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キシローへのバッシング:2

「結婚して引退するなんて前時代なことするわけないじゃん、相変わらず会社には顔出すし、呼ばれればどこにでもいくよ」

 とは言っていたが、現実は違った。


 やっぱり女だったキシロー

 会社売却の金でセカンドライフ!張りぼてヒーローキシロ―

 結婚相手は金目当て?新婚キシロ―が幸せになれない理由


 など週刊誌の見出しは過激になり。そして一体誰が見出したのかは知らないが


 キシロ―偽造結婚?ホントにゲイなの?彼女の存在も

 FTMゲイは「やらせ」オンナノコ大好きキシロ―

 キシロ―、自閉症知人女性とお泊りの夜


 等、それはモモさんにまで飛び火したのだ。

 結婚相手があまりテレビを見ない人だったらしく、「必要性もなかったから、FTMゲイだって言ってなかった」のも火に油を注いだ。

 言い訳をするわけではないが、読者の注目が集まるものを書くのが新聞始めメディアの役目で。

 我が社もその限りではなかった。


 株式会社もんすたぁ 売却へ

 NPOみにこみゅでの活動を始めテレビ等で親しまれていたキシロ―の会社が○○株式会社に売却されていたことが発覚した。

 キシロ―の本名は渡辺泰恵、今回の売却で○○株式会社の株価は上昇、もんすたぁは○○の子会社化、経営者も変わる。

(◯日新聞より)


 といった感じで経済面でこそ淡々と描いている、問題は生活面だ。


 富山型より大きな枠で障がい者問題を捉え、少数者同士が連携すればもっとみんなが幸せになる、そうだろうか。

「障がい者も同性愛者も、ということで逆に『なんだ、私に関係ないじゃん』ってな感じで興味持ってくれる人が減った感じします」

 こう言うのは、あるゲイ男性だ。

「だいたい性的少数者は言うほど抑圧されてない、ただヘンタイなだけ。そんな異議申し立てなんかしなくっても楽しく生きれる」

 色々な少数者を受け入れる団体の存在に触れながら彼は言う。

「それになんか作ったって売れるの一握りでしょ?結局ネット言論でいうとこの自己責任論に陥って終わりじゃない?みんなとおんなじことできないのに人よりリスク背負ってどうすんだか」

 誰のことを言っているかわかるだろうけど、と彼は続ける

「あんなの目立ちたいだけなんじゃない?有名になれば会社の株価も上がるしね。結局少数者の味方なんかいなかったんだよ。言うか俺男って意味じゃ多数派だし」

(◯日新聞より)


 やがてそういった(彼女の名前は出さないまでも)彼のやって来たことを叩く投書を掲載したり、そういった論を展開する文化人にエッセイを書かせたり、まるで彼を今まで祭り上げてきたことが嘘か悪い夢でもあったように、それでいて週刊誌の見出しには相変わらず『拝金主義者キシロ― 次のビジネスは反貧困!?』などの煽情的な煽り文句が躍った。


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