旅ログin博多2
旅行といえば、飯、観光。
もちろん必要。そのほかにも大いにモチベになるもの
宿だ。
仰々しく前置きしているが、カエはこの時間も楽しみにしていた。
外にぶらり食べに行った後の入浴。
後輩のセクハラ発言にはほんのり同性といえど引いたが飯を食べてハッピーな今の心持ち的にどうでも良い。
安めの学生でも泊まれるビジネスホテルといえど、大浴場付きを選んでいる。
後輩を誘っていくとしよう。
もちろんアメニティの浴衣を持ってだ。
スタスタと大浴場に移動しながらこんな会話。
「どうでも良い話するね」
「はい?」
「最近の漫画って女の子の入浴シーンは数あれど、男の覗きでキャッキャみたいなのなくなったよね」
「覗かれたいんですか」
「そんなに欲求不満じゃない!!!」
「……」
疑いの眼差し。
違うじゃん。あのワイワイとクラスメイトとか仲間がわちゃわちゃしてるのって楽しそうじゃん。
投げたいじゃん。チョッキくんに洗面器。
なんか微妙な雰囲気のまま大浴場前の踊り場につく。
お金入れるタイプのマッサージチェアで満喫してるボ部部員Cさんを発見する。アイマスクまでして寝の姿勢だった。
「満喫中?横にコーヒー牛乳置いて。気分良さそー」
写メを一枚撮ったあと、呟き女湯へ。
「あの人オッサンです?」
「私たちより年数重ねてるからね。明日イジってあげよう」
一つ上の同じ学年のお兄さんもあの調子だと、大浴場大満喫だろう。
「先輩、少年漫画のお決まりやります?」
「???うん」
お互い脱ぎながら。ピンとこないままカエが肯定で返すと鷲掴みでマナがカエの胸を揉む。
今までの人生でされたことがなかったので反射的に手が出る。
見事にマナの土手っ腹に腹パン。
「…か、かひゅ、せ、先輩。結構あるんですね。」
「あり過ぎても服とかに邪魔だからね!何すんの!マナこそ欲求不満なんじゃない?」
「スキンシップとエンタメですよ…」
「きゃーえっちー。こうはいちゃーんやめてーん」
意識してカエは棒読みをする。少年漫画のお決まりってこんなもんだろう。
揉まれたせいで取れたブラを脱ぎ、着替えに戻る。
息を整えたマナもそれに続く。
「セクハラされたからイジるけど、マナってないんだね」
「先輩の半分以下です!普段は体操とかブラとかパッドで努力して、普通にしてるんです」
「この会話マウントにしかならなさそうだからやめよう」
「その発言がすでに強者側ですからね!」
悔しそうな後輩の顔を見てとりあえず手打ちとする。
ここからはもう普通だ。散々したのでセクハラはできない雰囲気になり、旅の振替えりみたいな他愛もない話をしながらお湯を堪能して風呂をでた。
「あ…」
「寝とる…」
とっくに止まっているであろうマッサージチェアで寝息を立てているCさん。
チョッキさんが置いている空き瓶をみて、カエはオロナミンCを買う。
「コーヒー牛乳じゃないんですか!?」
「こっちの方がスッキリするじゃん」
考えられないと言った目で見られる。
チョッキくんもコーヒー牛乳だから定番ではないのかも知れない。
「この人起こします?」
「面白いからスルーで」
オロナミンCを飲みながら、寝息動画を回す。
温まった体にキリッと炭酸でアクセントが入りスッキリする。
早々に飲み終わり2人は部屋へと戻った。
「ねむいけどしとく〜?恋バナ」
「しませーん。編集します。」
「塩対応!なげたろか、枕」
「パソコン壊れたらシャレにならないので、絶対やめてくださいよ!?」
炭酸の効力も虚しく、風呂に入って一日の疲れがどっと出たカエはパソコンから狙いをずらして尻を狙って思いっきり枕で愛の鞭を打つ。
バスンといい音なったのに、後輩はガン無視。
つまらなくなったので寝る事にした。
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「おはようございます、先輩」
「ん、おはよ。マナ〜」
日中は見かけなかったマナのメガネスタイル。
雰囲気が違って少し賢そうに見える。
マナの布団のシワが全くないのが気になったので、流石に聞くことにした。
「寝た?」
「ベットじゃないところで寝落ちしちゃいまして。明日の投稿間に合わなさそうなんですっ!」
「応援することしか出来ないな。ラーメンちゃんが私を待ってる」
「2人でデートしてきてください。チェックアウトまで粘ります!」
「そうさせていただく。確かお土産用もあったはず〜」
動画投稿者的には締め切りの方が大事なんだろうとか思いながら、メイクを済ませて女子部屋から出てチョッキくんをむかえにいく
化粧をしていた30分程度じゃあ面白い動画にはならないとのこと。
「ゆっくり眠れたかい?」
「マッサージチェアで数時間ほどな。お前ら声かけたか?」
「んー、かけたっちゃかけたくらいの奴です」
寝起き早々中身のない会話が続く。
ホテルから出ると、朝の柔らかい光が2人を迎え入れる。
