第九話「爽やかな朝」
そこは見渡す限りの草原だった。
朝露に濡れた芝生が適度な湿度と爽やかな風を運んでくる。
「あとは、これさえなければい居場所なんだけどな~」
帝都の復興に手を貸して1ヶ月。
現場は最低限人がすめる町まで工事が進んだので後任に任せた。
ブラドは監督たちから俺は現場はからディアナばぁさんは事務方から見捨てないで~と叫ばれながら帝都を後にした。
キャナルの話内容を確認するために俺は今、獣人族の縄張りが点在する大平原に来ている。
≪獣人族は昔よりも退化していませんか?≫
「「「「オォォォォォォ!」」」」
「「「「ヤァァァァァァ!」」」」
凄まじい雄叫びをあげて激突する二つの集団がいた。
狼の特徴を持つ種族と蜥蜴の特徴を持つ種族の集団が争っているのだ。
「おっと。」
飛んできた流れ矢をキャッチした。
「うえ、矢じりに毒塗ってある。汚な~。」
≪噂に聞くアカマダラガエルの毒ですね。擦っただけで泡を吹いて死ぬと言う。≫
「えっ?あれってそんなにおっかないカエルなのか?配色が面白かったから昔飼ってたんだが。」
≪体調に変化はなかったですか?≫
世話をしてたら手がかぶれたかな?
しかし、戦に毒矢まで持ち込むとかなんかもう色々末期だな。
≪どうしますか。≫
「≪風よ、避けよ。≫・・・う~ん、まだどっちにつくとか誰を支援するとか決めてないしな~。」
どうしようかな?そうだ。
まずは息を吸い込む。
「≪大気よ、去れ。≫」
広域に魔法を発動する。物は試しにこの辺りの酸素濃度を3分の1にしてみた。
バタバタバタバタ。
うん、ちょっとやり過ぎた。
急激な酸素濃度の低下からみんな白目向いて倒れてる。
≪やりすぎでは?≫
「いや、そうでもないらしい。」
かなり広い範囲に放った魔法だがどうやらこの場にいた全員に効果があったわけじゃないらしい。
青い槍を持った狼の獣人が立ち上がった。
反対側では赤い二振りの剣をもった蜥蜴の獣人が立ち上がった。
「今のはなんだ?」
「魔法か?その人族の仕業か?」
ふむ、どうやらこの二つの集団の頭目かなにかだろう。ちょうど二人か。
「ふっ。獣人族は頑強で強靭な種族だと聞いていたが大したことはないな。」
ちょっと挑発してみる。
「「ぐっ。」」
ん?なんか期待してた反応と違うな?
「どうした?これは挑発だ?かかってこないのか?」
しかし来ない。二人のとった膝をついて自分達の武器を差し出すことだった。
一筋の爽やかな風が草原に抜ける。
あれ?




