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第9話 CMA株式会社

 次の日の朝、ボクはその他のお客さんから来た注文メールを見るとす

ぐに発送の準備を始めました。カタログ効果はすごくって注文がいっぱ

い来ていたんです。


 ボクは隣の席の片海さんにもお願いして手伝ってもらいました。でも

ちょっと目を放すといなくなっているんです、ボクはどこに行ったんだ

ろうって倉庫から出て事務所に戻ると机に向かって週刊誌を読んでるん

です、ボクは続きをやってください! ってお願いすると、腰が痛いか

ら無理無理、もう絶対無理! って言われました。


 そんなふうには見えないんだけど・・・・ しかたないのでボクはじ

ゃあ注文来たお客さんの伝票書きと請求書を作ってください! って言

うと、パソコンが無いから出来ない! って言い出したんです・・・・

 はああああもっとはたらいてくれえええ・・・・・


 ボクはしたかなく、社長の所に行きもう1台パソコンを貸してくださ

い! って言いました。するとこんなんでいいのか? と言いつつ後ろ

の引き出しを開いたのでちょっと古いけど画面の大きいやつを出して借

ります! って言うと片海さんの机に置き、スイッチを入れてメール設

定をささっ! としました。


 そしてすいません、今日来たぶんの注文だけで良いので担当者あてに

請求書を作ってください、住所が書いてあるのでそこあてに宅配便の伝

票も書いてくださいって言いました、するとパソコンなんかわからない

! って言い出したんです・・・・・


 パソコンが無いから出来ない! って言ったからパソコンを用意した

ら今度はわからないって言われてボクは目の前が真っ暗になってしまい

ました。ボクはここをクリックすると文章が出てきます、そこに書いて

ある商品の名前と個数で請求書を作って印刷すれば良いんですよ! そ

う説明しました。


 すると私が知っているのはDOSだ! ウインドウズなんか知らない

! DOSのパソコンが無いとダメだって言い出したんです。ボクはそ

んな古いパソコン今はありませんよ、秋葉原の中古ショップに行かない

ともう売ってませんって言いました。するとじゃ買ってくる! と言い

会社を出て行きました・・・・


 はあああ、今すぐてつだってくれええええ・・・・・ 結局ボク一人

で箱詰めから伝票作りまですることになっちゃいました。その間にも社

長がやってきてテレビねたをボクに話すんです、お願いだから早く終わ

ってくれえええ・・・・ それも同じ話を何度も何度もしに来るんです

・・・・ 片海さんがいなくなるとすぐこれです。


 倉庫にこっそりと行き箱詰めをしていると、また社長がいたいた、ア

ハハーッ! と言いボクの仕事のじゃまをするんです。これじゃ今日の

ぶんの発送が間に合わない、はああああ、どうしよう・・・・ ボクは

たまらず片海さんが手伝ってくれないんです! って言うと、何もしな

い、何もできない社長さんだからなあ、きっと社長のころ人に言うだけ

で自分は何もしてなかったんだよ・・・・・ しょうがないなあって・

・・・


 ボクは一瞬社長のことだと思いました、ちゃんとわかってるのに社長

は人事のようでした。しかたなくボクはハイハイって上の空で話を聞き

ながら箱詰めを続けました。そして必死に働いたので何とか夕方には今

日の注文分を出荷することが出来たんです、はあああ、まにあったああ

ああ・・・・ ぐったりでした。


 すると経理の三下さんがはい、これ今月分の給料って封筒を渡してく

れました。はあああ、きゅうりょうだああああ! ボクは封筒の中身を

開いて見ました、はあああ、はんぶんだああああ! 給料を見てボクは

