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第11話 大阪からの営業マン

 娘のマキさんが入ってきて1ヶ月、注文した部品が続々と入って来ま

した。ボクはそれを集めるとミニバンに目一杯乗せてケンさんの工場に

運ぶ毎日です、ケンさんの工場はパートのおばちゃんが2倍に増えてい

て大忙しでした。そしてボクも大忙しでした。


 毎日2時間残業していますが、それでも間に合わないほどの注文が来

ているんです。ボクは社長にグラフを見せて2倍売れてます、ボクだけ

ではやりきれません! って言うと、社長はそうかあ、それじゃ社員を

入れるしか無いかなあ、って言いました。


 いや、社員はいっぱいいます。遊んでる社員の皆さんが手伝ってくれ

ればすむことです。片海さんとか岩口さんに手伝ってもらうように何度

も社長に言いましたが、私が言っても言うこときかないよ、無理だろ!

 って言うんですよ、はあああ、このままじゃパンクするーーー誰かて

つだってくれえええ・・・・


 社長、なんとかしてください、これ以上むりです! そう言うと、最

後にはそうか、何とか考える! と言ってくれたんです。注文受けたら

箱詰めして請求書を作って発送する、そんな簡単な仕事なんです、誰で

もいいから早く手伝ってくれえええ! 状態でした。


 はい、ありがとうございます。ゴキブリ地雷1個とジャンピングバッ

タ1個ですね? 個人様ですと振込みか着払いになりますがどうしまし

ょう? ・・・・・ 最近なんですがSNSでうちの商品を自慢する人

が多いらしいんです、それを知った人が調べて電話して来て欲しいって

問い合わせが増えて来ました。


 うちの会社もネット通販しないといけないなって思いました。だって

一人ずつ注文受ける時間がもったいないからです。ネット通販なら朝に

注文画面を見れば何を何個どこに送れば良いかひと目でわかるはずです

、電話で1個2個注文受けてたら一日それで終わっちゃいます。


 そんな忙しい毎日でしたが、社長が突然大阪にいる中久くん雇おうか

と言い出しました。ボクは知らない人ですが昔、社長と設計の2人がい

た会社の大阪営業所の所長さんだった人らしいです。2人はあんな出来

る人がうちみたいな会社に来るはず無いよと言っていました。


 でも1週間後にその中久さんが面接にやって来たんです、 関西弁丸

出しのおじさんでエッ? って感じの人でした。本当にこの人が出来る

営業マンなのかな? ちょっと疑問に思いました、だって言ってるとが

エッ? だったからです。


 ボクが給料安いから、いくらくれるのか約束してからのほうが良いん

じゃないですか? って聞くと、中久さんはガッツポーズをして、給料

というものはもらうものじゃありません! 奪い取るものです! って

力のこもった感じで力説するんですよ、すごいのかすごくないのかさっ

ぱりわからなくなりました・・・・・


 ところが1週間したある日の朝会社に行くと、その中久さんが会社に

いたんです! そして今日からお世話になります! なんてことになっ

ていました。ボクはこれでやっと本物の営業マンにいろいろと教えても

らえると思いこれで商品と遊ぶ時間も増えると思いました。


 ところがです、さっそく手伝ってくれるのかと思ったら、誰かに電話

してあーしばらくー! って感じの話をしたと思ったら、社長にこれか

ら人に会いに行きますと言い会社を出て行ったんです。ボクはてっきり

大口のお客さんと商談するものだと思っていました。


 次の日です、中久さんはふらふらになって会社にやって来ました。ボ

クが聞きもしないのに、昔の友人と朝まで飲んじって・・・・ みたい

な話でした。昨日はお客さんに会いに行ったのではなく、お友達に会い

に行ってたみたいです。そんなの仕事終わってから飲みに行ってくれえ

ええ・・・・・


 そして中久さんは社長が何か言ってくるとフンフンと聞いています、

社長にとっては良い話し相手です、ボクの所にはこれで来なくなると思

って良かったと思ったら、中久さんの所で話が終わると今度はボクの所

に来て同じ話をするんです。はああああかんべんしてくれえええ!


 中久さんは社長の話を聞く以外はたいてい電話をしています。でも話

を聞いていると仕事の話ではなく東京にいる友達と話をしているようで

す。大阪の所長さんやってた人です、仕事のお得意さんがもっといるか

と思ってたけど営業の電話はしてません。


 ボクは手伝って欲しくて中久さんにすいません、これ手伝ってくださ

い! ってお願いしました。するとわかりましたあ! と言ってくれた

んです。これで少しは助かったと思ったのですが、その後アレッ? の

連続でした。だって注文受けて商品を箱詰めして請求書書いて発送する

だけの簡単な仕事が覚えられず何回もボクに聞いてくるんです。


 高校生だって1回か2回教えればわかるはずの内容ですよ、何度も何

度も聞いてくるのでボクはイライラしてメモしといてください! って

言うと、ここは東京なんで大阪頭はうまく動かないですわあ! って訳

のわからない言い訳をするんです。


 そして仕事をお願いしていると社長がやって来て、そうすると中久さ

んの手は止まっておしゃべりに夢中になってしまうんです。盛り上がっ

ている2人の話を聞きながらボクはあせって発送したり、電話を受けた

り、メールの返信をしたりで頭がパンクしそうなんです!


