第3話 伝説の薬
「そんな薬…本当にあると思うのか?」
市立図書館の奥、埃をかぶった古い本が並ぶなか、
僕は伝説の薬に関する本をめくっていた。
目の前の老人…この市で唯一の民間薬学研究者は
呆れたように言っていた。
「ジャングルの奥深くに眠る、どんな病でも治す薬…古い言い伝えだ。夢物語だよ、そんなもん」
「でも…本当にその薬が必要なんです!」
僕はまっすぐに言い切った。その目は迷いはなかった。老人はしばらく黙ったまま、新を見つめる。
やがて、ため息混ざりに棚の奥から一冊の
古びた地図帳を取り出した。
「この中に、薬の伝承に関する記述がある。場所は…
"霧のジャングル"。危険な土地だ。一度行ったものは、誰ひとり帰ってこなかったといわれている。」
「それでも行きます」
迷わず言い切る新の姿に、老人は目を細めた。
「…ほんとうに誰かを救いたいという目をしているな。ならば、鍵だ。薬を得るには"試練の扉"を開く鍵が必要になる。地図だけでは足りん。」
「鍵…?」
「この世界に散らばっている。"鍵を探せば、お前の覚悟も試される"そう書かれていたよ」
新はそっと、地図帳をバッグにしまった。
流那を救うために、進むしかない。
霧のジャングル…伝説の薬…そして、鍵。
流那を救う。そのためなら、どんな道だって進める…
僕は、そう決めた。
(#4に続く)