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王太子、エリオット・エラージュの断行

「シンシア、ジークレイ、両名は今日をもって王族籍を剥奪。ジークレイは労働者として、中立な場となる帝国の属国へ輸送される。同じくシンシアも戒律の厳しい修道院へ向かう。ここまでが、国賓に対して罪を犯した者の王家が下した処分となる。エリュドラン王国とアリアナ嬢に対しての賠償は、このように提示したい」


 記した用紙をテーブルに置いた。


 ピーターズ卿は、それに視線をチラリと向ける。


「ふーん。うちの国境に一番近い鉱山の採掘権5割かぁ。潤っている鉱山を提供してくれるんだね。でも、ちょっと少ないんじゃない?7割はもらわないと」


「では6割で。残りは鉱山の維持管理費に充てたい」


「うん。それなら、いいよー」


 ピーターズ卿は、底が読めない顔で微笑を浮かべている。


 鉱山一つでこの国が救われるのなら、安いものだった。


 シンシアには行き先を告げずに馬車へ押し込み、目的地に押送する手筈になっている。


 ジークレイには父上から直接話が伝えられ、騎士団に拘束されてから帝国の隷属国に送られる。


 実質的な廃嫡だ。


 送られた先でどうなろうと、もう王家は関与しない。


 兄と妹を切り捨てる事態に至るまでに、あの二人の更生が叶わなかったことが悔やまれる。


 血を分けた兄妹を、どうでもいいと思ったことはなかった。


 あの二人には、何度も、何度も、やり直す機会はあったのに。


 でもこの先、国の為を思えばこうするしかない。


「我々は、エリュドラン王国と友好関係を続けていきたい。技術提携を続けてもらえるだろうか」


「はいはーい。そこは、アリアナさんとアニーさん姉妹の悲願ですからね。僕はそれを叶えてあげたいよ」


 ピーターズ卿の言葉に密かにホッとしていた。


 細かい取り決めは、今度こそ交渉官に任せる。


 まだまだ、私のやらなければならないことは山積みとなっていた。









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