表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
欲張ってチートスキル貰いすぎたら、ステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します  作者: ゆさま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/52

タスケル

 澄み渡った青空の下、街を通り抜ける風が心地よい。マユとクレアは俺の両隣りで寄り添うように歩いている。少し離れて、フィリスも静かに歩調を合わせていた。


 さて、今日はどうしようかな。ダンジョンの四十階層でも目指そうか。


 軽い足取りで歩いていると、ノエルの声が聞こえてきた。


「ザッコスのパーティが深い階層を目指しているよ。マユの聖光のサポートがない彼らの実力では、十九階層で全員死亡するよ」


 ふーん、無謀だなぁ。ザッコスなんてどうでもいいから放っておこうよ。


「ザッコス、モブーラ、ヨワーネの三人はマユの幼馴染だよ。喧嘩別れみたいになっていても、幼い頃は笑いあった仲だから、死ぬとマユが心を痛めるよ」


 それはまずい。助けに行くか。冒険者ギルドのポータルで二十階層まで行って、十九階層へ行けばいい?


「そうだね、それなら間に合うよ」


 


 * * *




 冒険者ギルドのポータルから、ダンジョン二十階層まで転移してきた。


 マユが意外そうに俺を見ている。


「てっきり三十階層まで行くんだと思ってた」


「ああ、ちょっと十九階層に用事があって」


「ふーん」


 マユにザッコスを助けに行くと伝えれば、複雑だろうから伏せておく。


「少し急ごうか」

 

 俺たちは早歩きで十九階層を目指すが、まったくモンスターに遭遇しない。


 ねぇノエル、今日はモンスターはお休みなの?


「マユが神聖魔法サンクチュアリを使っているよ。マユを中心として聖域が展開されて、雑魚は神聖なオーラを嫌がって近づいてこないよ」


 へー、いつの間にそんなの覚えたんだろ? 便利だな。ここらのモンスターは、倒しても得られるものが少なそうだからちょうどいい。 


 ほどなく十九階層に到着すると、ノエルの声が聞こえてきた。


「ザッコスたちは、既にモンスターに襲われてるよ。急いだほうがいいね」


 了解。せっかく助けに来たんだ、間に合ってくれよ。


 俺はみんなに「走るよ。付いてきて」と伝えて、ノエルのナビに従いダンジョン内を走る。


 遠くから戦っている音が聞こえてきた。音の方に近づくと、オーク三体と戦っているザッコスのパーティーを発見した。


 ザッコスは血と泥にまみれながらも辛うじて戦っている。モブーラは盾を構えてはいるものの膝をついて動けていない。ヨワーネは地に伏している。


 俺はダッシュで距離を詰め、オーク三体を切り捨てた。


 傷だらけのザッコスに、セイグリットヒールを使用して死なない程度に怪我を治してやった。完治もできなくはないけどなんか嫌だ。


 モブーラとヨワーネは、マユが治癒してくれた。


 二人は何度も目を瞬かせて、自分の体を確認したり、周囲を見回したりしている。何が起きたのか、分からなかったんだろう。


 オークを倒した瞬間、ザッコスは目を見開いて驚いていたくせに、助けたのが俺だと分かると「何で助けた」と不機嫌そうな顔をした。


 別にお前のためじゃない。でも「マユが悲しむから」とか言うと勘違いしそうで嫌だ。俺は返答に困りながらも口を動かした。


「コマッテイルヒトヲ、タスケルノハ、トウゼンダロ」


 俺が心にもないことを無理して言うと、クレアが突っ込む。


「カイト様、棒読みになっています」


「そんなことないでしょ!?」


 俺は慌てて取り繕おうとしたが、周りを見るとマユもフィリスも湿った視線で俺を見ている。ゴホンと咳払いをして、ザッコスに向いた。


「マユの能力でサポートされてないお前らの強さは、十三階層程度が適正だよ。さっさと戻りなよ」


「マユの能力だと? 明るくするだけのスキルが無くても、魔法で明るくすれば問題ねぇよ」


 ザッコスのまるで分かっていない物言いに、俺はつい「はぁー」と大きく息を吐く。


「マユの能力は明るくするだけじゃない。その光を受けた仲間は強化され、敵は弱体化する。お前、本当に今まで気が付かなかったのか?」


 ザッコスは俺の言葉を受けて「そんなの嘘だ!!」と語気を強めた。


「信じなくてもいいよ。ただ、あまり無理して深い階層まで潜って死なれると、俺たちが嫌な気持ちになるから、頑張ってもせいぜい十五階層くらいまでにしておけよ」


 ザッコスと話し込んでいると、オークの群れに囲まれた。八体か。


「マユ、あの雑魚の群れ、任せていい?」


「うん、任せて」


 それを聞いたザッコスは、何が嬉しいのか知らないが笑い声をあげる。


「バーカ、マユの攻撃能力はほぼゼロなんだよ!」


 ザッコスの声など気にも留めずに、マユは魔法を発動させた。


「ホーリーレイ」


 マユのともす聖光の明かりが強くなり、光球から複数の閃光がほとばしる。一瞬でオークの群れは蒸発しコアへと変わった。


 ザッコスは、顎が外れたんじゃないかと思うほど大きく口を開けている。


「マユは神聖魔法に高い適性があるんだ。本気を出したらもっと強い威力の魔法を放つことだってできる」


 マユの凄さを軽く説明してやった。自分のことじゃないけど、得意げになってしまうのは仕方ない。


 ザッコスは顔色を変えて、マユに土下座した。


「マユ! 俺が悪かった、許してくれ! 俺のパーティに戻ってきてくれ!」


 マユは冷たい視線をザッコスに向ける。


「なにをいまさら。私のことを散々無能と罵り続けていたくせに」


 ザッコスは両手を地面に付いたまま、縋るように顔を上げた。


「俺たちはガキの頃から一緒だっただろ? そんな見た目がいいだけの野郎に惚れちまったのかよ!?」


 マユの瞳に怒りの火が灯った。彼女は、今まで見たこともないような強い語気で、ザッコスの言葉を切り裂く。


「カイトは見た目だけの人じゃない! カイトは私のスキルが明るくするだけだと言っても、一度だって馬鹿にしたことはない!」


 マユの剣幕に、ザッコスは言葉を失う。マユは普段のトーンに戻って続ける。


「それに私がこの力を得たのも全部カイトのおかげ。だから私のすべてをカイトのために使うと決めたの。何より私はカイトを愛している。カイトから離れたくない」


 マユは俺に寄り添い手を握った。


 ……勝った。まぁ、昨日既に勝っているわけだが、胸の奥がむず痒いくらいの充足感がある。


 俺が頬を緩ませてザッコスを見つめていると、彼は顔を歪めて地面に拳を打ち付けた。


 あの表情こそが、苦虫を噛み潰したような顔って言うんだろうな。心中お察しするけど、俺はお前と長々と話すつもりはない。


「こんなところで野垂れ死にされても気分が悪いから、十五階層くらいまで送っていくよ」


 ザッコスは「誰がお前なんかに!」と拒否したが、モブーラとヨワーネが「頼む」「お願い」と頭を下げるので、結局ダンジョン出口まで同行したのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