表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/173

87話 ドリル

「ん?」


「どうしました?」


「いや、誰かに見られてる気がして……」


「誰かって、誰です? ただの学生2人にそこまで興味ある人なんて、いないと思いますけど……」


「……それもそっか」


 視線を感じたような気がして窓の外を見てみるも、誰もいなかった。彩梅ちゃんの言う通り、そんな人はおらず、俺の勘違いだったんだろう。


「それでこの後、どうします?」


「あんまり長居するのもアレだし、そろそろ帰ろうか」


「えー、別の所に遊びに行ったりしないんですか~?」


「もう良い時間だし、宿題も委員会のしないといけないこともあるからね。あと俺の場合は家の手伝いあるし」


「そうですか……。あ、じゃあ」


「何?」


「次、一緒に出掛ける予定を取り付けてもいいですか?」


「いいけど……そこまで俺と遊びに行って、彩梅ちゃんは楽しいの?」


「楽しいと思っているから誘っているんですけど……センパイは何か問題が?」


「無い、けど……」


 彩梅ちゃんが以前、夏頃に言っていた「彼氏いない」発言から考えて、この“お出掛け”は彩梅ちゃんにとってのデートの演習みたいなものだと思っていたけど……どうなんだろう。


 男とのデートの演習というか、練習なら他の男とかと出掛けた方がサンプル数というか、より多くの状況を考えることができるとは思うが……うーん……。女の子の考えることは分からん。


「……で、いつ、どこに行きたいとかあるの?」


 考えていても仕方がないので話題を続けた。


「そうですねぇ……明日、明後日くらいに、水族館とかどうですか!?」


「明日も明後日も学校があるし、放課後に日帰りで行ける水族館とか、この近くに無いよ? それに今日、委員会を休んだから、なるべく平日に予定入れるのは……ね?」


「それは……そうですね」


「行くところを変えるか、水族館に行くなら……こっちは土曜日にちょっと予定入れてるから、日曜ならいけるよ」


「土曜は何か?」


「委員会の仕事をしようと思ってて」


「センパイ的には土曜よりも日曜の方が良い感じですか?」


「日を替えようと思えば替えてもいいけど、日曜で問題無いなら日曜が良いかなって感じかな。そこまでこだわっても無いけどなんかこう……委員会の仕事を休みに入れる時は土曜にするっていう……自分ルールというかルーティンというか……そんな感じのヤツだね。土曜の方が良い?」


「いえ……アハハ。ちょっと、気になっただけで、センパイが良いなら日曜日でも全然大丈夫です!」


「そっか。じゃあ日曜日に」


「分かりました!」


 女の子と2人で外出して、そしてその子と次のお出掛けの予定を作る。まるで青春の一幕だ。


 実際は、ただ親友の妹の何らかの目的に、それを知らされず付き合わされているだけなんだけど。


 ま、俺の灰色の青春に色を差してくれているのだから、もう少し付き合おうか。彼女と一緒にいることで、俺自身の実への気持ちを意識しないで済む、というのもあるし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