宇宙猫王の日々
毎週見ているドラマ「窓辺のカプチーノ」で、宇宙猫王ニャウザー87世の隠し子だった虎之助は、父王の退位により宇宙猫王ニャウザー88世として即位しました。
異母姉のニャワーヌ元王太女を戴く反乱軍によって即位させられた虎之助にとっての望みは、早々にニャワーヌに王位を譲って地球に帰ることだけでした。
「どうでしょう。私が姉上を王太女に指名して退位すれば、姉上は合法的にニャウザー星の女王になれるし、僕は地球に帰れるんじゃないでしょうか」
虎之助はニャワーヌに相談しました。
「それは困ります。なんの落ち度もない陛下を退位させるなんてできません」
「姉上は本来王位を継ぐはずだったのですよ。それに、国民に絶大な人気があります」
「王位継承は人気投票ではありません。それに、私は王位に興味はないのです」
「でも、それでは私は地球に帰れないじゃないですか。地球では恋猫が私を待っているんです」
「いいじゃないですか。陛下は地球では、ぱっとしない会社員だったのでしょう? 恋猫はこちらに呼び寄せて王妃にすればよいのです」
王妃はニャウザー星内の貴族の娘から選ばれるという不文律がありますが、それは変えてしまえばよいとのニャワーヌの意見でした。
ニャワーヌ自身、政略結婚を拒否して今の夫と駆け落ちした身なので、その点は妙に理解があります。
超空間通信を使って地球にいる恋猫の加ニャに事情を話した虎之助に、加ニャは質問を投げ掛けます。
「それって、プロポーズなの?」
「……もちろん。僕と結婚して下さい」
「うれしい……でも、その言葉、虎之助さんが地球に帰ってきたときに、もう一度直接聞かせてね」
加ニャが望んでいるのは、ニャウザー星の王妃になることではなく、地球で虎之助と平凡な日々を過ごすことなのでした。
そして、それは虎之助の思いでもあります。
多くの従者が付けられ、王として敬意を持って遇されているとはいえ、それがうわべであることが虎之助にはわかっていました。
未開の異星から来た猫だと陰口をいう者もいます。
それに、法律上の最高権力者であるにも関わらず、政治のことは何もわかりません。幸い、王国を牛耳っていたシュドニャー公爵家が倒された後、ニャワーヌたちが議会機能を回復させたので、まかせきりにしています。
立派な服を身に着け、数々の公務で愛想笑いを浮かべ続けながら、虎之助の心は晴れません。
晩餐会や舞踏会では、未来の王妃にしようと貴族たちが次々に娘を近づけてきます。
果たして虎之助は無事地球に帰って来られるのでしょうか。
次回以降も目が離せません。




