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欲張ってチートスキル貰いすぎたら、ステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します  作者: ゆさま


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常夜バルガロス

 アルパリス王国の王都から、北へ70km程のところにあるダンジョンに来た。みんなで魔力を合わせて飛んだので、あっという間に着いてしまった。超越者七人で力を合わせると、とんでもない速さだった。


 上空から地表を眺めると、大地を埋め尽くすほどのモンスターの大群がいた。


 これは想像以上の量だな。俺が感心していると、クレアが一番に剣を抜いて魔力を解放した。


「カイト様! 強くなった私を見てください! はぁぁぁ! セレスティアルブレイド!!」


 おー、クレアはやる気だなぁ。彼女が気合を入れて聖剣エクスカリバーを振り下ろすと、目も眩むような光と共に、巨大な弧を描いて魔力の塊が撃ちだされる。その輝く斬撃は、唸りを上げてモンスターの大群を切り裂いた。


「私だってそれくらい!」


 アイリが神弓タスラムを引き絞り、魔力を溜める。それを解き放つと閃光が地表に降り注いで、モンスターの大群を焼き払った。


 二人に続いて、マユ、フィリス、レイナも神器を取りだして一斉に攻撃を開始する。神器の固有技を、みんなが惜しみなくぶっ放してモンスターの群れを粉砕している。


 俺はそれを横目で見つつ、突出した波動の持ち主を探る。モンスターの大群の一番奥に黒い鎧を着ている男を発見した。奴め、逃げようとしているな?