頭が真っ白になってしまいました。居酒屋で働いていたころの半分だっ

たからです・・・・・


 ボクは間違えだと思い、社長の所に行き半分なんですけどって言った

ら、社長はだって実家から通っているんだろ? それだけあれば充分だ

ろう、アハハーーーッ! って・・・・ そして社長は5時になると帰

って行きました。


 はああああ、はんぶんだああああ・・・・ ボクは一気にテンション

が落ちてぐったりとなりしょぼんとしてしまいました。そして黙々と設

計してる2人の所に行って半分なんですって言うと、そうなんだよ、儲

けのほとんどは社長がざっくりと持って行って残りカスが我々に配られ

るんだよ、社長は金の亡者なんだよって・・・・・


 話のわかる良いおじいちゃん社長だと思ってたけど見た目と違ってす

ごいケチな独り占めじいさんだったんです・・・・ ボクはその話を聞

いたらやる気が無くなり、放心状態で自転車をフラフラと蛇行させなが

ら家に帰るとソファーにダーッ! と倒れこみ寝てしまいました。


 夕食の時間になって食べ始めるとボクは給料が半分だった、今月は1

00万円くらい売ったのにもうやる気が無くなったって言うと、お父さ

んは100万売ったって儲けはせいぜい5%だ、そしたらお前の給料に

もならないじゃないか、会社ってのはそういうもんだ! と怒られてし

まいました。


 はあああ、もういやだああああ・・・・ 部屋に戻るとボクはテレビ

をボーッとながめて何も考えられず、すぐにヘッドに入って寝ようとし

たけどがっかりでなかなか眠ることが出来ませんでした・・・・


 翌朝は低いテンションのまま会社に行きました。相変わらずノリノリ

の社長、それに比べたらボクは・・・・ 席に座りパソコンのスイッチ

を入れるとまた注文がメールで来ていました。何だかすごい売れ出した

な・・・・ そうか! 100万円じゃなくて1000万円売ればボク

の給料も居酒屋くらいになるかもしれない!


 そう思ったらやる気が出てきました。もっとがんばらねば! すると

ボクあてに電話がかかってきました。あのCMAの小嶋さんからでした

、先日はわざわざご足労かけてすいませんでした、今日時間が出来たの

でそちらにお邪魔しようかと思うんですが予定どうでしょうか? って

話でした。


 ボクは電話を置くと、社長の所に行き、先日のCMAの小嶋さんが今

日来たいって言ってるんですけどって相談すると、僕が出よう! と言

い電話に出ました。はじめまして社長の水田です! あーいえいえアハ

ハーッ! ずいぶん長話しの電話でした。


 パソコンがあるのに使わず、週刊誌を読んでいる片海さんの隣で請求

書を作っていたらノリノリで社長がやってきてCMAの小嶋ちゃんこれ

から来るってさ、アハハーッ! って。自分より大きな会社のえらい部

長さんからラブコールが来たんです、社長はノリノリでした。このまま

ピヨピヨって空中浮遊してしまいそうな勢いでした・・・・


 と、宅配便の人が大きなダンボールを持って来ました。伝票を見たら

パソコンと書いてあり片海様となってました。パソコンが届きました!

 そう言うとダンボールを見るとつないで! って言われました。ボク

は忙しいので自分でやってくださいと言おうとしたけど、片海さんじゃ

出来ないなと思い仕方なく箱を開きました。


 でっかいブラウン管のモニターにフロッピーの付いた茶色に色が変色

したDOSのパソコン、こんな古いパソコンは見たこともありませんで

した、ええっUSB無いの? ハードディスク無いの? フロッピーだ

け? 電源とモニターのケーブルを刺してスイッチを入れたら・・・・


 真っ黒な画面には英語の文章が1行出ただけでした。えーっとio.

