表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心を自然解凍  作者: あまやま 想
第5章 過去は不変 未来は無限
PR
39/69

① 百道夫婦の新しい一歩ー2

「それでよかったんじゃないの。そのおかげで伸一さんは、今も生きている…。出世していたら、今頃、ここにいなかったかもしれないよ」


「えっ?」


 またしても妻に意表をつかれて、伸一はどう答えていいかさえ分からずにいた。このところ、毎日、桃子の新しい一面を見せられているようで戸惑いをかくせない。


「私が、志恩を野心的な男になるように育てたから、志恩が違う世界へ行ってしまったのよ。きっと…。案外ね、健芯みたいにマイペースにやっていける人の方が、細く長く生きていけるんじゃないかな…。最近、健芯を見ていたら、そう思うの」


「だから、そんなに自分を責めるんじゃない。あの事故は本当に残念だった…。しかし、志恩はやりたいことをやれたんだから、案外、あの世で満足していると思うけどな…」


 どうにかして、うまく話をいい方向へ持っていきたいのだが、桃子の母としての自責の念が思った以上に強くて、伸一は思わずたじろいてしまった。


 このまま続けていても活路が見出せない…。ここで伸一は切り札を出すことにした。室見川から、ぜひ進めるように言われたNPO法人コンティーゴの親睦会の話である。


「そう言えば、十月最後の日曜日にコンティーゴの親睦会があるらしい。一緒に行って、志恩が見て来た世界を一緒に共有しないか…」


「そうね。伸一さんがそう言うなら、一緒に行きましょうか。それにしても不思議よね…」


「何が不思議なんだよ…」


 伸一は、突然不思議と言われて、またしてもたじろいでしまった。妻のまなざしが思いの外、真っすぐで力強くて、押しつぶされそうになりそうな錯覚を覚えたほどだ。


「もし、こんなことがなければ、伸一さんは知り合いの会社に再就職していたでしょう。私は、私で好き勝手やっていただろうし、志恩もさらに活動にのめり込んでいったでしょうね。そして、健芯は誰にも気付かれることなく、家の中で孤独のまま過ごしていたかもね…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