「ノエル、ディアージェスを見つけた! 逃げられないように挟み撃ちしよう!」


「了解!」


 あいつはディアージェスの一人『常闇』バルガロスだっけか? アダマンタイトを採りに行ったときに戦った奴だ。あの時は逃げられたが、今度は逃がさない。


 そうだ、マユの結界で閉じ込めでやろう。俺が念話でマユを呼ぶとすぐに来てくれた。


 俺とノエルとマユの三人で、バルガロスを取り囲む。


「なんで貴様らがここに!?」


 バルガロスは俺たちに包囲されると、想定外だったのかあからさまにうろたえる。


 お前、この前会った時と口調が変わってるよ? 慌てすぎてキャラ作りがブレてるね。


 ノエルはバルガロスを牽制しつつ、マユに指示を出した。


「マユ、あいつが逃走しないように、あなたのできる最高の結界で閉じ込めて」


「了解。アブソリュートフィールド」


 マユの作り出した純白の結界に、俺たちとバルガロスが閉じ込められた。奴は表情険しく声を荒げる。


「貴様ら、俺一人に三人がかりで! 卑怯だぞ!!」


「お前だっていっぱいモンスター連れてただろ。もう俺たちがほとんど消したけど」


 バルガロスはそれを無視して、俺に剣を向け怒鳴る。


「俺と正々堂々と一対一で決闘しろ!!」


 決闘なんてしても俺には何も得は無いが……。


 マユがさりげなく聖光を出してくれている。これならレベル差も補えるだろうし、こいつは技量的にはたいしたことないから勝てるだろう。 


 俺が「いいよ」と言いかけたところで、バルガロスは影の騎士を何体も出して俺にけしかける。自身は影の騎士に紛れて斬りかかってきた。


 まぁ、想定の範囲内だ。マユのおかげでこの前戦った時よりも影の騎士の動きが鈍いし、奴の攻撃も大したことは無い。


 俺が影の騎士とバルガロスの攻撃をあしらっていると、背後から声が聞こえる。


「カースバインド」


「それはもう見た」


 俺は神剣ベイルスティングで魔法の触手を斬り裂いてやった。何度も同じ手に掛かったりしないって。


 今度はこっちの番だとばかりに、俺は神剣ベイルスティングに魔力を通わせて軽く一振りした。


 キンという甲高い音と共に、多くの影の騎士を両断してしまった。バルガロスの障壁も斬り裂き、奴は額から血を垂らしていた。


 軽い一振りでこれ程の威力……。神剣ベイルスティングが纏うオーラは楽しそうに揺らめき、もっと力を発揮させろと俺に語り掛けているようだ。


「おのれー! よくも! よくも! よくもぉぉぉ!!」


 バルガロスは激昂し、手にした剣で俺に斬りかかる。ダメだこいつ。まるで剣技がなっていない。俺は軽く躱しながら、奴の隙を突いて斬りかかった。


 バルガロスはそれに全く反応できずに、俺の剣が奴の体を斬り裂く。神剣ベイルスティングの一撃で両断されないないあたりは、さすが魔王軍精鋭のディアージェスといったところか。


 だが傷は深く、もうまともに動けないだろう。俺は倒れたバルガロスを見下ろす。

 

「助けてくれ! 王都へ侵攻するのは中止する! お前たちにももう関わらない! 頼む!!」


 バルガロスは泣きながら、頭を地面にこすりつけ命乞いをする。俺はノエルをチラリとみた。ノエルは冷酷な目つきで首を横に振っている。


「こいつをここで見逃すと、王都を襲撃し虐殺と強奪を楽しんだ後、女性を何人も攫って自分の玩具にするつもりよ。物知りさんの権能でこいつの心を視たから間違いはないわ」


 やはり殺さないという選択は無いのか。俺は覚悟を決めて、バルガロスに止めを刺すべく神剣ベイルスティングに魔力を込めた。


「こんなところで殺されてたまるか! コレは極力使いたくは無かったが仕方ない」


 バルガロスが黒い宝石を取り出して砕くと、黒く禍々しい魔力が噴き出して奴の体を覆っていく。奴の体は黒い魔力を吸収して、二回り程大きくなった。俺が斬った傷も消えている。


 起き上がったバルガロスは、何かに取り憑かれたように笑い出す。


「ふはははは! 力がみなぎる!! 今の俺の力は先ほどまでの10倍だ!!」


 馬鹿笑いしやがって、うるさいな。確かに感じる魔力はかなり大きくなったが、10倍ってのは盛りすぎじゃないか? 


 奴は有り余る魔力を剣に込めて、振り下ろし、薙ぎ払う。


 でもそれだけだ。影の騎士も消えたし、攻撃もさらに単調になった。これならさっきまでの方が、まだ強かったくらいだな。


 俺は魔力を通わせた神剣ベイスティングで、暴れ狂うバルガロスに斬りつける。奴の大ぶりな攻撃は隙だらけで、斬ってくださいと言わんばかりだ。とはいえ、奴の外皮は異常に硬く、簡単には刃が通らない。


