蛭田達也という天才 ネタバラします
蛭田達也さん。
今の若い方は、どの程度、知っているでしょうか?
知らないとしたら、そのことを、とてもかわいそうに思ってしまうんです。
今、琴線というか、ボクの心を揺さぶった作品を思い返して投稿してるんですが、蛭田達也さんの『コータローまかりとおる!』を思い出して、困ってしまいました。
心を揺さぶる場面だけじゃないんです、その展開の発想の素晴らしさとか、語りたいものが多すぎる。
といっても、今、手元に無いので、うろ覚えで語りますが……。
完全に、ナンセンスなコメディ路線のスタートだったと思うんです。
2万人の生徒が通う広大な敷地の高校。
ケンカ友だちみたいな風紀委員は、和装でツルッパゲの居合い抜きの達人。
常に真剣を携行しています。
ね?あり得ない話でしょ?
主人公は、全国10万人の不良生徒を統括する学園マフィア『蛇骨会』の後継者として誘われたりします。
ね?リアルな路線を狙ってる気がしないでしょ?
ところが……ところがですよ!
あれ?作者が趣味に走ってちょっと脱線してる?みたいなエピソードまで、大切な欠片として、壮大な物語を創りあげていくんです。
スゴくハッとした割に、どんな言葉で語られたか覚えていない発想、うろ覚えで申し訳ありませんが(笑)主旨を綴ると……。
100人の群の中で、たった1人、いきなり右を向いたとしても、何も起きない変わらない。
でも、1万人の群の中で、100人が、いきなり、同時に右を向いたとしたら……。
それは群に影響を与え、群を動かす流れの始まりにだってなり得る。
この発想、けっこうハッとしませんか?
で、そんな意図の元で、ただの不良の集まりでしかなかった蛇骨会の、後継者争いが激化します。
それだけでは、ありません。
見るものに、言葉を使わずに催眠暗示を掛けていく踊りの技術、千葉流。
それらを使って企まれる陰謀とは?
それは、残酷な古いしきたりによって心を壊された天才が、偽りの幸せを保つ為の日々に疲れて選んだ、≪滅美≫。
己を苦しめた家柄が説く究極の美で、苦しんだ人生に決着をつけようとするのです。
主人公は、拐われた友を取り戻すため、すべてを終わらせる陰謀を止めるため、日本の法律の届かない米軍基地の内部へと、乗り込んでいきます。
そして、その決着は――――。
決して、一方的に正義として悪を討つ結末ではないんです。
読む者たちにも、「何か、よい解決ないのか?」と思わせるような流れですし……。
だからかな……最後の“花言葉”のところ、鳥肌が立ちました。
あの女のコを登場させた時、もう、ここまでの構想ができてたのかな?って。
それにね、ラスボス。
あれ、テキトーに作ったんじゃなかったかな?
なんか、オトナの事情みたいなものでしたよ?
それが、ここまでの存在になるなんて……。
構想あっての作品って言うより、臨機応変に構想を広げていった作品なんじゃないでしょうか?
とにかく、読んでいただきたい。
D地区編からです。
そこまでを読んで評価されて放り出されても困るんです。
D地区編以降から、いきなり、すべてのレベルが上がっていく作品ですから。
蛭田達也さんを知らない。
コータローまかりとおる!(D地区編以降)を知らない。
そのことで若い方をかわいそうに感じてしまうんです。




