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妖精王の愛し子、世界樹のふもとで魔導具屋さん始めます!  作者: るあか
第四章 家族

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39話 償いと赦し

 私は庭の隅に山積みになっていた木材を使ってベンチを2つクラフトして、その場の全員に座ってもらった。


 そして、ディグさんが改めて口を開く。

「私たちは近衛をしながらにはなるが、農園を作ろうと思っているんだ。コーヒーの木の農園だ」

「おぉ……!」

 と、安らぎ亭の一同。そっか、ローラのカフェをサポートしようって決めたんだ。ローラは「ウソでしょ……!?」と、とにかく驚いていた。


「ウソじゃない。これから農業やコーヒーの勉強をしてからになるからすぐにとはいかないが、いつかお前に認めてもらえるようなコーヒー豆を栽培したいんだ」

「抹茶のスイーツ……えっと、かき氷、だったわよね? それも販売しているのをさっき看板で見かけて、茶葉も育てようって話になったの」

 と、イリナさん。ディグさんが続く。


「これで(ゆる)してもらおうなどとは思ってはいない。こんな私たちに嫌悪を抱くのであれば無理せず否定してくれ。私たちは当然の報いだと思って受け止める。ただ、これから先、お前に寄り添うにはどうすればいいか考えた結果が、農園だったんだ」

「お父さん……」

「お前が私たちの豆を使うか使わないかに関わらず、私たちは豆も茶葉も栽培する。気が向いたらで良い、金などいらないから、私たちの育てた豆を使って欲しい、どうか、頼む……」

 ディグさんは深く頭を下げる。それに続いて家族やラウルさんも揃って頭を下げた。


「みんな……。お金は、ちゃんと払うわ。シルとの間でも、ここはちゃんとしようって決めてお金の発生するところはお金でやり取りしているもの。だから、収穫できるの、待ってる……」

 ローラはそう言って涙を流しながら微笑んだ。そっか、ローラは赦すことにしたんだ。

 一斉に顔を上げて笑顔になるご家族たち。

「ありがとう、ローラ!」

「ローラ、ありがとね、お母さんあなたのために頑張るからね」


 それからみんなで“世界樹かき氷”を食べて、ローラのご家族は帰っていった。


⸺⸺その晩。安らぎ亭の寮、202号室。


 コンコンと扉を叩く音がして玄関の戸を開けると、ローラが何か温かい飲み物を持って立っていた。

「まだ寝てなかった? 大丈夫?」

「うん、今シャワー浴びたところだよ。どうぞ入って」

「お邪魔します」


 ローラは紙コップをコトンと机の上に置いて、その場に腰掛けた。

「これね、ゆず茶って言って、ゆずにはちみつを入れた飲み物なの。まだ私がシルよりも小さい頃にお母さんが作ってくれてたのを思い出してさ、作ってみたんだ」

「おぉ、ゆずはちみつかぁ、ありがとう!」


 ふーふーと冷まして少しだけすすると、ゆずの程よい苦さとはちみつの濃厚な甘さが口いっぱいに広がり、全身がほわ〜っと和んでいく感じがした。

「ん〜、あったまりますなぁ♪」

「ね、あったまるでしょ? ……シルにはさ、改めてお礼を言いたくて」

 ローラはそう言って嬉しそうにはにかんだ。

「私、大したことしてないってば」


「だって、族長たちの前で泣き叫んだんでしょ? 大したことじゃない」

「あぅ……恥ずかしい……。掘り返さないで……」

 私が渋い表情を浮かべると、ファムはふざけた口調で「『私、こんなに絵が上手になったんだよ、こんなに美味しいコーヒーが淹れられるようになったんだよって、そう言いたいかもしれないじゃん……!』って泣き喚いていたのだ」と言った。


「ちょ、ファム、ちょっと言い方に悪意があるって! 私そんなアホみたいな言い方してないもん〜」

 そう言ってふてくされると、ローラは「あはははは!」とお腹を抱えて笑っていた。

「シル、そんなこと言ったんだ……!」

「ねぇ、もう恥ずかしいからこの話やめようよ〜」


 私が駄々をこねる隣で、ローラは「ううん」と首を横に振った。

「やめない。だって……その言葉、図星だもの」

「ローラ……そっか」

「私も家出しちゃった手前、どうせ帰っても『何で帰ってきたんだ』とか言われちゃうのかなって思ったら怖くて帰れなくてさ。それに、私だって今となって考えてみれば、みんなみたいに強くなれないからって、途中から稽古をサボったりしちゃってたのも悪かったよなって、反省している部分もあるの」


「本当は、お家、帰りたかったんだ?」

「うん……帰りたかった……。でも、帰れなかったの。一人で生きていかなくちゃって、そう思ってた。だから、家族のみんなに怒ってくれてありがとう。シルのおかげで私、家族がそんなに反省してたんだって、知ることができた。家に、帰れるようになった」

「ローラ……良かった。んーでも、私よりもオベロン陛下にお礼言ったほうが良くない?」


「あっ、オベロン陛下! 陛下って、初めから私がカーネ族だって知ってたって事よね……? わざとコーヒーを持っていってくれたのよね……?」

「んー、よく分かんないんだよね……。でも、旅行のガイドブック持ってきてたから、多分知ってたんだと思う」

「明日、一緒にお礼を言いにユグドーラ城まで付いてきてくれない? 後、オベロン陛下にお願いもあるのよね……」

「うん、良いよ」

 お願いって何だろう……? まぁ、明日になれば分かるか。


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