 やはり、この場面では必殺技を使わなくてはな。


 神剣ベイルスティングを初めて握った時、俺の脳裏にこの剣の固有技のイメージが伝わってきた。それを試してみるか。俺は魔力を目一杯神剣ベイルスティングに流し込んだ。


「この剣の力を試させてもらう。くらえ、ディヴァインバースト!!」


 神剣ベイルスティングによって増幅した俺の魔力は、弧を描いてバルガロスに襲い掛かる。奴を鋭く斬り裂いた直後、轟音と共に爆発した。


 爆風が収まると、ボロボロになったバルガロスの姿があった。だが、すぐに灰のように崩れて、跡形もなく消え去った。


 そうか、こいつも一応は神だから生身の肉体じゃないんだろう。とはいえ、人の言葉を話す人としか思えないモノを斬って殺したのは、何とも言えない嫌な気分だ。


 神剣ベイルスティングからエネルギーが流れ込んでくる。ソウルイーターの能力で、奴の魂を吸収し俺のレベルが上がったのか。うーん、なんかなぁ……。


 マユが結界を解除すると、モンスターの軍勢は一匹残らず消えていた。クレア、アイリ、フィリス、レイナの四人で始末してくれたようだ。笑顔で俺に手を振っている。


 俺が憂鬱な気分になっていると、みんなが心配するだろうから、切り替えるべく少し大きめの声を出す。


「みんなー、お疲れ様ー。次、カークヨムルドに行くよー」


 すると、魂のハーネスによる念話でノエルの声が聞こえる。


「どうかしたの? 顔色が悪いみたいだけど」


 俺はノエルに向けて念話で応える。


「バルガロスを殺したとき、凄く嫌な気分になったんだ」


「カイトがあいつらを斬るのが嫌なら、私が全員斬り捨てようか?」


「いいよ。俺がやる」


「ふーん、無理しないで私に甘えればいいのに」


「ノエルはあの嫌な気分を何度も味わっているんだよね?」


「二十年前の戦いでは、そんなこと気にしている暇は無かったわ。非道を尽くす魔王軍に、容赦する気になんて、ならなかったもの。前にも言ったけど、私は魔王を殺した。それと魔王軍に便乗して略奪する盗賊とかも何人も殺した。奴らは人の皮をかぶった獣よ。容赦する必要なんてない」


 ノエルは強い意志の宿った瞳で俺に語る。俺は、自分の心の弱さを恥じた。そしてつい視線を地面に伏せる。すると、ノエルが俺に寄ってきて、視線を合わせるように屈んで俺の顔を見る。


「カイトはそんな私のこと、引いたかな?」


「引くわけない。ノエルの覚悟を改めて感じたんだ。俺もノエルの抱えている物を、少しでも分けてもらえるように強くなるよ」


「ん、でも無理はしなくていいから。辛かったら遠慮なく私に甘えてね」


 俺とノエルが見つめ合っていると、クレアが横から声を掛けてきた。


「カイト様! いつまでノエル様と二人きりの世界で浸っているんですか! 早く次に行かないと!」


「おっと、ごめん。よし、次行くぞ!」


 俺はみんなと共にカークヨムルドへと飛び立った。




 * * *




 カークヨムルドにある、目的のダンジョン付近に来た。モンスターの軍勢は王都に向けて進軍をせずに、散らばって四方八方に移動をしている。ディアージェスらしき波動は感じられない。


 ノエルは目を閉じている。物知りさんの権能を使っているのだろう。


「ここにいたディアージェスは、私たちの動きを察知して、ここを放棄して逃げたみたいね」


「逃げる前にダンジョンから排出したモンスターの大群を、近隣の町や村に放ったみたい。このままでは犠牲者が出るから手分けして殲滅しましょう」


「それと、ここにいたディアージェスの移動先を捕捉したよ。近くの街に向かって飛んでいる。どうやら私たちにモンスターの相手をさせている隙に、自分で街を襲撃するみたいね。ここは私たちに任せて、カイトはレイナと転移してそいつを追って」


 あれ? レイナの瞬間移動スキルって、移動できる距離に制限が無かったっけ?


 俺が疑問に思うと、レイナが魂のハーネス越しに念話で説明する。


 レイナは『仙霊』のチートスキルを得た際に、瞬間移動スキルが強化されて転移スキルになり、移動できる距離に制限がなくなったという。


 通常の転移スキルは、一度行ったことのある場所じゃないとイメージできないので転移できない。でもノエルが転移先の情報をラプラスの記録で調べて、魂のハーネス経由でレイナとその情報を共有すれば、どこでも自由に転移できるらしい。


「カイト様、お手を」


 レイナが手を差しだすので、俺は彼女の手を握る。すると即座に周囲の景色が変化した。


 先ほどまで近くにいたノエルたちの気配が遠くなっている。確かに一瞬で遠くまで移動したようだ。


 これが転移か……。これまた凄く便利なスキルだ。


 少し離れた所に街が見える。どうやら俺たちの方が先に着いたみたいだな。俺とレイナは木の陰に潜んで気配を消して、ディアージェスを待つことにした。



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