第23話 意外な不思議
駅前に着くともうみんな揃っていた。
「おせーぞ」
落合がが言うと、そうよー。と佐々木が悪ノリした。
佐々木はショーパンにシャツというラフな格好だったが、とても可愛かった。
ついつい見とれてしまう。
今日はみんなで電車に乗って行く。
思えば、誰かと一緒に電車に乗るのは、前に白石と乗ったっきりだ。
あの時はまだコンとユイの関係だったな。
俺たちは2人だけの世界にいた。
「考えごと?」
隣に立つ佐々木が声をかけてくる。
「え? いや。ただぼーっとしてただけ」
「朝倉ってたまにここにいないことあるよね?」
「は?」
意味が分からず聞き返すと、ふふふ。と笑われた。
その笑顔がもう可愛い。
「なんかみんなといるのに、考えごとしてるような感じの時あるから」
「そうか?」
よく見てるな。
頭が痛くなったり、草原の光景が頭に浮かんだりしてる時のことだろうな……
「なぁーんか私たちに隠しごとしてるんじゃないのぉー?」
にやーっと笑いながら、上目遣いで見てくる。
心臓が跳ねた。
俺、今顔赤くなってないだろうな……
「そんなのないに決まってるだろ?」
「だよね」
ふふふ。と笑いながら正面に向き直った。
まだしばらく心臓がドキドキしている。
●
駅に着くと目的地の神社へ向かった。
この神社には霊が出るとかなんとか。
俺としてはオカルトすぎて興味もわかない。
そういえば、小さい頃にも同じようなことをした気がする……
確か白石と。いや、コンと。
「小さい頃に似たようなことしなかったか?」
みんなに聞こえないように、ヒソヒソと白石に聞いてみる。
「……」
白石が口をポカンと開けてこっちを見る。
「どした?」
後ろにいた落合が聞いてくる。
一瞬白石から目を話したすきに、白石の表情は元に戻っていた。
「いや。霊とかって夜にならないと出ないんじゃないかなって思って」
このセリフ。小さい頃に白石に言っている。
絶対だ。
間違いない。
俺は小さい頃に白石と一緒に霊探しを――
いや、もっと子供っぽい遊びだ。
お化け探しをしたことがある……
チラリと白石を見るが、白石の表情からは何も分からない。
「確かになー。でもそれならそれでまた1つ疑問が浮かぶな」
空を見上げながら落合が俺の言葉に応える。
「なんで夜なんだろうな」
確かに。
こんなに薄暗い場所なら昼間に霊が出てもおかしくない。
「夜の方が恐怖心を煽るからよ」
白石がピシャリと言った。
全員が足を止めて白石を見る。
「なに?」
みんなから注目を浴びるとは思っていなかったのだろう。
逆に不思議そうに白石が全員を見る。
「白石さんの意見すごく説得力があります」
塩田だ。
「さーくーみー」
白石が塩田の肩に腕を回す。
肩を組むような形だ。
「敬語やめなって言ってるでしょ?」
ツンとおでこを指で突く。
背の高い白石と背の低い塩田。
何もかもが正反対の2人が、こうして仲良くしている光景を見るのは不思議だ。
「ごめんなさい」
おでこをさすりながら、また塩田は敬語で話す。
「なーに見とれてるの?」
隣で佐々木が俺に声をかける。
「いやー。こうも正反対の2人が一緒に居るのが不思議だなーって。不思議探し同好会の中の不思議だよなー」
「うまいこと言うな!」
落合が肩を組んでくる。
さっきまで白石が塩田にしていたことだ。
「こっちも不思議だよな?」
こっち。と言って、落合と俺を交互に指さす。
「ポンコツと出来過ぎだもんな」
俺が言うとすかさず落合が突っ込んだ。
「誰がポンコツだって?」
全員が声を上げて笑った。
確かに、俺がこんなに笑うことも不思議だし、俺にこんなに友達ができたことも不思議だ。
俺にはもったいなすぎる友達だ――




