42話 報告&製作依頼2
マリ装備屋のウィリアムとハルカの三人で冒険者ギルドに向かうと。
ようやく馬車が見えてきた。そして馬車の横で暇そうにしてるドレインが見える。ヘイロスとドランの姿は見当たらない、まだ冒険者ギルドの中にいるんだろう。
ドレインに声を掛けようと――ドレインの視線が気になった。
気になったのでドレインの視線の先を見ると、二人の女性がいた、金髪のストレートヘアーで、もう一人は茶髪のポニーテールだ、二人共可愛らしい子だ。二人共冒険者の恰好をしていて、年齢も10代と若いロキとドレインと同じくらいだ。
もしかしてと思いドレインに声を掛けようとするが、近づいてもまだ気づかないので耳元に声をかける。
「..ドレインどこ見てるんだ」
ドレインは飛び跳ねるぐらい驚く。
「わっ、ち、違うぞ。あ、ロキ」
「なにが違うんだ。ドレインあそこにいる女性を見てただろう」
「ん、嫌まぁな。アカマツ村には同年代の女がいなかったからな見てたんだ。ここは本当に色んな人が種族がいるんだな。正直驚いた」
「俺も最初来た時は驚いたよ。でっ、どっちが好みなんだ」
「やめてくれよロキ。あっ、親父に言うなよ」
「どうするかな」
ロキは同年代のドレインをからかいながら無邪気に会話をした。この世界で初めての友達だからだ。エイラ少佐がずっと一緒にいるが、友達感覚では話せないから、ドレインとの会話を楽しんだ。
――横から苦笑いしてるハルカが話し掛けてきた。
「ロキさん。お邪魔しちゃ悪いけど私達を紹介してくれませんか」
「あっ、すいません。こちらがドランさんの息子のドレインです。それでこちらの女性がマリ装備屋のハルカさんで、俺の新しい装備を製作してくれる人だ」
ドレインとハルカがお互いに自己紹介をしていると――隣にいた変態筋肉のウィリアムが、俺の紹介はどうしたと無言の嫌――マッスルポーズでプレッシャーをかけてくる。
ハルカも父親のウィリアムを無視してるから、ほっとこうと思ったがマッスルポーズでじりじりと近づいて怖いので。
「あっ、ドレイン。もう一人大事な人を紹介する、こちらの人はマリ装備屋の店主でウィリアムさんだ。そしてハルカさんの父親だ」
「えっ、ハルカさんの父親ぁぁー」
ドレインが驚き、ウィリアムさんとはハルカさんを繰り返して見比べる。
(まぁ、驚くよな、全然似ていないし、ちなみに奥さんは美人だって教えたらどんな顔するかな、いつか教えてやろう)
⦅ロキ二等兵何がそんなに楽しいんだ⦆
⦅男同士の友情ですよ⦆
⦅有機生命体は理解できないな⦆
しばらく見てるとドレインとウィリアムの自己紹介も終わったみたいだ。ウィリアムに身体を触れたみたいだな、ドレインの顔が青ざめてる。
ドレインの気持ちは痛いぐらい分かるので助け船を出す。
「ウィリアムさんハルカさん――これが風牙狼のネームドモンスターです」
ネームドモンスターの上にかけてあった布を取り外し指をさした。
二人が近づいて覗くと――。
「これが風牙狼のネームドモンスターかとんでもない大きさだな。若い頃何度か通常の風牙狼を討伐したことがあるが全然大きさが違うぞ」
「凄いわこんな大きな魔物をロキさんが一人で討伐したの」
ウィリアムは腕を組みながら牙や爪を確認する。ハルカはロキに尊敬な視線を向けるが、ネームドモンスターが気になるのかウィリアムと一緒に装備の素材になる箇所を調べる。
ちなみにウィリアムから解放されたドレインに親指を立てて(助けてやったぞ感謝しろよ)合図する。ドレインも親指を立てて(助かった)合図する。ドレインの目元を見ると涙の後がある泣いてたようだ。
ウィリアムとハルカが装備製作のことで相談していた、ロキも気になるので近づく。
「あ、ロキさん装備のことで聞きたいことがありました」
「なんですかハルカさん」
「装備の性能は以前使っていた【風牙狼の軽装】の体力値と俊敏値がある性能でよろしいんですか」
「体力値と俊敏値が上がる装備がいいですね。前と同じような性能ができますか」
「同じ性能ではないですよ。こちらのネームドモンスターの素材で作成しますから強化されてます」
ウィリアム同意して答える。
「こっちも同じ性能でいいのか?」
「はい。武器も同じ性能でお願いします。あ、ただ、強度は高めでお願いします」
「おう、任せろ」
「細かいことはウィリアムさんとハルカさんにお任せします」
三人で新しい装備のことで話し合いをしてるとーー横から知ってる女性の声が聞こえて来た。
「ロキ君お久しぶりです」
振り向いて顔を見ると、冒険者ギルドの副ギルドマスターのレイカだった、いつものギルド職員の服を着て素敵な笑顔で挨拶した。
「あ、レイカさん久しぶりです。それとヘイロスさんドランさんご苦労様です」
