第48話 モーズ家の神聖魔術2
それは凄まじいパンチ力だった。
そのモーズさんらしき巨漢の老人に殴り飛ばされた少年の体は木々をなぎ倒し、モーズ邸のある丘の斜面をえぐった。
「モーズさんって確か……
神聖魔術学の権威なんだよなあ?
どう見てもフィジカルゴリゴリの
肉体派なんだけど……」
そして、驚くべき事にそのパンチを食らった少年は何事もなかったかの様にむくりと起き上がった。
「痛ってぇなぁジジイ!
これが最愛の孫に対する仕打ちか?」
「やかましいわ!このバカ孫が!
せっかく訪ねて来て下さった
教皇の御子息を水車に張り付けて
拷問する馬鹿がどこにおるか!」
「あのボンクラ息子が
『せっかく田舎に旅行に来たから
水しぶきを浴びながらギャルと戯れたい』
とか言ってたから、
町一番の力持ちギャルの
アンドレアさんの腕力による
人力水車のアトラクションを
楽しんで貰っただけじゃねーか!」
「馬鹿モン!
泡吹いて失神されとったそうじゃないか!
モーズ家の面目も丸つぶれじゃ!
今日という今日は許さんぞキース!」
モーズ氏が呪文を唱え始めると天から光の柱が彼に降り注ぎ全身が神々しく輝き始めた。
「コース・サイリグ・シーグン・シーグー……」
「おい爺ちゃん、その呪文は洒落にならんぞ!」
「リッキー様……あれは昔
アドリアーノ大帝を封印する為に
帝国教会が開発したと言われる極大封印魔術です……」
「え……?それって自分ちの庭で
人間の子供にかけて大丈夫なやつなの?」
「キース……天に召されよ我が孫よ……」
「あらやだ、自分の孫を昇天させようとしてるわよあの爺さん!」
「はーーー!!」
モーズの両手から放たれた幾千もの光の糸がキースに絡まり、それが巨大な繭となり、キースの全身を完全に包み込んだ。
「リッキーちゃん……
ワタシたち完全に身内同士の殺人現場を目撃しちゃったわよ……」
そして、モーズさんは大きくため息をついた。
「はぁ……本当に世話のかかるバカ孫じゃ……」
彼が指をパチンとはじくと光の糸が解け、気を失ったキースの姿が現れた。
そして魔力封印の札が付いた縄でキースを縛り、肩に担いで家に戻ろうとした所を俺は慌てて声をかけた。
「あの……すいません。
あなたはモーズさん……
マーティン・モーズさんですよね?」
「ん……?
そういえばアンタ達さっきからいたのう。
何か用かい?」
「あの俺、何年も前に、
ある呪いにかけられまして。
神聖魔術の権威、モーズさんなら
何とかして貰えるんじゃないかと聞いて訪ねて来たんですが」
「どれどれ……ほう。
確かに……貴方は呪われていますね。
これは、モーズ家として
見過ごすわけには行きませんね。
どうぞ、中に御入り下さい」
「その……肩に担いでるのは
お孫さんですか?」
「お恥ずかしい限りです……
これは孫のキース。
少しばかりデキが悪くて困っております。
随分とお恥ずかしい所をお見せしました」
俺達はモーズ家のリビングに通された。
そして5分程待つと、服を着替えたモーズさんが現れた。
「どうぞ、スティレスドーフ
名産品のハーブティーです。
御口にあえば良いですが」
「え?誰!?」
そこに現れたのは先程とはうって変わって、身長は160センチぐらいの小柄な老人だった。
「私は魔力を増幅させると肉体が魔力を吸収して
ちょっとだけ巨大化するんですよ。
毎回服が破れて大変ですがの」
「ちょっと所ではないですけどね……」
「では……さっそく診察から
始めますかな」
モーズさんは俺に両手をかざし目を閉じ魔力を集中した。
「これはこれは……成程。
これはまた厄介な呪いに
侵されていますね」
「どうでしょうか?モーズさん?」
「結論から申し上げましょう」
「お願いします!」
「この呪い解けますぞ。
リッキーリード殿」
「え!?モーズさん!
今なんと!?」
To Be Continued…
:現在の主要登場人物:
リッキー・リード:
身長 150センチ
ドロナック大戦の英雄。
呪い解けるかも知れない。
クリス・ロージー:
身長 157センチ
リッキーの弟子。
クロスローズシティでは今や有名な酒乱魔道士。
メイ・アンデルセン:
身長 205センチ
怪力と硬質化能力、黄金化ゴールデンマザーメイに変身出来る。
元シスター。
リリアン・ブラッドフィールド・リード:
身長 177センチ
リッキーの養子兼ボディーガード。
変態魔法戦士。
魔族大陸グランデネロの【血の戦場の狂戦士リリアン】。
マーティン・モーズ:
身長 158センチ~215センチ
128歳。
聖人エリック・モーズ神聖魔術の伝承者。
魔力増幅により肉体が巨大化する。
キース・モーズ:
身長 155センチ 年齢13歳。




