第一話:"照る太陽に赫"
第一話 "照る太陽に赫"
●
「山田さん。ありがとうございました。」
「次に、図書委員長 飛蘇壱優太 さん壇上に上がってください。」
「はい。」
「今月の活動報告と全校生徒へのお願いをお願いします。」
「今月の活動は、入荷本リクエスト、3日間借り放題キャンペーンです。」
「貸し出した本の冊数は第一学年が102冊、第ニ学年が48冊、第三学年が90冊。」
「リクエストにより入荷した本は15冊です。」
「全校生徒へのお願いは、図書室では私語を慎み、静かに利用してほしいです。」
「飛蘇壱さん。ありがとうございました。」
「では次に校長の話です。校長お願いします。」
「はい。」
「えー明日はついに体育大会ということで、今日は1日体育大会のリハーサルを皆さん、すると思いますが、気温が高く、常に日が出ているので、こまめな水分補給を忘れずに、皆さんリハーサルに励んでください。
また、放課後に吹奏楽部による夏のコンサートがあるということで、時間がある方は是非見に行ってみてください。以上です。」
「校長、ありがとうございました。」
「これで、全校集会を終わります。」
―翌日
「ではこれより、令和7年度体育大会を始めます。」
「まず、校長の挨拶です。」
「校長お願いします。」
「はい。」
「蝉の鳴き声も少し煩く聞こえる季節となりました。
本日は本校の体育大会にお集まり頂いた保護者の皆様、御来賓の皆様に心より感謝を申し上げます。」
「えー本日は、気温が35℃を超えており、日も照っている為、こまめな水分補給などを忘れず、皆様の体調を第一に、楽しんでいただけると幸いです。」
「まぁ、私の挨拶もここら辺にして、早速最初の種目へ移りましょうか。私の挨拶は以上です。」
「校長、ありがとうございました。それでは早速、最初の種目へ移ります!」
「最初の種目は―第一学年:クラス対抗リレーです!」
「1年生は位置に付いてください。」
―
「この学校だな。伝説の戦士の末裔がいると噂の中学校は、」
「ちょろいもんだぜ。競技場への道のりで保護者から奪った名札とチケットを見せたらスラっと中に入れちまった。」
「早速やるか」
「第6レース いちについて…よーい」
「どん!!」
「すみません先生、飛蘇壱くんはいますか?」
「あー飛蘇壱くんなら用具室で次の種目の準備をしていますよー。」
「建物内に入って右手の階段を下りたところに用具室かあるので、用件があれば、どうぞ!」
「あぁ、ありがとうございます。」
―なんで用具室が地下にあんだよ…
「あっ!スイマセン、飛蘇壱くん、、ですか?」
「?…えぇ。そうですよ!なにか、用件でも?」
「えぇ、少し用件がありまして、、こちらの紋様に見覚えはありますかね?」
「んー?」
!!!!!
「こ、これは、、」
―ウチの家系の紋様…!!
「ど、どこで手に入れたんですか?」
「どこで…か、、言えないな―」
「―なんせ俺は、飛蘇壱優太。オマエのことを誘拐しに来たんだからな。」
「なッ…!」
「あー先生に言いに行っても無駄だぞ」
「俺の身内がお前のことは一時的に忘れさせてる。」
「…!!」
「あー名乗り忘れたな、俺は松浦だ。」
「これからずうっと仲間なんだ、しっかり覚えてもらうぞ。」
―――――――――
「いやー明日はいよいよ体育大会だな!優太」
「そーだなー!早ぇーよなー進級したばっかな感じだぜ。」
「それな!まじ時間の流れ早ぇ~」
「あ!そういえばさ、図書委員は体育大会の仕事なんなの?ウチ図書委員と仕事するって聞いたんだけど担当の先生がコロナで寝込んでてさ〜 まだ聞けてないんだよなー」
「あーウチとお前の保健委員は一緒に用具の準備をするぞ。」
「まぁ、一緒にっつっても保健委員は図書委員が運んだ用具を設置しやすい位置に配置し直すだけなんだけどな。」
「そっか、じゃあ俺らは今年ほば仕事ナシだな!」
「そうだな。羨ましいぜ〜」
「てかさ、優太ってもう進路決まってる感じ?進路面談、捗ってないみてぇだけど。」
「いやーそれがな、、先生にも母さんにも反対されててよー」
「全然先に進めてないんだよー。まだ3年の2学期だけど、早く決めときたいのにさぁ…」
「えー、吉岡は置いといてお前の母さんが反対するなんて珍しいな、、どんな進路なんだ?アーティストとか?でもお前の母さんが否定するとは思えねぇしなぁ…」
「まぁ、、お前には言えないかな!」
「えーー!!なんでだよー俺ら親友じゃんか!!教えてくれたっていいだろー?照れてんのかー??(・∀・)」
「まぁ、そのうち分かるさ。世界に必要な仕事だよ。」
―俺の夢は、今でも度々デカい被害を起こすエイリアス軍の事実上の支配から日本を救うことだ
。
そのためには政府公認のエイリアスから国民を守るための能力者組織、「Anti-clipple」に入らなければいけない。
ただ、そこに入るルートは隠されていて、自分から何度かの面接を通して、直接面接官から教えてもらわなければいけない。
東京の本部と京都、沖縄、青森の支部があって、面接はどこでもいいんだけど、東京の本部で面接をすると受かりやすいらしいから、理由を伏せて母さんと大阪から上京してきた。
ただ、今一つ大きな壁にぶつかっている。それは、母さんと先生からの反対だ。
Anti-clippleの面接、及び試験を受けるためには、未成年の場合、必ず保護者の同意が必要なんだ、命をかける仕事だからな。