レイカの後ろには疲れ切った表情のヘイロスとドランがいた。その後ろには数人の冒険者ギルドの職位がいた。
レイカがネームドモンスターを覗き込むと。
「これが報告にあった。風牙狼のネームドモンスターですね」
人が集まり出してロキ達の周りが騒がしくなってきた。
「あれ、なんであそこに副ギルドマスターがいるんだ」
「ドランさんもいるぞ。あそこにはマリ装備屋のウィリアムさんとハルカさんがいるぞ」
「なんかあるのか?」
「なんだろうな?」
レイカが手を叩いて冷静に指示をする。
「ここでは目立ちますので、冒険者ギルドの裏手にある倉庫に移動しましょう。ここに来る前に職員に指示を出しています急ぎましょう」
ギルド職員の案内で倉庫に向かう、ヘイロスが馬車の操車に乗り、ハルカとレイカも馬車に乗り込み。他の人達は馬車を警備するように移動を開始する。
冒険者ギルドの裏に着くと、横に引く頑丈な門が見えた。ギルドの職員が門番に近づいて指示をする。
門が開き馬車を敷地内に入れる。
冒険者ギルドの建物の正面入り口から、逆の裏手の入り口に入る。
レイカが馬車から降り声を掛ける。
「本来こちらは関係者以外立ち入り禁止ですが、今回は特例として許可します。早速ネームドモンスターと風牙狼の素材を運びましょう」
レイカの指示の下、魔物の素材は冒険者ギルドに運ばれて行く。ロキ達も手伝いをして建物の中に入っていく。
建物の中に入ると冷蔵庫の中に入ったような冷気を感じた。大きな棚があり魔物の素材が整理整頓され置かれていた。
⦅ここは魔物の素材を保管する場所みたいだな⦆
⦅ここにある魔物の素材はランク2だ⦆
⦅ランク3の魔物は違う場所に保管されてるのかな?⦆
⦅分からないが討伐した者がいない可能性がある、今まで冒険者を見ていたが昔と比べると人類は弱い、正直ランク3の上位levelを討伐できるものはいない⦆
⦅ランク3の上位levelの魔物はそんなに強いんですか⦆
⦅ロキ二等兵が討伐したネームドモンスターと同じぐらいの強さだ⦆
⦅えっ、ゴルバと同じくらい⦆
魔物ランク3上位levelの強さはゴルバと同じくらいと聞いて驚愕する。
ロキとエイラ少佐が頭の中で会話をしていると、床を転がすような音が聞こえ視線を向けると、ネームドモンスターが荷車に乗って運ばれていた。運んできてるギルド職員は緊張した表情で運んでいる。
ネームドモンスターが大きい木製のテーブルの上に置かれると、レイカさんやギルド職員が集まり、ウィリアムとハルカも近づいていく。ヘイロスに視線を向けると、ロキに気づいたヘイロスは。
「儂等も行こう」
ロキ、ドラン、ドレインは頷き移動を開始する。
レイカがネームドモンスターの前に立つと大きく声を上げる。
「ネームドモンスターの解体を始める前にロキ君に聞きたいことがあります。ヘイロスさんとドランからは報告は受けておりますが、何点か確認をさせて頂きます」
「はい」
「アカマツ村に出現したネームドモンスターを討伐したのはロキ君で宜しいでしょうか」
ネームドモンスターを一目見ようとしてたギルド職員が騒ぎだす。
「あ、あんな少年が倒したのか?」
「一人で戦ったわけではないだろう、止めを刺しただけでは」
「それでも凄いじゃないか、ネームドモンスターを討伐したのは数年ぶりじゃないか」
レイカが騒いでいるギルド職員に睨み黙らせる。そしてロキを見て深く礼をする。
「冒険者ギルドとしてロキ君ーーいえロキさんには謝罪とお礼をさせて頂きます。本来ネームドモンスターを討伐するのは複数のパーティーを組みます。一人の若い冒険者に危険なことをさせて冒険者ギルドとして謝罪します。そしてヘイロスさんやドラン、アカマツ村の人達を救って頂きありがとうございます」
ヘイロスが大きく拍手しお礼を言うと、それを皮切りに周りの人達も拍手をしてお礼を言う。ギルド職員の中にはアカマツ村出身者がいる、その者達はロキに大きく感謝していた。
ロキは照れを隠すため片手で頭を抑え軽くお辞儀をする。
「......いえ、俺一人では」
――レイカさんが一歩前を出てロキに話し掛ける。
「冒険者ランクをDランクに上げさせて頂きます。本当はBランクに上げたかったのに石頭マスターが許可できないと言うからごめんなさいロキ君」
「いえ十分です。さすがにEランクからBランクはまずいですよ」
「ありがとうロキ君。それではギルドカードをこちらに早速ランク上げの手続きをさせて頂きます」
「はい、お願いします」
ロキがギルドカードを取り出すと、レイカの傍にいた男性職員が受け取る。
「手続き時間が少し時間が掛かりますが、ギルドカードの返却は本日にした方がよろしいですか」
「明日以降でもだい大丈夫です」
「それでは明日に返却できるようにしときますので受付までお願いします」