 中久さんは単身赴任で近くのアパートに住んでいるようです。週末に

なると大阪に帰り、月曜日の朝少し遅れて会社に来ます。移動だけでも

大変だなあって思っていたら、月曜日になっても来ないんです。社長が

中久くんどこだ? って電話しても出ないし大阪の家に電話すると朝、

東京に行きましたと奥さんが言っていました。


 そして夕方になるとやっと会社に出てきました。社長がどこ行ってた

んだ? って聞くと、友だちに誘われてバーベキュー行ってましたあ!

 と楽しそうに話し始めたのでボクは大変な人が来ちゃったって思いま

した。頼むからしごとしてくれえええ! 働かない人ばかりどんどん増

えてしまってこれじゃせっかく稼いでも給料が吸い取られちゃう。


 ボクの仕事を手伝ってくれてる娘のマキさんですが、中久さんのこと

を噂と違ってハズレだったわね・・・・ ってボクに言ったんです。設

計の2人に聞いても昔はあんなじゃなかったよ、どこでネジが緩んだん

だ? って意外なことを言ってました。話し相手が増えてウハウハと楽

しそうなのは社長だけです。


 そしてそれは前触れに過ぎませんでした。中久さんは会社に来るなり

、あいててて、歯が痛い! って大騒ぎし始めたんです。たまりかねて

社長がうるさい! 歯医者行け! って言うと行ってきますわあ! と

言い夕方になっても帰って来ませんでした。どこにいった? 社長が電

話すると大阪の歯医者さんに行っちゃったらしいです。


 ボクも社長もてっきり近くの歯医者さんに行ったと思ったら、何を考

えたのか大阪まで歯を治すために行ってしまったんです! 次の日の午

後に東京に帰って来るとすいませんも無く、歯医者に歯を抜かれてしま

いましたあ、魂もついでに抜けましたあ! なんて言っているんです・

・・・ ボクは目の前が真っ暗になりました。


 中久さんは1日会社にいますが仕事もせずおしゃべりに夢中で社長と

2人で盛り上がっています。社長と話が終わると今度はボクの所に来て

くだらない話をします。ボクがイライラして怒って手伝ってください!

 って言うとわかりましたあ! って敬礼してあっちに行ってしまいま

す。そして今度は設計の2人の所に行きおしゃべりするんですよ。


 とうとう機械の添山さんがブチ切れて、うるさい! 真面目に働け!

 って注意すると、頭を左右にフリフリしながら怒られちゃった! と

言い自分の机に座ると誰かに電話をし始めました。お願いだからてつだ

ってくれえええ。これじゃ仕事にならないです。


 そんな毎日で今度は朝来ていきなりイテテテて、お尻にオデキが出来

て椅子に座れませんなんて言い出しました。そして椅子にすわらず一日

立ったまま電話したり社長とお喋りしているんです。今度は娘のマキさ

んがブチ切れてしまいました。


 突然机をバン! と叩いて気が散ってしょうがないから座ってくださ

い! って怒りだしたんです。中久さんはアイタタタ・・・・ ひどい

です、アイタタタタ座れないです! って言うと、一言、病院に行け!