sysが無い? ボクはこんな古いパソコン知りません、あせってネッ

トで検索してみたらどうやらMS−DOSというフロッピーから起動す

るDOS3.3が無いと動かないらしいです。


 片海さんにMS−DOSのフロッピーありますか? って聞くとそん

なもん知らない! まだ動かないのか? って怒り始めたんです。ボク

は古すぎてわかりません、それにLANポートが無いのでこれじゃイン

ターネットも出来ないしメールも出来ませんって言うと、そんなばずな

い、店員も動くって言ってたし、スイッチを入れるといつもフロッピー

がカコカコ音を出して絵が出てくるはずだ! って言いはるんです。


 ワープロのソフトも無いし、これじゃ古すぎて仕事になりませんよっ

て言うと、今度は騙された! って怒り始めたんです。そして使えない

んじゃ捨てるしかないな! って言い出しました。ボクはいくらで買っ

たんですか? って聞くと全部で3万円だ、昔は50万円したから安く

買えたんだって自慢してました。はあああかんべんしてくれえええ。


 ゴミを3万円も出して買ってきてそれを会社に請求してる片海さん、

ボクは勝手にしろ! って思いました。そして商品の出荷準備を一つづ

つやって、お客さんに電話をしてありがとうございました! って感謝

の電話をしつつ、箱詰めをしました。


 するとCMAの小嶋さんが事務所に入って来ました。ボクは急いでド

アまで行き、先日はありがとうございました、注文も来たので急いで送

りました! って言うと小島さんはモデル店で展示してどれがどれだけ

家具とあわせて売れるかテストしてみます、売れたらまた注文しますか

らよろしく! と言ってくれました。


 そして奥から社長が出てくるとどうもお! って言い大きなテーブル

で首脳会談が始まりました。社長はノリノリでした、小嶋さんはその話

を真剣に聞いてました。やっぱり大企業の部長さんともなると聞き上手

だなあ、コケシさんよりすごいなー! って思いました。


 そしてお昼になると近くのレストラン行きましょう! と言い出て行

きました。ボクもお昼になったので家に食べに帰りました。するとお母

さんが玄関まで走ってきてピーちゃんが死んじゃった! ってパニック

状態でした。ボクはコケシさんを観察しました、なんだ電池が切れただ

けだよ!


 新しい電池を入れてスイッチONしたら、頭を左右にふりながらこん

にちはー! ってしゃべり始めたんです。するとお母さんは、はあああ

あ、いきかえったああああ! って・・・・ お母さんは完全にコケシ

のピーちゃんにのめり込んでいます、電池の消耗を考えると昼間ずっと

ピーちゃんとお話をしているんだと思いました。


 お昼が終わって会社に戻るとCMAの小嶋さんと社長もレストランか

ら帰って来て、景気の話とかしてました。社長は評論家のような口ぶり

で話をしていました、ボクはもっとCMAの会社の情報や小嶋さんの話

を聞きたいなと思ってましたが一方的に社長が話してるだけでした。


 小嶋さんが帰って行く時にボクも挨拶をしました。これからもよろし

くお願いします! って言うと、こちらこそよろしくって言ってくれま

した。ドア越しに頭を下げてお見送りをして姿が見えなくなるまでボク

は小嶋さんの姿を見続けました。


 ノリノリの社長は小嶋ちゃんは! と言いボクに話しかけて来たんで

す、ハイハイって返事をしつつ請求書作りと納品書作りをしました。も

う社長は片海さんを無視してる感じでした、話しかけると同じような評

論をするんで面白くないんだと思います。おかしいなあ、指導するって

言ってたのに・・・・


 そして話が終わると満足して自分の席に戻っていく社長。ボクはやっ

と仕事が出来ると思ったら、週刊誌を読み尽くしてしまった片海さんが

私も新しいパソコンを使おうと思うんだと言いノートパソコンのスイッ

チを入れるとその画面を見ながらこれどうするんだ? って聞いてきた

んです。


 ボクは何がしたいんですか? って聞くとそのインターネットだ! 

って・・・・ ボクは説明して絵を出すと、おお写真まで出てきた! 

すごいなこれって・・・・ 今はそんなの当たり前だよって思いました

。それからです、何か操作するたび聞いてくるんです、それさっき説明

したのにもう忘れて・・・・


 あーもうボクは社長の相手もしないといけないし、片海さんのパソコ

ンの使い方の説明もしないといけないし、自分の仕事もしないといけな

いしで頭がパンクしそうです、はあああ、なんとかしてくれえええ・・

・・


 斜め向かいでは忘れたころに会社にやって来る岩口さんがおにぎりを

食べながらフリーセルをやっています。そして注文が来るとボクに仕事

を押し付けて来るんです、そんなの自分でやってください! って言う

とわからないからやっておいてくれと言われます。


 安い給料でおじさんたちの面倒をみないといけないし、自分の仕事も

やらないといけないし、押し付けられた仕事もやらないといけないし。

何もしないおじさん3名の給料をボクにくれえええええ! って思って

しまいました。


 この会社でがんばって働いているのは経理の三下さんと、電気の木森

さんと、機械の添山さんとボクだけです。半分は遊んでいるおじさん、

ボクは何ていう会社なんだと思いました。でもすばらしい商品は捨てが

たいです、商品に囲まれてそれをいじっているとボクは、あー幸せだな

あああ! って思って気が付くと顔がにやけているんです。



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