また、事実上の支配というのは簡単で、政府以外のほぼ全ての組織の上層部にはエイリアスが居る。それによって日本の経済や商品などの動向がほとんどエイリアスに握られている。
また、政府以外といったが、政府内部には潜んでいなくとも、政府を裏で操るのがエイリアスだ。
このまま数十年経てば、少なくとも日本はエイリアスの手に完全に墜ち、人間の居場所は無くなるだろう。
まぁ、一億歩譲って潜んでるエイリアスを許したとしても、俺らの代は満足なまま死ねるだろうが、今の日本には意思を持たない凶暴なエイリアスが定期的な現れては、市民を襲う。
実際、多くの被害がでており、全国の交通事故、殺人事件などの半数をエイリアスによる被害が占めている。
―――――――――
松浦「こいつは、江戸時代に北海道を拠点にしていた蠣崎氏の家紋だ。」
優太「…」
松浦「ご存知の通り、お前の遠い親戚だ。そして、その親戚に日本初の共鳴発現者がいる。…お前にはその血が現代で最も濃く流れてる。」
優太「だから俺を誘拐して血筋を断つのか」
松浦「いや、何もお前を殺すなんてことはない。ただ、その血筋ってことは何か隠し持ってんじゃねぇかって上の奴らがうるさいって話だ。」
優太「まぁとりあえず誘拐されるって訳だな。」
松浦「そーゆーことだ。」
――
どうする…… もちろん大人しく誘拐されるわけにはいかないが、かといって逃げるわけにもいかない。
こいつの動機からして俺のことは絶対に逃がしたくないはずだ。よって外に仲間がいるとすると、最低5人はいると考えられる。多対一でしかも「一時的に忘れさせた」というこいつの発言から共鳴能力持ちだとも推察できる。仲間がいることが仮にハッタリだとしてもこいつに追われる過程で無害な人たちに被害が少なからず出る可能性がある。
よって純粋に階段から逃げるのは避けた方がよさそうだ。
じゃあこいつとここで戦うか…?というと、無理に決まっている。
少なくとも「最初の共鳴発現者の血筋」という重要人物を追う上で、
力を隠し持っている可能性のある俺に弱い刺客を送ってくるとは考えにくい。
しかもあいにく俺は何も力を持ち合わせていない…
… 一か八か!
松浦「さぁ、大人しく捕まれ。」
優太「…!」
*階段に向かって走り出す
松浦「お前の答えはそれか…。」
松浦は拳に赫い気を纏い攻撃態勢に入った。
*ドドドドドッッ!
― が、しかし、松浦が振り返り、階段の踊り場に向かってその気を飛ばそうとした時、
飛蘇壱優太は階段から転がり落ちていた。
松浦「何してんだ?!」
― こいつが俺を目で追い、後ろを向くときに起こすと考えられる行動パターンは3つ、
①:走って追いかけてくる
➁:外の仲間に任せ放っておく
③:こいつ自身がなんらかの能力で攻撃してくる
どうやら三番目が正解だったようだな!
そして、追ってきたり、放らずに真っ先に攻撃してきたということは、ここで逃がしたら
あいつにとってマズいということ、、!
よって外に仲間がいるとは考えにくい。
いたとしても数人だろう。少なくとも止めなければ逃げられる可能性があったってことだ!
しかも、最初こいつは俺に名前を聞いてきた。確証がなかったからだ!
つまり顔や位置情報は割れていない…!
コイツを振り切れば恐らくは… 逃げ切れる!!!
階段から転がり落ちた優太は、即座に体制を整え、倉庫の奥へ全速力で走り出した。
松浦「ッッ!」
松浦は再度手に赫い気を纏い、今度は狙いを慎重に定めた。
優太「オオオオオオォォォ!」
*ドゴンッッ
― こいつ、俺のパンチを三角コーンを投げて相殺しやがった…!!
優太は三角コーンを一つ持ち、倉庫の窓から出た。
― この窓の外は、荷物が多く置かれている廊下、、三角コーンを置けば時間稼ぎにはなる!
優太は三角コーンを置き、裏口に続く道を進み、階段を駆け上がる。
*ドンッ!ドンッ!ドンッ!
― 後ろからは激しい攻撃の音が聞こえてくる。
―そしてこの、階段の先の裏口扉を出れば人通りの多い商店街に出るはず…!
*ザワザワザワザワ…
優太「……来た!!」
松浦
「逃げ…られたか…クソッ!まぁた説教じゃねぇか。」
「やっぱ仲間連れてきときゃぁよかったな、」
「それにしても…案外頭の切れるやつだ。」
「…次は絶対に逃さねぇ。」
優太
「ハァ…ハァ…ハァ…」
「逃げ切れたみたいだな、」
「昔から知ってはいたが実際に見たのは初めてだぜ…共鳴…」
「それにしても、このままじゃいずれ友達や関係ない人間にまで被害が及ぶかもしれないな…」
――「蠣崎の血筋…逃げず戦うべし」
優太「そういえば……。」
― 四か月後
優太「先生。俺、この学校、、やめます!」
「んで、これが書類です。」
先生「ええ?!」
「もうすぐ中学も卒業だっていうのに、、なんで?」
優太「ある約束を、果たしたくて。」
先生「まさかとは思うが、本当にAnti-clippleに入るのか?」
優太「まだわかりませんけど、このまま学校に残るわけにはいかなくなったので。」
先生「そうか。まぁ、健闘を祈る。」
優太「めずらしいですね、応援してくれるなんて。」
先生「そうか? まぁ」
「―死ぬなよ」
優太「それじゃあ母さん、行ってくるよ」
母「気を付けてね。同意書は持った?」
優太「持ったよ。」
母「いってらっしゃい」
優太「行ってきます。」
第一話 "照る太陽に赫" 終




