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君だけが俺をユイと呼ぶ  作者: shiyushiyu


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第39話 再会

 ――私はどうしたいんだろう?

 ユイと一緒にいたいのに、ユイの邪魔は絶対にしたくない……

 さくみとかゆかりちゃんとか、吉岡と名乗ったあの美人といる方がユイは幸せになれる気がする。

 何よりも、私といるとユイは過去に囚われてしまう……


「私はユイの傍にいちゃいけない人間なんだ……」

 この懐かしい草原だった場所も、もう――

 あぁそうか……

 過去に囚われてるのは私の方なんだ……



<今どこにいる?>

 なんでユイはいつもいつも……

 このままじゃ私はユイから離れられないじゃない……


 なのに私は返信してしまう……


 心のどこかで、ユイにこの場所に来て欲しいと思っているから……


 ●


 白石からは返事が来た。


 吉岡とのことは失敗したけど、白石とのことではもう失敗しないようにする。

 そう思っていたのに……


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「朝倉くん」

 塩田に呼び止められた。

「ちょっと相談があるんだけど……」

 俺は塩田の相談に乗る約束を前にしてたからな……

<悪い。塩田に呼ばれた。また今度話しを聞いてほしい>

 これだけ送って俺は塩田と店に入った。


「白石さんのことなんだけど」

「あぁ。俺もちょうどさっき連絡したところだ」

「え? そうだったんだ。ごめんね?」

「いや全然? それで?」

「連絡してたなら意味ないかもしれないけど、みんなでタイムカプセルを埋めるって言うのはどう? って提案しようと思って」

「なるほど! それなら当初からの予定だし、白石も来やすいかもしれないな!」

「私から誘ってみるよ。朝倉くんからよりは来やすいと思うから」

「あぁ。頼むよ」


 ●


 私はズルい女だ……


 朝倉くんと白石さんの接点を少しでもなくそうとしている。


 少しでも自分に可能性を引き寄せるために……


 このマフラーも、少しずつ形になっている。

 早いなぁ……


 ずっと編んでいたかったな……


 編み終わったら今度は渡さないといけないんだよね。


 朝倉くん……受け取ってくれますか?


 ●


「ちょっといいか」

「誰かしら?」

「俺は朝倉の友人の落合だ。ちょっと聞きたいことがあるんだ」

「未来の私の旦那のお友達ね! 今から懇意にしてて損はないわね!」

「心の声が全て声に出てるぞ。それから、吉岡って言ったっけ? あんたはヒロインレースに参加できないよ」

「何を言ってるの?」

「朝倉の心はずっと白石のものだ。今も昔もな」

「そんなの絶対に許さない! はるくんが私に何をしたのか! 私の全てを奪ったのよ? 絶対に許さない! 白石さんを殺してでもはるくんと一緒になるわ!」

「そんなの俺がさせるわけねーだろ?」

「誰も私を止められないわ!」

「こんなこと言いたくねーけどさ。あんた、どんどん朝倉に嫌われるぞ?」

「何で私が嫌われるのよ! 好かれるなら分かるけど嫌われるいわれはないわ!」

「言っておくけど。好きになるのに理由ってないんだぜ? けど、嫌われるのには必ず理由があるんだ」

「……私はどうすればいいの?」

「まずは小学校の頃に何があったのかを教えてくれよ。あんた自身も過去からもう抜け出さなきゃいけないだろ?」

「私を解放してくれるの?」

「俺や朝倉に依存しなけりゃ自然に解放できるはずだ」

「落合くんって言ったわね」

「あぁ」

「私ははるくんを苦しめていたのかしら?」

「苦しめていたし、苦しめたかったんだろ?」

「そうね……彼を苦しめることで、過去の罪を忘れさせないようにしてただけね……でもあれは罪でもなんでもなくて、私がフラれたことを受け入れられなかっただけ……そのせいで河村くんは私たちの目の前で自ら命を断った……私は……取返しのつかないことを……」

「後は私に任せて」

「佐々木? ついてきてたのかよ」

「落合は1人で何でもやる癖があるからね。キミはさくの傍にいるってゆー大事な役目があるからね」

「あのなぁ。俺は塩田のことをいつもからかってるんだぞ?」

「それでも傍にいてあげなさい。この子の傍には私がついているから」


 ●


 俺はそこにもういないと分かっていたのに、白石がさっきまで居たという場所に立っていた。

 あの神社から近い場所だった。


 辺り一面に茶色い景色が広がっている。


「ここって……夏場なら草原になっているんじゃ?」

「そうだよ?」

 背後から声がした。

 振り返らなくても声の主は分かる。


「白石……」

「ユイ……来てくれたんだね」

「白石。ここは、小さい時に俺や白石が一緒に遊んでた場所か?」

「そうだよユイ。全部忘れちゃったんだね」

「だから白石はそんなに嬉しそうで懐かしそうな顔をしてるんだな」

「ユイはいつもそうだよね。コンの顔見ただけでコンが何を考えているのかを当てる。ズルいよ」

 あ……最初に白石が俺に言った、ユイはズルいって言葉。あれはそういう意味か……



「来て」

 そう言って白石は先を進む。

 開けた場所から木がまばらに生える場所に進み、更に木陰が増える……


「やっとここで再会できたね!」

 にこりと白石が微笑む。


「ここって、何かあったのか? いや。あったのは何となく分かるが、何があったのかが思い出せないんだ……」


「あったよ」

 白石の顔から笑顔が消えた。

「ここには、全部があったよ……」

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