私の決断
なぜか私の話で盛り上がっていた伯母さんとレイさんなんだけど、話が私の熱の話になったら、すぐに2人の話は終わりになった。
「なんだって、まあ、すぐに言わないんだい!熱があるなら、今日はウチで休みな!!」
「えっ!?で、でも…」
うつしちゃ大変だと躊躇う私を、伯母さんは物ともせずに『良いから良いから。そんな事は気にしないで良いんだよ』と家の中に連れ込んだ。
そして、レイさんにお礼を言う。
「あんた、エミリアを連れて来てくれてありがとね」
「いいえ。また明日、様子を見に来ても良いですか?」
「もちろんさ。エミリアも喜ぶよ」
「ありがとうございます」
レイさんは伯母さんにお礼を言うと、次に私に向かって口を開いた。
「よく休むんだぞ。明日、また来るからな」
「分かりました。あの、ありがとうございました」
私がレイさんにお礼を言うと、レイさんはニコッと微笑んで『じゃあな』と手を上げると、颯爽と踵を返して行ってしまった。
ーいやぁ〜ん!何、あのイケメン!!爽やかすぎる!!!素敵!!!
私がただ、ほわ〜んとレイさんを見送っていると、伯母さんから『さあ、こっちにおいで』と呼ばれた。
伯母さんの所に行くと、部屋に案内された。そこにはベッドがあった。ここは、従姉妹のお姉ちゃんが使っていた部屋だ。
従姉妹のお姉ちゃんは、今は結婚して家から出ているから、誰も使ってない。私は、その部屋のベッドに伯母さんによって追い立てられた。
私の抵抗なんて些細なものという様に、伯母さんは私をベッドに寝かせる事に成功した。
ー伯母さん、すごい!!
何がすごいって、押しの強さがすごい!ぐいぐいドンドンと私をベッドに追いやるんだもん。私の抵抗なんて、伯母さんからしたら、軽いものだったに違いない。
「ほら、ちゃんと休むんだよ!」
「はぁーい」
抵抗するだけ無駄だと悟った私は、伯母さんに言われたまま大人しく休む事にした。幸い咳とかしてないしね。
伯母さんは私がちゃんと休んでるのを見て『よしよし』と頷くと、部屋から出て行った。そして、すぐにまたやって来た。その手に、濡れたタオルと水の入ったコップを持って。
「水を飲むかい?」
「うん、ありがとう」
私はのそのそと起き上がると、伯母さんからコップを受け取って水を飲んだ。
ー冷たくて美味しい!
やっぱり熱のせいなのか、お水がとても美味しく感じられた。私はお水をぐびぐびと飲むと、コップを伯母さんに返した。
「じゃあ、おでこにタオルを乗せるからね」
「はぁーい」
再びベッドに寝ると、伯母さんがおでこにタオルを乗せてくれた。
ーひゃっ!!冷たい!!けど、気持ち良い。
やっぱり熱のせいなのか、冷たいタオルが気持ち良い。
「何か食べられそうかい?」
伯母さんに聞かれて、自分のお腹の空き具合を考えてみるけど、そんなにお腹は空いてなかった。
「うーん。あんまりお腹空いてないかなー」
「そうかい、分かったよ。それなら、少し休んでな。眠れるようなら、少し眠ったら良いよ」
「うん、そうするよ」
伯母さんに言われた事もあり、私は少し休もうと目を閉じた。眠れるかは分からないけど、早く元気になりたいから、ちゃんと休まなくっちゃね。
船に乗るにしても乗らないにしても、体調は万全にしないとだし。
伯母さんは、そんな私の様子を見た後、『また後で様子を見に来るからね』と言って、部屋から出て行った。
ずっと目を閉じていると、しばらくして『うとうと』してきたのが自分でも分かっ
た。その『うとうと』に、私は身を委ねる事にした。
☆☆☆☆☆
ハッと目を覚ますと、部屋の中が薄暗くなっていた。ベッドに入った時は、まだお昼過ぎで明るかったのに。私は結構寝ちゃったみたいだ。
ー今は夕方くらいかな?
ベッドから降りて窓から外を見ると、夕日が見えた。その夕日を見ながら、私はさっき見ていた夢を思い返す。
夢には、私が船で見た光景が出てきた。甲板についている血痕、血を流している人、そして、船から落ちる赤毛の男。
それらを見て怯えていたら、誰かが優しく頭を撫でてくれた。『頭を撫でてくれてるのは、レイさんかな?』と思って顔を見たら、それは父さんだった。
そこからは、私は父さんに抱きついて、盛大に泣いた。泣いて泣いて、文句を言ってやった。
『早く帰って来て』『寂しいよ』『会いたい』と。父さんは私を抱きしめたまま、また優しく頭を撫でてくれた。
と、そこで目が覚めたのだ。夢の中で泣いていた私は、現実でも泣いてたらしい。目元を触ると濡れていた。
ーあ〜、父さんに会いたいなー。
船に乗せて貰うかどうか悩んでたけど、夢を見て、ハッキリした。私、やっぱり父さんを探しに行きたいって。父さんに会いたいって。
だから、私、決めました!船に乗せて貰えるようにお願いしようって。




