63話 頂点へ
クウガの相棒となった姫妖精は周りのフォローもあって、“ツキカゲ”の“月”より、“ルナ”と名付けられた。ルナも満足しているようで、一件落着だ。
ホークアイズ王から2通の親書を受け取って、次に私たちが向かった場所は地下都市ヴォルティスだった。
ニコラス王とホークアイズ王からの親書を小人王であるデイヴィット王に手渡し、一緒に玉座の間にいたルシールさんとダグラスさんにもケットシーたちの紹介をした。
ここでもクウガとテオが“炎海のダンジョン”を攻略するとのことなので、私とローラもワゴン販売をさせてもらうことに。
私は氷の魔石を使った魔導具を中心に、ローラは冷たい飲み物を中心に販売した。
クウガも大精霊の加護を授かったためか、わずか2日で炎海のダンジョンを攻略。そりゃ、あんな大きな真空刃を出せるようになったらね……。
そして、ピスキス王国から続いた長い遠征を終えて、懐かしのユグドーラ城へ。
みんなを出迎えてくれたオベロン王の第一声は「ケットシー増え過ぎでは?」だった。
⸺⸺
日常が戻ったある日のこと。
私とローラはユグドーラ城前でのワゴン販売を終えると、建築中の宿屋とお店の様子を見に来ていた。
「えっ、もうお店の方はほとんど終わってない!?」
私たちのお店兼シェアハウスは既に足場が外れていて、建築をお願いしているドラグーン工房の職人さんたちは外装に取り掛かっていた。
「おう、シルフィちゃんか」
そう言って話しかけてくれたのは、ドラグーン工房の代表のレギオンさん。建築のお願いをする時に話を聞いてくれた竜人さんだ。
「あっ、レギオンさん! すごい進んでてビックリしました! 中、入っても良いですか?」
「おうよ、好きなだけ見て回ってくれ。外装もあと数日で終わるからな」
「ありがとうございます!」
ローラと共に、カフェを開く予定の1階へと足を踏み入れる。
「ここが……私のカフェになるんだ……!」
ローラはうるうると涙ぐんでいた。だって、ずっと夢だったんだもんね、カフェを開くの。
「うん、後はカフェテーブルとか、家具を置いて完成だね! 家具系は私に任せて!」
「ありがとう、シル! 本当に……」
「おい、ローラ! 泣いてんじゃねぇぞ!」
と、彼女の頭の上にいたエフォット。ローラは慌てて涙を拭いていた。
「ローラ……」
「あはは、ごめんね。みんなの前で泣くのやだし、今のうちに泣いておいて良かったかも。2階の魔導具屋も見に行きましょ?」
「うん……!」
2階の魔導具屋もカウンターだけが設置されていてガランと何もないフロア。ここに飾り棚を何個も設置して、魔導具のサンプルを並べるんだ。
そして3、4階のシェアハウスへと向かう。3階が共用部分で、4階が個室になっている。
「うわぁ、すごいね! 私たちのお家!」
「すごいのだ、広いのだ」
私とファムは舞い上がってぶーんと走り回っていた。
⸺⸺その時。
「おっ、いたいた」
「シルフィ、ローラ!」
世界樹のダンジョンに挑戦していたはずのクウガとテオが下の階から上がってきたのである。
「クウガ! テオ!」
「あら、今日のダンジョンはもう終わり?」
ローラがそう言って首を傾げると、クウガとテオは私たちの眼前に金の勲章をぶらんと下げた。
「えっ、それって……!」
思わず心臓がバクバクしてくる私。前にテオが見せてくれた世界樹の銀の勲章と同じ紋様だ。
「『世界樹を制覇せし者の証』、つまり、世界樹の金の勲章だ……!」
「僕たち、遂にこの大陸の全ての巨大ダンジョンを制覇したんだ……!」
「もう!? すごいじゃない!」
「本当、すごい! おめでとう!」
私とローラは両手を合わせてピョンピョンと飛び跳ねて喜んだ。
「だったらクウガ、妹さん、助けに行こう!」
「おうよ、“ホノカ”っつーんだ。年はテオよりちょっと上の15歳だ」
「ホノカちゃんね、みんなで行きましょ? ツキカゲの里」
と、ローラ。
「あぁ!」
一旦ユグドーラ城へ戻ってオベロン王へ報告をすると、一刻も早くツキカゲの里へ向かうべく、一番近くのホークアイズの街へとひとっ飛びした。