 と命令口調で言いました、するとじゃ行ってきますわ! と言い会社

を出て行きました。


 ボクは悪い予感がしました。夕方になっても帰って来ないので社長が

電話すると大阪の病院に行ってました。あれだけ社長に何考えてるんだ

? っと怒られたばかりなのにです、まさか行ってしまうとは・・・・

 それにもう木曜日なので明日行ってもなので月曜日からにしますわあ

! と言うと電話を切ってしまったらしいです。


 社長も困ったな中久くんにはと言ってました。そんな話をしてたら月

曜日の朝少し遅れて会社にやって来るとすぐ謝るのかと思ったら、社長

大変ですわ! うち離婚ですわあ! って今度は半泣き状態になったん

です。社員全員固まってしまいました・・・・・


 どうやら給料が安すぎて奥さんからもっと稼ぐか離婚するかどうする

んだって迫られているらしいんです。はああああどうしたらいいですか

あ? なんて言い出すと社長は知らないよそんなの夫婦なんだから良く

話しあえって言うだけでした。


 少し落ちつくと今度はまた社長と中久さんは意味のない無駄なお喋り

に夢中でした。お願いだからてつだってくれえええ・・・・ とんでも

ない営業マンがやってきたんです。パートさんでも何でもいいから普通

に仕事してくれる人が欲しいんです。どうして働かないおじさんばかり

社長は雇いたがるんだろう・・・・・ ボクには理解できませんでした


 ボクはもうどうにもならなくなって社長にパートのおばちゃんで良い

から雇ってください! もうこれ以上出来ません! って言うと、人を

雇うのはいろいろと面倒くさいんだよ・・・・ なんて言うんです。ボ

クは半分こわれた感じでじゃあボクが募集します、いいですね! って

言うと、そんならいいよん! アハハーッっ! って喜んでいました。


 はああああ、社長も働かないおじさん達もいったい何を考えているん

だあーーー、しごとしてくれえええええ・・・・・ ボクはその場でネ

ットで調べてアルバイト募集しているサイトに登録しました。すると不

景気なせいかすぐに応募の電話がかかって来ました。


 2日後に5人のおばちゃんを面接してそのうちの2人を雇うことにし

ました。2人とも小学生と高校生のいる近所のおばちゃんでしたが、有

名国立大学を出ているボクよりずっと頭の良い人でした、一人はIT会

社で働いてたのでこれから考えているネット通販の相談にものってもら

えると思いました。


 それからアルバイトのおばちゃんのおかげでボクはすごい楽になりま

した。電話で注文受けるのもしないで済んだし、今まで自分で全部やっ

ていた仕事をおばちゃんが全部やってくれるからです。働かないおじさ

ん社員よりしっかりと確実にやってくれてボクは本当にありがたいと思

いました。


 これでボクは商品と遊ぶことも出来るし、新しい売り込みも出来るよ

うになりました。おかげで2ヶ月間出来なかったフリーマーケットに店

を出す余裕が出来たんです! 次の日曜日に2回目のフリーマーケット

のお店を出すことにしました。


 家に帰ってボクはお母さんにそれを言うと、じゃあ手伝ってあげるわ

よと言ってくれました。するとお父さんもオレも手伝うかと言ってくれ

ました。あんなに会社のことをバカにしていたのにです。でも今は2人

とも商品のファンなんです。


 フリーマーケット当日は曇りで時々小雨が降っていてて悪いでしたが

、前回と同じでオープンと同時にすごい売れちゃいました。お母さんと

お父さんはお金のやりとりと袋入れで大忙しでした、ボクはお客さんに

一生懸命説明をしました、するとお客さんたちは大爆笑でした。


 3時過ぎには全ての商品が売り切れてしまいました。お昼も食べずに

夢中で売りまくりました。それに喋りすぎて喉が痛かったです、お父さ

んもあっという間に時間が過ぎて疲れたってぐったりでしたが、お母さ

んは、楽しかったわ! 私も商売始めようかな? なんて言い出しまし

た。商売も売れないとつまらないけど売れると楽しいんだって思いまし

た。


 次の日会社に行って社長にフリーマーケットで全部売れちゃいました

! って報告すると社長は売り上げのことに興味は無さそうで、テレビ

来たか? なんて言ってました。CNNが取材にきたらどうしようなん

てありもしない妄想をして営業の中久さんと盛り上がっているんです。


 ボクはパートのおばちゃんの一人に、ネット通販のホームページを作

りたいんですけど出来る人誰かいませんか? って聞いたらすぐ出来る

らしいです。詳しく話を聞くとパソコン好きなボクでも知らない専門用

語連発で今の会社にぴったりな方法を説明してくれました。人は見た目

で判断しちゃいけないなと思いました。


 おばちゃんは結婚する前までソフト開発部門のチーフだったらしいで

す、ネットバブルの時は笑っちゃうくらい儲かったらしいですが、その

後ネットバブルがはじけて会社倒産を機会に付き合ってた旦那さんと結

婚して引退したらしいです。昔を思い出したおばちゃんはやる気まんま

んでした。


 そんな話をしていたら、1本の電話がかかってきました。あの宅配便

の本社からでした。まねき猫パンチの件で一度こちらに来て打ち合わせ

をしたいという話でした。ボクは心臓がドキドキしてきちゃって声が上

ずってしまいました、大企業からの大きな話だったからです。


 電話を切ってすぐ社長に、宅配便の毎年テレビでやっている懸賞品の

注文の話です! 10万名様です! って報告すると、社長はボクの会

社もやっと大企業から見とめられたわけだ! あははーーーっ! って

有頂天でした。これは私も行かないといけないなって言い出したんです

よ。


 ボクは本当は一人で行きたかったです。営業の岩口さんはガキの使い

だったし、片海さんは無理無理だし、中久さんはダメダメです。社長と

行ったら仕事の話をせず一方的に世間話ししてお客さん怒らせてしまい

そうです。ボクは急に不安になりました。


 来週本社に営業に行く話になりましたが、うまく商談がまとまるのか

心配でした。これもそれも全て、まねき猫パンチさんにかかっているわ

けです。猫さんがんばってくれえええ・・・・ 


 ネット通販出来るようになればもっと売れそうだし、パートのおばち

ゃんたちのおかけで仕事に余裕が出て、商品で遊ぶことも出来るように

なったので一安心になりました。やっぱりその時に合わせて必要な人や

物を準備して対応しないといけないなと思いました。あのまま対策しな

いでいたら居酒屋で働いていた時と同じでノイローゼになってしまうと

ころでした。


 来週大きな商談があります、そのことを考えていたら毎日夜眠れなく

なってしまいました。いったいどうなることやら・・・・・ 



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