船の実態
そうと決まったら、レイさんが起きたら、この船の船長さんを教えて貰わないとだ。
でも、雇って貰えるのか心配ではある。もう人が足りてて断られるかもしれない。それに、『女は雇わない』って言われるかも…。
って、それはないか!この船には、あの援護の時に指揮を執っていた美人さんがいるもんね!
と、考えていて、思い出してしまった。あの戦いを…。
ガタガタガタ…と震えが襲ってきて、歯がカチカチと音を立てる。
ー怖い。
私はぎゅっと目を瞑り、両手で腕を抱いて、再びベッドに突っ伏した。
その時、私を安心させてくれる声が聞こえてきた。レイさんだ。レイさんがいつの間にか起きていたのだ。
「エミリア!どうした!?具合が悪いのか!?」
「レイさん…、大丈夫です」
「大丈夫なもんか!震えてるじゃないか!」
「いえいえ、大丈夫ですよ。レイさんこそ具合はどうですか?」
「大丈夫だ。それで、エミリアは?具合はどうだ?」
ーあ〜、話を逸らしたかったのにぃー。上手くいかなかったよ。トホホ。
「…具合は悪くないですよ?」
「…そうか?本当に?」
レイさんはそう言うと、私の顔をじーーーーっと見てきた。
ーや、やめてぇーーー。恥ずかしい。
好きな人に見つめられて平常心を保てる女子がいるだろうか?いや、いない!!
レイさんが真剣な表情で私を見てくる。好きな人の真剣な表情って、ドキッとしません?
それまでもドキドキしてたのに、更に一層心臓がドキドキしてしまい、私の顔はみるみるうちに茹でだこの様に赤くなっていった。正確には、自分で赤いかは分からないんだけど、顔の熱さから赤くなっていると思う。
「顔が赤いぞ。熱があるんじゃないか?」
ーああ〜、お約束の発言が出てきましたよ。熱はありませんよ。大丈夫ですから。
「いやいや、熱はありませんから、大丈夫ですよ」
「いや、自覚がないだけかもしれない」
レイさんは素早く私のおでこに手を伸ばすと、そっと触れてきた。
「ひゃっ!!」
触れられた事に驚いて、思わず声が出てしまった。
「うーーん。熱があるな」
「はっ!?そんな、まさか!!」
レイさんの発言に私は驚いた。だって、熱はないと思ってたから。もしかして、本当に自覚がないだけだったの?
自分では、元気だと思ってたんだけどなー。
「エミリア、家に帰ろう。送っていくから。その船は、今、シバリャエラの港に停泊しているんだ」
「えっ!?そうなんですか!?」
「ああ。エミリアが気を失っている間にここまで戻って来たんだ」
「そうだったんですね。あっ!それじゃあ、アリシアさんとミレイアさんは、もう船にはいないんですか!?」
無事にシバリャエラに戻って来られたのは良かったけど、アリシアさんとミレイアさんに挨拶もなしにお別れなんて、寂しすぎるよ。
2人と一緒にいた時間なんてほんの少しだけど、濃密な時間だったし、勝手に仲間みたいに思ってたから、寂しい。
「いや、あの2人はまた船にいるよ。エミリアが起きるまでいるって聞かなくてね」
「!?。そうなんですか!嬉しい」
ーよ、良かったーーー。もう会えないかと思ったよ。ほっとしたー。
「今、起きられるか?」
「はい」
「じゃあ、2人を呼んで来るよ」
「お願いします。あと、この船の船長さんにもお会いしたいんですけど、出来ますか?」
「…船長?なぜ船長に会いたいんだ?」
「ちょっとお願いしたい事がありまして」
「何をお願いするんだ?」
「はい。『この船で働かせて下さい』ってお願いするつもりなんです」
「この船で?」
「はい」
「…そうか」
レイさんはそう言うと、黙ったまましばらく俯いた。
なんだろう?その沈黙が怖い。もしかして、私がこの船で働くのは反対なのだろうか。
「…本当にこの船で働きたいのか?」
「?。はい、そうです」
「本当の本当に?」
レイさんが何回も私の意思を確認してくる。一体、何なんだろうか?この船は問題がある船なのだろうか。
まあ、それでも私の意思は変わりませんが。父さんを探しに行けて、レイさんと一緒にいられるなら、それが最上ってものでしょう。
「本当の本当に、です」
私はレイさんに向かって重々しく頷いてみせた。そうしたら、レイさんが真剣な顔で言ってきた。
「…そうか。この船が海賊船だとしてもか?」
「はっ!?か、海賊船!?」
私はレイさんから告げられたこの船の真実に、驚愕の声を上げた。




