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お馴染みのキシロー:6

 実際最初の『イッキ!キシロ―』では


 なんかでみたかわいそうな少数者じゃなくってさぁ、実際その辺を生きてるそういう人の話を聞けばいいのに。

 みんな話したくってしかたないんだよ?

 話してみれば、きっと何かに気づくから。


 と書いているに対し、最新の著『空の飛びかた』では


 何年もやってるけど、少数者と多数派の話し合いって終わらないね。

 紀元前ぐらいから男と女の話し合いをやっているのに終わらないんだし当たり前か。

 僕はこういった感じ(FTMゲイ)だから、両方の気持ちわかるでしょ?ってよく言われる。

 いや、わかんないよ、だからFTMゲイなんだけどね。

 それにしたって・・・。(以下中略)


 と書いている。

 今や彼女の発言力は弱いように思う。

 彼、いや彼女が「女装をして」男性と「法的にOKだから」結婚しているからではない。

 だから当事者ではない、というわけではない、と思う。

 当事者というのは少数者自身ではなくそれを囲む多数派も含めるのではないか?

 いやしかし、動画を見ている感じ(そして対談でお会いした感じ)キシローは普通の人間だ。ヒーローではない。

 そして普通の人間キシロ―がお茶の間に馴染むとき、ほんとうにそれは彼の望むように「少数者に理解ある」社会になった、といえるだろうか?

「テレビのせいでアウティングされる人とか、ただボーイッシュなだけなのに誤解される人とかもいるんであの番組もいいことばかりでもないですけど」

 ということは、けしてそうではなかった?

 彼がテレビに出たということでむしろ『彼ら』が奇妙な目で見られることも増えたとしても、それは彼を咎めるのではなく、テレビを見てわかったつもりでいるのに頭の固い我々こそ咎めるべきだろう。


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