第四話「モンスターパニック」
《モンスター、シフトショックで生物が変異するというあの?》
「ああそうだ。世界改変が発生しシフトショックが起こるんだが、どうも段階があるみたいなんだ。」
《本で読んだ仮説しか知りませんが確かに知性が低い生き物ほど早く変異するとか?》
「多分そんな感じで大体あってる。最初は環境が変化し、次に単純な生き物が変異し、さらに進行すると大きな動物が異形に、最後はその土地の全ての生き物が既存の生物とは別の生き物になる。もちろん五種族も含めて全てだ。」
《例外はないのですか?》
「一度シフトショックが発生した場所から逃げ切った経験のあるものはどうやら変異をおこなさないらしい。すでに身体が作り変わっている抗体が出来るのかはわからないが。」
《なるほど、だからこんなに異常な戦闘能力が身に付くのですね》
「・・・・・。」
さて、おしゃべりはここまでだ。
体内で気を練る。
「《スパーク》!」
得意な詠唱破棄の雷魔法。実は二種属性混合の高等魔法だったりする。
直線に雷のような轟音と光、かなり調子がいい。
砂煙の中で紫電がうねる。モンスターたちはかなり密集していたようだ。先頭集団が崩れて後続がバタバタと倒れ将棋倒しになっていくのがここからでもわかる。
「伊賀流武闘術三ノ型《駿馬脚》」
次は練った気を足、背中、腹に回す。肉体が活性化し筋肉が暖まっていく。
《技というより魔法に近い感じがしますね。》
「忍術ってんだと。仲間に達人がいて教えてもらったんだ。んじゃいくぜ!」
俺は砂煙の方に走り出した。足の力がみなぎる!
どう世界が滅びるのかは分からないがモンスターが大挙して押し寄せてきている以上帝都で何かが起きているんだ。急がなくては。
《あの、もしかしなくても?》
「つっきる!」
先頭のモンスターはスパークの効果で痺れて動かない。
だから足場にする。スタタタっと!
【ギョアアアアアアアアアア!】
【ギゲゲゲゲ!】
【クシャアアアアア!】
うん、いつ見ても気持ち悪い!虫系やブヨブヨ系の謎生物がいっぱい。幸い獣のモンスターはいないみたいだ。白を基本色にして赤、紫、ピンクのラインが入った謎生物たち。
《すごい数ですね?》
ちょっと返事をしてる余裕はないかな。
ネバっと迫ってくるスライムをかわしカマキリみたいなのの鎌を潜り抜け蜘蛛のお化けを足蹴にする。
「《ライトニングボルト》!」
晴天に雷が落ちる!強引な事象改変て世界改変の影響で魔力をごっそり持っていかれた。
(このままじゃ長続きしないな。)
モンスターも組織的に俺をおってる訳じゃない。ただ出会い頭に襲われているだけだ。
「何か効率のいい戦闘方法はないか?」
《この砂煙を利用するのはいかがでしょう?》
ん?砂煙?ああ、なるほど、摩擦で電気が!
「ナイスアイデア!《ウィンドウェーブ》!」
モンスターの群れが立てる砂煙を風の魔法でうまく集める。
あとは持続的に魔法を操るだけだ。
「≪スパーク≫!」
このスパークは呼び水だ。集めて風で砂煙を操るだけだ。摩擦で電気が増幅される。
「《タンブルウィード》とでも定義しよう。」
《すごいコントロール力ですね。効率もとてもいいです。》
砂煙の波が渦巻きそれに巻き込まれたモンスターが感電し痺れ動けなくなる。殺傷力はそこまで高くないが目眩ましとマヒで一気に進みやすくやった。
「このまま抜けるぞ!」
≪頑張ってくださいね。≫
帝都が少しずつ近づいてきたぜ!