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鳥型魔獣

「ご主人様が甘やかすので困ってるんです」


深刻そうな声とは裏腹に愉快な見た目のギャップに思わず噴き出してしまいそうになる。


だって、そこにいるのは白いふかふかの丸。

いや、球と言うのが正しいだろうか。


とりあえず、事前に鳥型魔獣だと聞いていなければ、喋る丸い物体にしか見えない。


「ご主人様が大切にしてくれているのはわかるんです。でも、運動もせず、毎日美味しい物だけ食べていたら、この有り様で」


おそらく、しょんぼりしているのだろうが、如何せん目の前にいる球体はどちらか前か後ろかもわからない。


「この間、久しぶりに飛ぼうとしたのですが、体が重くて……」


「飛べなかったのか!?」と思わず口をついて出そうになった言葉を何とか飲み込む。


「飛べない鳥なんて、油でカラッと揚げて食卓に並ぶしか、もう役に立ちませんよね」


すごい自虐をしているが、魔獣の肉は不味いから。死に損だから。言わないけど。


それにしても最近、主人が魔獣を甘やかして結果的に健康を害するケースが増えてきている。


出来ることなら、早期に適切な指導をしたいところだが、ここ魔獣労働基準局に来る時には、大抵今回のように取り返しがつかなくなっていることが多い。


何故なら、主人は甘やかすことで満足し、魔獣は甘やかされることに満足して結果、体に異常が起きるまでは双方とも問題がないと思っているからだ。


とりあえず、相談者の主人を呼び出し、今後は甘やかさないように厳重注意をして、相談者には今後の食事と生活習慣を主人とよく相談するようにアドバイスしておいた。


これで解決するといいのだが……。


私は一抹の不安を感じながら、白い球体を頭にのせて去って行く主人の後ろ姿をそっと見送った。


そしてまた、次の相談者がやって来る。



ここ魔獣労働基準局は、いつでも門戸を開いて悩める魔獣の皆様をお待ちしております。


(了)

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