「わかりました」
レイカが再度ロキに視線を向ける。
「では、次に風牙狼の報酬の一部をアカマツ村の復興費と言うことを、ヘイロスさんから聞きましたがよろしいでしょうか」
「はい、大丈夫です」
「それでは、ネームドモンスターの素材で装備の製作依頼をするのはーーウィリアムさんがいるから本当のようですね。それで素材を..半分は冒険者ギルドに売ることはできなーー」
ウィリアムが前に出てレイカの話しを遮る。
「――待ってもろう! 半分の素材を決めるのは早すぎる。まずはこちらが先にロキの新しい装備に必要な素材を選別する」
ハルカも前に出て発言する。
「お父さん毛皮、牙、爪、血液は絶対に必要よ。妥協は絶対に駄目! ネームドモンスターの素材で製作できる機会はもうないかもしれないんだから」
「任せろハルカ」
ウィリアムが力こぶを見せてアピールする。
レイカが困惑した表情でウィリアムに話す。
「牙、爪!? ウ、ウィリアムさん冒険者ギルドの立場も考えて下さい。どうか冒険者ギルドにも牙と爪をお願いします。血液も貴重なポーションが作成できますので」
「こっちも牙と爪は必要だ! 血液だって金属と混ぜるに使うから必要だ。素材の七割は必要かもしれない」
「な、七割! そんな困ります。ウィリアムさん元冒険者じゃないですか、もう少し冒険者ギルドにも素材をお願いします」
「昔のことは知らん。今は装備屋の武器職人だ。製作に妥協はしない」
レイカが懇願するようにロキに視線を向ける。
「ロ、ロキ君。もう少し多く素材を冒険者ギルドに卸して貰えないですか」
ロキは困った表情するが。
「レ、レイカさんごめんなさい。ウィリアムさんとハルカさんに最高の装備を頼みたいので、レイカさんの頼みでも駄目です」
レイカは泣きそうな顔をする。
「え~~そんなロキ君。買取金額を上乗せしますからお願い」
ロキは冒険者ギルドで何度かお世話になってるレイカを見て迷っていた。
ハルカが近づいて。
「ロキさんここはお父さんに任せましょう」
「任せる?」
「装備製作に必要な素材の確保はお父さんに任せましょう。お父さん任せていい」
「おう任せな! ハルカと小僧、嫌――ロキは先に帰っていいいぞ、ロキすまんがハルカを家まで頼む」
ロキが返事をする前にハルカがロキの腕を引っ張る。
「ロキさん行きましょう。後の交渉はお父さんに任せよう」
「えっ、ハルカさん。皆に挨拶がまだ」
ヘイロス達3人に視線を向ける。
「ヘイロスさん俺達はこれで帰ります。なんか、ウィリアムさんに任せることになりましたけど」
「若いの後の事は儂等に任せてくれ。また明日じゃ」
「じゃあなロキ」
「ロキまた明日」
ロキとヘイロス達が別れの挨拶をしてると、レイカさんの甲高い声が響く。
「ロキ君待ってぇ~。もう少し話しをしよう行かないで~ロキ君」
ハルカがレイカに視線を向ける。
「ごめんねレイカ姉さん。行こうロキさん」
ロキはハルカに引っ張られながら移動する。
「えっ、ハルカさんレイカさんの事知ってるんですか?」
「うんそうだよ。お父さんとレイカ姉さんは昔の同じパーティー仲間だから。一緒に遊んでもらったことがあるから姉見たいな人だね」
ロキとハルカが来た道を戻る感じで部屋を出ると。
「ハルカちゃん酷いロキ君連れくなんて、それにしても私の目に狂いはなかったわロキ君最高」
「相変わらずの年下好きだな。変態後輩」
「先輩面するな筋肉ダルマ」
ウィリアムとレイカは同じ冒険者パーティーの先輩と後輩の中で非常に仲が悪かった。昔も今もである。
ロキとハルカはグレーテル城塞都市の夜の街並みを歩いてた。新しい装備のことで談笑しながら歩いてマリ装備屋の前で止まった。
「ロキさんここまでありがとうございます」
「いえ、ウィリアムさんは頼まれましたし、一人では危ないですから」
「装備の製作時間に関しては明日の..午後でお願いします。お父さんも交渉で疲れてますから」
「交渉して貰うなんてウィリアムさんには悪いですね」
「お父さんが好きでやってますから気にしなくっていいですよ」
「分かりました。また、明日の午後い伺います。ハルカさん」
「はい。また、明日ロキさん」
ハルカから別れるとロキは夜空を見ながら歩いていた。
⦅ロキ二等兵どこに向かってるんだ⦆
⦅今日はまんぷく亭に泊まります。久しぶりに女将さんの顔も見たいし⦆
⦅嬉しそうだな⦆
⦅初めての装備の製作依頼ですから楽しみです。どんな装備ができるのかワクワクします⦆
ロキとエイラ少佐は他愛もない話しをしながら宿に向かった。
読んで頂きありがとうございます。
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