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ー改変の章 9- 1柱芝居

 うーーーん。波旬(はじゅん)くんと天手力男神(あめのたぢからお)くんが、めっちゃくちゃ先生を非難しているような気がするんですが?大体、気持ち悪いって何ですか?天手力男神(あめのたぢからお)くんのほうが全身筋肉で出来上がっていて、見ていて、気持ち悪いんですけど?


「おい。今、我輩、すごく馬鹿にされている気がするのでもうす。もしかして、お前と合一(ごういつ)したニンゲンが何か言っているのではないか?でもうす」


「な、何もないのである。強いて言えば、筋肉と言うものは素晴らしいですね!ぜひ、その筋肉に触れてみたいです!とわがままを言っているくらいなのである」


(ちょっと待ってください!先生、断固、抗議させてもらいます!美しい筋肉と言うのは先生のような肉付きを言うのです!間違っても、あんな筋肉だるまが素晴らしいなんてことは、うーん?ちょっと、うらやましいかも?)


 うらやましいなら黙っておくのである!と想う波旬(はじゅん)である。波旬(はじゅん)は、うっうんと咳払いをし


天手力男神(あめのたぢからお)。貴様が【はっけい】の神力を感じたからと言っただけで、わざわざ第六天にやってきたはずがないのである。そろそろ、本当の理由を言うのである」


 ちっ、ばれていたのでもうすかと毒づく天手力男神(あめのたぢからお)である。


「ああ。ちょっと、うちの上司が伊弉冉(いざなみ)が受肉したことに怒り心頭なのでもうす。それで、そもそもとして、どれほどの欲望の持主が伊弉冉(いざなみ)を現世に呼び覚ませるきっかけになったのかを知りたくなったと言っていたでもうす」


「ふむ。であるか。貴様もヒステリーな女上司に付き合わされて大変であるな。しかし、そんなことを今更、知ったところで、伊弉冉(いざなみ)の【改変】はすでに終わりに近づいているのである。それを元に戻すことが出来ぬことも、天照あまてらすほどの大神(おおかみ)なら、わかっているはずである」


「まあ、それは月読つきよみさまも同じことを天照(あまてらす)さまに言っていたのでもうす。だが、頑なに天照あまてらすさまはその原因となったニンゲンを知りたがっていたのでもうす。だから、我輩が使いとして、第六天にやってきたと言うわけでもうす」


 なんだか、先生を放って置いて、話がどんどん進行していきますねえ?と想う信長である。だが、身体の意識を波旬はじゅんに乗っ取られている以上、奪い返し方もわからないので、黙って聞いておくことにする。ん?でも、ちょっと待ってください?ここって、欲望を司る世界・第六天ですよね?じゃあ、黙って聞いているのも何ですから、ちょっと、つまみとお酒でも楽しみながら聞きましょうか。


「なるほどなのである。ヒック。まあ、そのニンゲンの名前を知ったところでせんなきことと言えども、天照あまてらすほどの大神おおかみなら何か企みがあると言うことなのだな?ヒック。では、教えるのである。ヒック」


「おいおいおい。何をいきなり、酔っぱらいだしているのでもうす?ヤバそうな薬でもキメているのでもうすか?」


「いや。ヒック。くっ!おい、貴様!いくら、暇だからと言って、脳内で直接、酒を飲むのをやめるのである!影響がモロに表面に出ているのである!ヒック!」


(えええ?だって、退屈なんですもの。もっと、先生にも理解できる話をしてくださいよ)


「貴様にもこれから先、現世で生きていくのに重要な情報となるのである!黙って、大人しく聞いておれである!ヒック!」


「おいおいおい。今度は見えないお友達と会話しはじめたのでもうす。良い医者を紹介しようでもうすか?」


「やめるのである!どうせ、紹介すると言っても少彦名すくなひこなの奴である!あいつは新薬が出来たと言って、大神おおかみたちを試験体にする大馬鹿なのである!あいつこそ、蛭子ひるこの代わりに海へと流されれば良かったのである!」


 なんだか、曲直瀬道三まなせどうさんくんみたいな大神おおかみもいるんですねえ?と想いながら信長は、脳内でおつまみのせんべえをぽりぽりとかじるのである。


少彦名すくなひこなは現世でおもしろいニンゲンを見つけたから入れ知恵をしてくると言って、5,6年前に、ひのもとの国へ遊びに行ったようなのでもうす。なんでもニンゲンたちに医聖だと尊ばれているニンゲンと聞いたような気がするのでもうす」


「ふんっ。面倒な大神おおかみに眼をつけられたニンゲンもいたものである。こちらに被害が及ばないのなら、それに越したことはないのである」


「まあ、波旬はじゅんも現世に行くのでもうすよな?ニンゲンと合一ごういつを果たした以上は、現世で受肉するのが目的のはずでもうす。伊弉冉いざなみによって【改変された世界】に居てくれたほうが、より、神蝕しんしょくは早まるはずでもうすからな?」


「違うのである。そもそも、根本から貴様は間違っているのである。われはニンゲンの欲望を司る大神おおかみなのである!われ合一ごういつを果たしたニンゲンは【生きたい】と望んだのである!だからこそ、われはこのニンゲンと合一ごういつしたのである!」


 そう波旬はじゅんが言いのけた瞬間、波旬はじゅんの神気が膨れ上がる。しまったと想った天手力男神あめのたぢからおは平謝りすることになる。


「す、すまないでもうす!我輩が悪かったでもうす!【ことわり】を汚すようなことを言ってしまったことは謝るのでもうす。神界のとびきり美味い酒を持ってきたから、これで許してほしいのでもうす」


ことわり】?なんか、天手力男神あめのたぢからおくんがここ、第六天にくるまえに波旬はじゅんくんが言っていましたね?確か如来とか極楽浄土とかの時でしたっけ?


「おい、貴様!如来と浄土の話をするなのである!そこは【ことわりの外】なのである!声に出すことはおろか、想い巡らすことすら【禁忌】に触れるのである!」


(ちょっと!いきなり大声を張り上げないでくださよ!ったく、そんなに危険なのですか?その如来と浄土と言うのは?)


「おいおいおい。本当に波旬はじゅん、大丈夫なのでもうすか?禁忌と言いながら、お前が言ってしまっているのでもうすよ?ほら、この神界から持ってきた美味い酒を飲むのでもうす。ちょっと、落ち着くでもうす」


 波旬はじゅんは想わず、うぐぐっと唸る。そして、どかりとその場で座り込み、2柱分の湯飲み茶碗をどこかから、具現化するのである。


 天手力男神あめのたぢからおは、ガハハッ!と笑い、どかりと座り込み、差し出された湯飲み茶碗に、透き通るような色をした酒を注ぎこむのである。


(うーん。すっごく美味しそうなお酒ですね?波旬はじゅんくん、飲むときだけで良いから、先生に意識を返してくださいよ!)


「ダメなのである。神気を神力へと変換できるすべを知らぬ今の貴様では、神酒みきは猛毒なのである。よって、これはわれが処分するのである。結果的に貴様の力の向上へと繋がるのである」


 信長は、ちっ!と大きく舌打ちする。だが、波旬はじゅんは知ったものかとばかりに湯飲み茶碗に口をつけ、ぐいっと一気にあおるのである。


「ガハハッ!やっとわかってきたのでもうす。さっきから見えないお友達としゃべっていると想っていたが、合一ごういつしたニンゲンと会話していたのでもうすな!いやあ、我輩も現世のニンゲンと合一ごういつした際には、気をつけねばならないのでもうす」

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