73話 みんなで里帰り
今日はキャットシルフィとワンカフェの定休日。
私はその定休日を利用して、同居人の3人を連れて実家に里帰りをすることにした。
⸺⸺ローザン邸⸺⸺
いつものように転送魔法で屋敷内の玄関に飛ぶ。
すると、いつものようにメイドのジェシーが出迎えに来てくれたけれど、いつもとは少しだけ反応が違った。
「お帰りなさいませ、シルフィお嬢さ……えっ、あっ、もしかしてそちらの方々が、異種族の方々ですか!?」
ジェシーはそう言って目をキラキラと輝かせていた。初めてこの話をした時以来、メイドさんたちはみんな他種族に興味津々だ。
「ただいま、ジェシー。そうだよ、今私と一緒に暮らしてくれてるお友だちを連れてきたの」
みんなはそれぞれ「お邪魔しまーす」「初めまして〜」などと挨拶をしていた。
「はわわわっ、ジェシー感激ですっ! しかし困りました、現在旦那様は大事な商談に出かけられています。そろそろお戻りになるかとは思うのですが……」
「それなら、お父様が帰ってくるまで待っててもいい? 紹介もしたいし、大事な話もあるから」
「はい、かしこまりました! それではお友だちの皆様、こちらへどうぞ」
ジェシーが客間にみんなを案内してくれる。途中ですれ違ったメイドのレベッカやエイミーもジェシーと同じ反応だった。
「あら、シルフィお嬢様、お帰りなさいま……えっ!? あ、も、申し訳ございません……」
「シルフィお嬢様ではあり……はっ、羽根!? あっ、耳! ツノ!?」
「あはは……ジェシー、後でみんなに話しといて。私の同居人だよって」
「そうですね、すみません、皆一目でいいのでお会いしてみたかったのです」
「それなら、シルのお父様が帰ってくるまでお話ししましょ。こっちも驚かれたままだとアレだし、それに、コーヒーとアップルパイも持ってきたから、良かったらどうですか?」
と、ローラ。
「よ、よろしいのですか!? 実は、いい匂いがするなと思っておりました……」
ジェシーはそう言って私たちを客間に押し込むと、嬉しそうにメイドのみんなに話をしに行った。
5分もしないうちに5人のメイドが客間へと雪崩れ込んでくる。ジェシー、レベッカ、ミシェル、エイミー、ブリンダ。私が生まれる前から働いてくれているメイドさんたちだ。
それぞれ自己紹介を済ませて、早速みんなでコーヒーとアップルパイをいただく。
「ん〜! サクサクでとっても美味しいです! 獣人族の方はお菓子作りが上手な種族なのですね」
「いや、それはちょっと誤解かも……」
私はあはは、と苦笑いをする。
「コーヒーも良い香り」
「苦味が深くて美味しいわ」
「ありがとうございます、気に入ってもらえて良かった」
ローラはそう言って照れてはにかんでいた。
「あ、あの……テオバルト様、その翼……本物なのですか?」
と、ミシェル。
「ははは、一応、本物ですよ。触ってみますか?」
そう言うテオに、私は思わず「えーっ、良いなぁ、私もずっと触りたかったのに!」と突っ込んでしまう。
「えっ、そっ、そうなの!? 早く言ってよ、ならシルフィも好きなだけ触りなよ……」
テオはそう言って恥ずかしそうに頬を赤らめていた。
人間族6人でよってたかってテオの翼をもふもふしまくり、次はローラのイヌ耳、最後はクウガの鬼のツノ……と、触られ放題の3人は若干引いていた。
「こんなに耳に興味を持たれたのは初めてだわ……」
「俺もだ……まぁ、初めて見るならこうなるよなぁ」
「ごめん、2人共、僕の一言で巻き込んじゃった……」
すると、ここでようやくお父様が商談から帰還し、玄関から「ただいま戻ったぞ」と声が聞こえてくる。
「旦那様、おかえりなさいませー!」
ジェシーがお父様を出迎えに行き、ようやく動物カフェのような時間が終わりを告げた。




