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2話 命名

 

 太陽が昇ってきて朝の訪れを告げた


「ゴブ男、朝よ、起きなさい」


「うぅ~ん……わかった。今起きるよ」


 そう言ってゴブ男は上半身を起き上がらせた。

 そのまま立ち上がって食事台へ行くと、そこには、またしても大量の生肉があった……

 うわぁ、まだ2日目だけど、これもう飽きたんだよね。


「どうしたの?ゴブ男。早く食べなさい」


「あぁ、わかった」


「食べ終わったら、村長の所に行くから急いでね」


「あ……そう言えば、今日は僕に本当の名前が知らされる日だったね」


「えぇ、そうよ。ゴブ男、嬉しそうね」


「そりゃあ、ね、僕の本当の名前がわかる日なんだ、嬉しくないはずがないじゃないか」


「だったら、早く食べなさい、すぐに行きましょう」



 さて、相当に飽きて来た生肉をなんとか食べ切ると、両親はすでに昨日僕が行った畑とは逆の方向へ向かって歩いている。


 いろいろなゴブリンを観察しながら歩いていると不意に両親の足が止まった。


「村長、おひたしぶりです」


「おぉ、久しいのう」


「この子が生まれた時以来でしょうか、こうして話をするのは」


「そうじゃのお、いや~、この歳になると時間が流れるのが遅くての~、ずいぶんと長い時間がたったように思えるわい」


「そうですね」


「今日は私たちの子供が6歳になったので、村長に命名の儀式を行って貰いに来ました」


「そうかそうか、あの時の小さな子がここまで大きく成長したか

 それではな、この先に儀式用の魔方陣があるからの、そこへ向かおうか」


「それじゃあ、行きましょう」



 ちょっとだけ歩くと、何か地面に白い石や線があるのが見えてきた


「ここが、儀式の地じゃ。儀式はここに魔物の神であるヌラーテス様をお呼びして、6歳の子に名前をつける……という簡単なものじゃ、それでは始めるが、準備はよいかの?」


「はいっ、よろしくお願いします」


「では、始めるぞ」


 村長はそう言うと、魔方陣の目の前に立って両手を上げて何かをつぶやき始めた


 《我ら……の…命に…名を……たまえ。

  そして…運命を…切り開く……を授けよ》


 すると、魔方陣を作っていた白い石や線が紫と黒色に輝き始め、陣の中心に青年が現れた


 ---我が子よ、私の前に---


 我が子?ああ、そう言えば、昨日父さんがヌラーテスって神様が全ての魔物を創ったって言ってたもんな

 って、この人神様!?なんか普通だね。あっと、返事をしないと


「僕のこと?」


 ---そうだ、我が子よ---


 僕は言われた通りに近付いていった


 ---それでは、名を告げる、

  お前の名はヌラトードだ---


 ヌラトード?なんかヌラーテスってのと似てるな、あ……やばい。目の前の人がずっとこっちを見てる。早く返事をしないと


「はい、分かりました。今日から僕の名はヌラトードです」


 ---うむ、それではお前の運命を告げる、

  お前の運命は常に厳しいものとなるであるだろう。

  だが、その厳しい道を乗り越えればお前は何者にも負けない力を手にするだろう---


「はい、分かりました。必ずや乗り越えて見せます」


 ---ああ、期待しているぞ。 それでは、また会おう---


 そう言って青年(ヌラーテス様)は魔方陣の中に戻って行った


「……のう、お主ら今この子の名前をヌラーテス様はヌラトードと告げなかったか?もしかして儂はもう耳がおかしくなったのかの?」


「いえ、私も聞きましたよ……しっかりと」


「それでは、この子は、神の名の内の二文字を冠するということになるのか」


「ええ、そういうことになりますね」


「なになに、どうしたの?」


「そうか、ゴブ男……じゃなくて、ヌラトードは知らないよな」


「何を?」


「俺たち魔物はな、神であるヌラーテス様の名前の四文字……つまり、ヌとラとテとスの文字が名前に入っているということは特別な意味があってな、その文字があると種族を超越すると言われているんだよ。

 実際に一文字が入っている〈ヌッド様〉は魔物・巨人族【超越個体】で、“死の土装甲”とも呼ばれていて、もともと力が強く、頑丈な巨人族を超越し、その一撃は山を谷に変え、その装甲はあらゆる攻撃からその身を守ると言われているほどだ。

 さらに、お前と同じく、二文字を持つ〈ヨーテス様〉は魔物・アンデット族【超越個体】で、“不死身の頭脳”とよばれていて、体が骨でできているアンデット族を超越し、何度その骨を壊しても瞬時にその骨が元通りになるというまさに不死身であり、魔物の中でも最も数が多いアンデット族を完璧に指令を出すことで、コントロールし、その力を数十倍に高めているというアンデット族の王であり、頭脳なんだよ。

 他にもいるが、その数は少なく、最初に名に四文字のいずれかが入っていても、種族を超越できないことは結構あることなんだよ、つまり、非常に大変な道のりだ」


「じゃあ、僕も強くなれるの?」


「ああ、お前が努力をすればな。もしかしたらお前は小人族で始めての超越個体となるかもしれんな」


「そうなの?じゃあ僕早く強くなりたいな」


「それなら、明日から訓練所に行ってみるか?」


「いいの?」


「ああ、あそこは強くなりたいという意志があれば誰でも歓迎してくれるはずだ。

  しかし、訓練をちゃんと修めるまでは帰ってこれないぞ。それまでは訓練所にある寮に住むんだ」


「そっか、じゃあちょっと考えてみるよ」


「ああ、しっかりと考えるんだぞ」


「ヌラトードや、儂も期待しておるぞ。頑張るんじゃぞ」


「それじゃあ、私たちは帰りますね。村長様、ありがとうございました」


「おお、元気でな」


 そのあと、僕達は家に帰った。

 太陽はすでに落ちており、周りはもう暗かった。


「やっとついたな。今日はもうご飯を食べて寝なさい」


「うん、わかったよ」


「訓練所に行くかどうかは明日の朝までに考えておきなさい」


「うん」


 少し待っているとお母さんがご飯で来たわよ。と言って生肉を持って来た……


「さあ、食べようか」


 ぐは……もう無理

 そう言えば、訓練所に行けば生肉以外の食べ物が食べられるんだろうか?

 じゃあ、この地獄の生肉スパイラルから抜け出せるの…か?


「もう食べられないや、今日はもう寝るね」


「そう、わかったわ。おやすみなさい」


「おやすみ」


 さあて、明日は訓練所に行くことを伝えよう。

 ……主に食事の為に。


 そんなことを考えていると、何時の間にかヌラトードは寝ていた。




 


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