76.テンプレ的に、本神殿に行く俺。
シンジ君、再び神殿へ行くの巻。
当然そこには、阿鼻叫喚の事案が。(ヲイ)
シンジは、伯爵邸に戻ると3日間の休養について話をした。アンリたちもちょうどそのくらいは王都にいるようだ。
「じゃ、シンジさんもアイリスとあいさつ回りします?」
「あいさつ回り?」
アンリから、良く分からない提案が来た。
「ええ。伯爵様と仲のいい方は、この前の叙爵式とパーティでほぼあいさつが出来ています。ですので、後は神殿関係でしょうか。ちょうど、フレディ神殿長も一緒に王都へ来られていますので」
どうやら、フレディは聖痕の件で報告に来ているらしい。
「ほむ、それなら挨拶してくるか。って、突然行っても大丈夫なのかな? かな?」
「先触れは出します。ですので、出発は1時間後という事で」
シンジは、そのままアンリとお茶することにした。アイリスの準備も時間が掛かるのだ。女性だから。
◇
「ここが王都の本神殿かあ」
領都にあった神殿より、はるかに規模が大きい。
アイリス、アンリとともに本神殿に向かったシンジは、建物を見上げてつぶやいた。
建物は白亜で、入口の門は高く人の出入りが激しい。門の上には、燦然と輝く創造神の紋所が掲げられていた。
もちろん、あのテンプレートである。
シンジたちは、気にせず門番に声を掛け、関係者を呼んでもらった。
出てきたのは、まだ若い助祭である。
「私は、先触れを出したランチェスト騎士爵です。こちらに、チェスタニア神殿のフレディ殿がいらっしゃると聞いているのだが」
「お話は聞いております。ご案内いたします」
アンリが用件を伝えると、3人は奥へと案内された。
奥の間には、フレディと見知らぬ老人がいた。ただ、その老人は僧服の上からも分かるほど胸筋が発達しており、額の真ん中から真っすぐに分けられた金髪と、顎の横まで達する白金色の口ひげ、さらに日焼けしたような赤い肌が、往年のプロレスラーを彷彿とさせる。
「ランチェスト卿、では一緒になってしまいますな。アンリ卿、アイリス卿、そしてクロス卿、こちらが本神殿祭司教であらせられる、ハルク枢機卿です」
「ハルクと申します。アイリス卿、クロス卿、叙爵おめでとうございます」
ハルクが笑みを浮かべながら挨拶してきた。
「「ありがとうございます」」
シンジとアイリスは、同時に頭を下げた。
「フレディ殿にもお世話になっております。こちらには、アンリ卿たちと一緒に来られたと伺いましたが?」
シンジがフレディにも頭を下げた。
「私は、ちょうど聖痕を授かったことをハルク枢機卿に報告に参ったのです。ちょうど、アイリス卿が叙爵のために王都へ行かれると聞きましてな。便乗させていただいたという訳です」
「いや、誠にめでたいッ! 創造神様へのお目見えが増えるという事は、正しい導き手が増えるという事ですからな。フレディ殿には、枢機卿として活躍していただくことになっております」
ハルクが髭を撫でながら、さも嬉しそうに話す。
「枢機卿と祭司長というのは、違うものなのですか?」
シンジは、神殿の位階に詳しくないため、直接聞いてみることにした。
「枢機卿というのは、創造神様にお目見えが認められた者としての称号で、祭司長はあくまで位階ですな。フレディ殿は、枢機卿になったので大祭司長への昇進が決まっております」
神殿の位階は結構複雑で、大祭司長の上に祭司教補、祭司教、大祭司教、トップが総大祭司教となる。先ほど紹介にもあった通り、ハルクは祭司教である。
ちなみに、総大祭司教は枢機卿による話し合いと、創造神の承認により決まるらしい。
「祭司長が枢機卿になったのは、実に200年ぶりとなります」
どうやら、フレディは結構な偉業を達成したらしい。
「……ところでハルク枢機卿、随分鍛えていらっしゃいますね」
シンジが聞くと、ハルクは右腕を横に掲げ、力こぶを作る。
「これでも、若いころは騎士をしておりましてな」
「ハルク枢機卿は、騎士時代に斧を振り回しながら投げ、魔術で爆発させる技で、巨大な魔獣を何匹も屠っております」
フレディが、解説を加えてきた。
「それって、アックス・ボ……ってッ!! またか幼女ッ!!」
《しらんしー。って、良いからさっさと来い!》
幼女の声がはっきり聞こえてしまった。
ハルクとフレディが、顔を見合わせて肯いた。
「アンリ卿とアイリス卿は、以前本神殿の魔剣コレクションをご覧になりたいと言っていましたな。どうでしょうハルク枢機卿、ご許可いただけますかな?」
「「えッ!? よ、よろしいのですかッ!!?」」
アンリとアイリスが興奮した声を出した。アンリだけではなく、アイリスも魔剣に関心があるらしい。自分も魔剣を持ったからだろうか。
「おお、もちろんですとも! ささ、お前たち、おふたりを宝物殿にご案内しなさい」
助祭たちに連れられ、ふたりはいそいそと出て行った。部屋にはシンジとハルク、フレディだけが残された。
「ではクロス卿、いや使徒様。用事がありますので、ご一緒ください」
「えー」
「ささ、テプレーナ様がお呼びですぞ。すぐに儀式を始めなくてはッ!!」
ハルクとフレディは、シンジの両腕をガッシリ握った。
「え? ちょ、ちょっと!? 俺タイーホ宇宙人状態じゃんッ!?」
「宇宙人が何だか分かりませんが、ささ、奥の神の間へ」
「やっぱりあるのッ!?」
本神殿なのだから、当然である。
◇
「よく来たな、シンジよ」
そこにあったのは、ムキムキの男たちが幼女に片足ずつ踏みつけられている、再び事案発生の図だった。
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