいますもん」
携帯を取り出した和樹は、にこにこと楽しそうに画面を繰る。
「幼馴染もいるし、従兄もいるし、あと友達の友達もいるし」
「友達の友達は他人でしょ」
「えー、友達の友達は友達ですよー、たぶん」
「いやいや、友達なら友達でいいじゃん」
「まー、どうでもいいですそれは」
「よくないよ」
「あ、ちなみに今言った幼馴染も従兄も、結構強い子たちです」
「先に言って。大事、強い人情報大事」
マイペースな子だ。
飛鳥はそんなことを思いながら、小さく溜息をつく。
「皇牙が気に入るわけだよ」




