第一話 「転生だけの人生よ。」
「・・・で、私は今度で7回目なの?。」
私という意識が何者かに語りかけているここはどこだろう。
何も見えないし感じないのに「それ」がいるのがわかる、ここがあの世なのだろうか?。
[そういうことになるな、我の世界では・・・だが。]
どこか遠くで他人が話してるように聞こえてくる本当に私はここにいるのだろうか?。
「なにそれ?もしかして他でも転生してるの。」
[さあな、*@$は我が引き取ると安堵していたが、何かやったのか?。]
「覚えてないからなぁ~、前の記憶って消すんでしょ?。」
[まぁそういう取り決めであるな、でないとやり直してる意味がないではないか。]
「そんなもんかなぁ~前の記録があるとそれを参考にして失敗しないと思うんだけれど。」
[その台詞も前に言ったことがあるのだぞ?。]
「あら?まじで・・・ということは何回かは前の記憶を持って転生してる?。」
[うむ、その度に後悔をしてるぞ?今回もそうするのかな。]
「いや、流石にそれは・・・でも今まで何をしてたかは聞いてもいいかな?。」
[ふむ、それは初めての希望だな、我の世界での一回目は今から2千年ほど前になる、西方大陸「キヌンナ」の神聖王国の騎士として・・・・。]
そこから延々と私はこの世界に転生してからの人生を6回分聞かされた。
明かりもなく、闇もない、音もなく、匂いも、上も下もないし、時間もないこの空間では
さしたるものではないのだろう。聞きたいか?私は語りたくないぞ、長すぎるいや短いのもあるが・・・。
[・・・ということで、華々しい吟遊詩人の流浪の旅は終わったわけだ。]
「それって、失敗?。」
[成功したと思うのか?天寿を全うしその際に悔いを残さぬことと、転生時の課題をクリアせねばならぬというのが決まりだが。]
「・・・他にもいると思うんだけど、成功する人いるの?。」
[・・・まぁ、お前さん程じゃないが少なからずいるはずだ・・・]
[さて、話しすぎたようだな・・・今世は召喚士という選択に相成った。ちなみに先程の話も今までの会話も我の存在も転生してのちは覚えておらぬからな・・・。]
「ちょ・待った~それないんじゃ・・・。」
私?の抗いも虚しく、意識が再び途切れて真の闇の中に溶けていく。
死?
転生?.
眠り?
誕生?
目覚め?
そして目覚めると・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
絶海の孤島に私はいた。
青い空
碧い海(いや近くはエメラルドグリーンだが)
白い砂浜(歩くとキュキュっと音がする)
「どこだ、ここ~!!。」
思わず叫ぶ自分が居た。