第48話 「大王国の片隅に」
旧い国ほど新しいものを・・・。
室内はランプではない明かりで昼間のように明るく照らされていた。
もちろん魔法の明かりでもない、魔族たちには馴染みがないが、私と蘭人にとっては
懐かしい明かりになる。
「なんか全然時代感が違うわね。」
「そうだな、同じような石作りだが、かなり時代が進んでるような感じだな。」
私達はこの街の中程にある商業ギルドお勧めの宿に部屋を取って窓から町並みを眺めていた。
なんと部屋は7階にあり、さらに最上階は7階は上になると言う。
高くても3階建ての建物が精々だった王国とは大きく違う。
街中にはこれ以上の建物も数多くあり一番の驚きは電気が通っていることだった。
室内は言うに及ばず、街中にも電気を使った広告まで存在するのだ。
とてもこの国が大陸最古と言われてもにわかには信じ難いところである。
「地球で言うと19世紀後半から20世紀前半というところかな。」
「検索能力か、記憶か?。」
「歴史で習った・・記憶だよ。」
「違うのはこの世界には科学以外に魔法があることかねぇ。」
冒険者ギルドにも立ち寄ってみた。
手配書のような類が回ってるかもしれないからと思ったのだが、
危惧していたものは表立っては表示されてなかったが安心はしないほうが良いだろう。
もしかしたら国家の問題には関与しないのかもしれない、大陸全土にある国々に拠点を持ち、国家からの独立性をもつギルド組織の特殊性からかも知れない。
しかし連絡が王国側に行かないとう保証はない、引き続き商人で通した方が都合はいいだろうと判断し、ここで調達して次の街で売れそうな品を探すべく、ミントとカカオは市場調査に走り回っている。
ヴァリアスは本物の馬の調達に向かったが、この国では馬よりも便利な物がありそうな気もする。この街というか国ならありそうな気がするんだよなぁ・・・。
「本」は未だ中間にも届かずしかし半時間前には新しい魔物の召還呪文を見つけたー
だが、ここで唱えていいものかが判断できない。
夕食の時間が近づいてきたので、食堂に向かうことにする。
部屋を出て鍵をかけ廊下の突き当たりにあるエレベーターホールにいき
ゴンドラを呼ぶボタンを押すとまもなくやってきてチャイムが鳴る。
内側の扉が開き中にいる女性が外側の扉を開けて降りてくる。
我々が中にはいると女性が扉を閉じながら乗り込んできて内側の扉を閉じるその後中にいる乗客に行き先を聞くのだ。
「1階へ。」
「かしこまりました。」
扉の傍にある操作盤を操作してゴンドラが下降を始める。
途中5階と3階に止まり人を乗せて1階に着くと、ここだけは外側にも人がいるので内側の扉を女性が開けると外側の扉が反対側から開く。
「おつかれさまでした。」
明るい声の押し出されるようにゴンドラから出て食堂の方に歩き始める振り返ると別の客達が乗り込んでいき扉が閉まる。
「お疲れなのは彼女だろうね。」
本が言うな本が。
食堂の入り口でルームキーを見せると席に案内された。
うむむむ・・・ここまで違うかと感心するのは現代地球を知る二人のみ。
本来食事をする必要の無いはずの四人は当然のように振る舞い引かれた席に座って差し出されたメニューを見ている。読めるのかな?。
[パイア読めるの?。]
[おまかせを、伊達に人族の何倍も生きていません。]
カカオとココアもちゃんと席に着いている、彼女たちは馬に擬態して頑張ったのだからご褒美の意味もあってちょっと贅沢を許したのだ。
食事の内容は実になんというかなんでここで、中華なのという内容だったとだけいっておく。フランス料理店で中華料理はありえんだろ~。
最後に杏仁豆腐が出てきたのにはマジでビビった、これはこの世界似すぎてるんじゃないかと思う。まぁ再三勇者召還を行う慣習があるから彼等が伝えたのもあるかもしれない。なにしろこの大陸で一番古くからある国がここだというし。
まぁホテルの中だし、もしかしたらフランス料理もあるのかもしれないし
食事を終えたあとは部屋に戻り、明日からの当座の予定を確認する。
我々の目的は帰還方法なのでそれを探るためにはこの国の情報が必要になるということで、ミント、カカオ、ヴァリウス、は夜の街に出かけていった。私は本を読み進めることとし、パイアは蘭人をつれて隣の部屋に行った。
護衛がいないじゃないかと思ったけど一応7階だしギルド推薦の宿だしと言い聞かせていたけど10分ほどでなんか不安になってきたので先ほどの召還呪文を唱えてみることに、ダイちゃんの時みたいな状況になら無いことを祈りつつ・・・。
これは、蜘蛛?蜘蛛の躰の上に人が乗ってる・・・アラクネとかいうやつかな。しかも雌まぁ昆虫は雌の方が躰がでかいから護衛には向いてるか
知性はどの程度あるのだろう?。
「あなたがマスターですか?。」
「喋れるの?。」
「もちろんです。」
「あなたの名前は・・・ラーニョいえラミ、ラミと呼びます。」
そういうと彼女の人間体のおなかの部分に手を入れて印を刻む。
「はいマスター、私はラミ。ご命令を」
「この部屋で私を警護しなさい。」
「はいマスター。」
返事をした彼女は室内を見渡したあと目に見えないぐらいの細い糸を出して張り巡らせた。さらにその糸のいくつかは部屋の外まで延びていったようだ。その効果は聞くまでもないかな、これで安心してくつろげると言うものだ。備え付けのソファーに腰を下ろし(ほとんど足が浮いているが)本を読み進める。
うとうととしかけたときにラミが警戒を告げる。
「廊下を近づく形態が人型のスライムがいます撃退しますか?。」
「それ味方だから、入れてあげて。」
もし刺客がいたとしてそれがスライム族で人の形態をとれるほどレベルが高かったとしたらーまぁしかたないそのときは隣のパイアがなんとかするだろうし、
いくら古い国とはいえそうそう都合良く・・・とか考えてるうちにカカオが入ってくる。
「ただいまマスター、新しい仲間ですね。」
遅れてミントも入ってきた、手に何か持っているな。
「・・・アラクネ族、もう少し魔力を抑えてもらわないと却って目立つ。」
「ああこの子は「ラミ」ラミ糸を戻して警戒態勢解除していいよ。」
「私はカカオでこっちはミント今いる中じゃ一番の古株ね。」
「ラミです、よろしくお願いします。」
「で、なにか収穫はあったの?。」
「流石にそう都合良くは、でも種はまいておきましたから数日のうちに何らかの情報は。」
「私の方は教会の坊主から少し情報を、といっても大したことはなく帝国の勇者の現在地くらいです。」
「なんで、坊主が・・・あっ教会のネットワークね。」
「ええ、教会に国境は無いような感じです。」
その辺りは何処も変わらないか、ただゾエルデン王国と隣接するこのムーラン大王国との文化レベルの差は何処から来るのか?
こうなるとナーモニィ共和国(ゾエルデン王国の友邦)の町並みや文化や技術も見てみたいな、たしか帝国は(ボブラムだっけ)新興だと聞くがそっちはどうなんだろう?。
たぶん、追っ手がかかっているとは思うんだけれども観光したいという欲求は押さえられそうにないな。
電気があれば夜も明るく、魔物も近づきにくい~というか古い国だけに魔族はともかく魔物の排除は良く出来てるはずです。魔法がある世界ゆえの科学の浸透具合は地球とは違うでしょう。




