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ストーカー三昧・浪曲、小話、落語  作者: 多谷昇太
講談(1)お力
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源七に殺されても本望

ではなぜそう云ったかと申しますと、それはやはり父・祖父からの因業を解消できなかったことと朝之助に添うことができなかったがゆえ…なのがお力で、方やの一葉で云えば職業作家になれなかったことと、言文一致ならぬ作品と人生の志が一致できなかったがゆえの無念、御霊の彷徨いということに相なりましょう。

 また補足しますれば先の方の一姿、すなわち源七がお力と一葉の自分への思い入れの象徴であったらば、その自分に、思い入れの強さに自分が殺されることもまた、肯ずる範囲内であったのではないでしょうか?

 さてところで半井桃水氏の名誉の為に云っておきますが、氏が実生活において源七然としていた…などということは一切なく、往時の一時いっとき経済的困窮に陥っていたのは事実ですが、一葉との間柄は師弟としての、あるいは良き友人としての矜持を保ち続け、剰え一葉の具体的な作家デビューを誘ったのはまさしく彼、半井桃水であったのです。氏は博文館の乙羽氏へ一葉を紹介し、この大橋が出版していた文藝倶楽部に作品が載って、始めて一葉は職業作家への緒を得たのでした。文豪、森鷗外や幸田露伴が一葉を知ったのもこの掲載を通じてのことでした。文豪、森鷗外や幸田露伴が一葉を知ったのもこの掲載を通じてのことでした。それゆえ、半井桃水こそは一葉の大恩人であったのです。その師・桃水を、仮初にも源七のモデルとして想起したのであれば、一葉は決して自分を許せなかったでしょう。ゆえに自分に、お力に、源七をして匕首を当てることと相なったのでありましょう…。

 しかしわたくしはこのような一葉が、引いてはお力が愛しくてなりません。耐え難い貧窮に抗しながら、また己の業に立ち向かいながら、時に2者が存外の道に踏み込むのは、これは致し方のないことでした。

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