とは言っても9時過ぎだし。
コンクリートジャングルだしエモさはちょっぴり
なんでもない風景を2人で楽しむ。
二日目ともなればテンションも落ち着いて、会話が減ってくる。
「でな、あの店のオーナー仕込み忘れてて、その日のチャーシューの味が薄くて、代わりに入ってすぐの俺が常連に謝ってな」
「…へーたいへんだったんだねー」
高校2回目の二年生のバイトマンの苦労話もそこそこに。今働いてくれてるなら邪魔の一つしに行くけど、過去の話なんて大概面白くない。
なんというか眠くなる。
「一幸舎のうんちくとかあるの?男の子って設定とかラーメンとか好きでしょ?」
「すまん知らん」
「おもんな。チョッキくんトーク力マイナスね」
「嫌な先輩か?」
「1番の特徴は泡だった豚骨スープじゃん!あとあと低温調理のチャーシューとかね!」
「逆になんでそんなに知ってるんだよ」
「んふふ〜」
未知への探究の心は捨ててはいけないのです。
というか今昨日の店舗は通り過ぎて、本店へ向かおうとしています。
チョッキくんに黙って、無駄に歩いてお腹を空かせようとしています。
今から約1時間ちょい大掛かりな散歩です。マナには別に連絡入れておきました。
何駅か知らないけど心が折れたら、バスかタクシーに乗るのです。
「嫌な顔してるな」
「チョッキくん、朝抜いてるよね?」
「腹一杯ラーメン食いたいしな!」
「その言葉に二言はないね??」
「マジで怖いな!その確認!」
「んふふ〜」
ひたっすらに歩く。なんとなくで九時に出たは良いけど本店のオープンは十一時とかなのだ。
ならどうするか。時間を潰すしかない。
適当なラーメン屋で済まそうとかつまらない事を言う堪え性のない年上は無視して歩く。
土地勘ゼロをマップ頼りに散歩するのが、こんなにも楽しいのに無粋だなぁとは思う。
博多市内は楽しい。
大きな繁華街なだけあっていろんな店がある。
おむすび専門店の文字がちらり。
AIじゃない実際の写真が食欲をそそる。
「辛子明太子食わねえの、博多旅行としてちょっともったいなくねえか?」
むし
高菜豚骨専門店。
これも無視。無視をし続けるのも大変だ。
明太バターフランス。久留米牛のカツサンド。
ごぼう天うどん。ピザなどなど。
観光客の腹を刺激されまくる。
が、しかしカエは耐えた。途中で無視され続けていじけた相方の留年生はおにぎりやらカツサンドやらの袋を持っている。
食べ終わったくらいのタイミングで膝蹴りを八つ当たりでかましておく。
ここまで来たら意地なのだ。
何か食べたらありつけた時の喜びが薄れてしまう。
チョッキくんが食べている明太バターフランスの香りのせいで本当に限界ギリギリだ。
「っはぁ!ついたよ!博多の駅の近くになっちゃったけど!!!」
「カエ先輩達遅くないですか?たまたま客少ない日だったから良かったものの」
幸いにも待機列はなし。
空腹だし飯の誘惑にもこれ以上は耐えられそうにもない。
「何してたんです?」
「散歩」
「具体的に!」
「なんだろな。俺はグルメツアーみたいに食べ歩きしてたんだけど」
「…………途中から意地になって、飯テロ耐えきり我慢ラーメンしてました。蹴ってごめんねチョッキくん」
「バカですよね。そんなの千鳥さんの番組じゃないんですから」
「まーまー食べましょ!ね!」
マナとチョッキは目配せで逃げたなと会話しておく。
口に出すとまた八つ当たりされそうだ。
今までの苦労はよそに提供は迅速だった。
泡だったスープに桜色の大判のチャーシュー。
見ているだけで食欲がそそられる。というか今すぐに箸をつけたいが
まだ我慢だ。
マナが合流したと言うことは撮影タイム。
冷めるとまではいかないが、カットの部分までを撮り終えるまで待たされた。
サイドメニューの餃子と明太子丼も到着している。
やっとありつける。
そう思い、一口啜る。博多ラーメン特有の細麺にきめ細やかな泡の豚骨スープが絡み合い、香りがふわっと鼻腔を抜ける
麺の歯応えもバッチリで食べ応え十分。
レンゲでスープを掬い、口に入れる。
泡状になっているから濃厚なのかと思ったが全然女の自分でも食べれるくどくない濃さ。
なんなら今まで食べてきた中で一番のラーメンかも知れない。
トッピングのキクラゲも麺と一緒にたべる。
また違うコリコリとアクセントが楽しく、味に飽きない。
極限までお腹を空かせてたのですぐに麺を平らげてしまった。
カエは好きなモノは取っておく人間だ。
ヒッタヒタに汁に浸かった卵を一口でパクリ。
この食べ方を初めて教えてくれた人に多いなら感謝を。
卵の甘みと豚骨スープが美味しさを二乗以上にしてくれる。
スープまで飲み干し、完食完飲。ご馳走様でした。
耐えた甲斐がある。
「満足かー」
「ん、さいっこう!次はチョッキも我慢飯しようね!」
満面の笑みでそう散歩に付き合ってくれた年上の同級生に声をかけてる。
返事は特に聞いていない




