交渉官、マルコ・ピーターズの薄ら笑い
交渉前の整理段階ってところであっても、愚か者の国の担当者の前で、薄ら笑いを浮かべて圧力をかけていた。
容赦する気も、妥協する気もない。
「それで、君達はどんな責任をとってくれるのかな?」
目の前の連中は、王族でーとか、姫がーとかごにょごにょと言っている。
そんな気弱な態度で僕の前に立たないでほしいなぁ。
こちらで詳細は調査済みだから、もう曖昧にさせるつもりはなかった。
「うん。それで?」
「こ、今回は、未成年の者同士のトラブルであって……」
何が未成年だ。
不当な扱いをしたのは、第一王子でしょ。
「で?」
「なので、大事にする、必要は……」
「だから?」
君達バカだねって、笑い出しそうだった。
「君達、何か勘違いしているけど、アリアナさんをいきなり国外に放り出しておいて、もし傷一つでもついていたら、僕みたいな交渉人に出番なんか回ってこないで、もう、今頃ここが焼き尽くされているよ。で、必要な知識人だけを攫えばいいことだよね。それをしないのは、僕達は蛮族じゃないし、言葉が通じる同じ人間だからだよ。同じ人って言ってもらっているうちに、ちゃんと罪を犯した人間に、それ相応の償いをさせてね。未成年だとか、王族だとか、もうそんな事を言っている段階じゃないんだよ。君達の言動一つで国の命運が分かれるって状況が分かってる?役立たずな交渉官だね。話にならないよ」
「し、しかし……」
まだ何か取り繕うとする相手に、
「遅くなってすまない。罪人を隠すつもりも、庇うつもりもない」
話が進まないなぁって思ってたら、話が通じる第二王子様が登場した。
「ピーターズ卿。王家の決定を伝えに来た。まずはそれを聞いてもらえないだろうか」
はいはい、いいですよー。
頑張る若い子は好きだよー。
一段と精悍さが増した王子様の、次の言葉を待ってあげていた。