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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
4章 奈落の底編
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恵の手伝い

更新します。今回は一旦、ネスクサイドの戻らせていただきました。

 廊下を進み、二階への階段を上がった。

 二階へ上ると右角を曲がった突き当りの教室。『生徒会室』と書かれた教室の中から話し声が聞こえる。

 元々の目的地も此処だ。盗み聞きをするのも何だから、ノックを三回してから引き扉を開いた。


「失礼します」


「生徒会へようこそ、大朏君!!せっかくの昼休みなのに呼び出しちゃってごめんなさい。」


 大歓迎をしてくる恵が入ると、謝ってきた。


「良いって、別に。困ってるときはお互い様だろ?」


「大朏君……ありがとう」


 俯きながら小さい声でいう恵。そういう恥ずかしがっている所は昔のまま。生徒会長になり、生徒の見本となった今も根の部分は変わらない。


「それでは僕はこれで失礼します。」


「あ、河野君。報告をありがとうございます!」


「いえいえ、生徒への被害が無くて良かったです。彼らへの処罰は先生方がされると思いますのでご内密に」


 生徒会長の机の前にいた生徒がこちらにやって来るので扉の前から退いた。


「あ、そうそう言い忘れていました。お二人とも、くれぐれも学校の風紀は乱さないでくださいね?

あと、お二人でじゃれ合うのは二人きりの方がよろしいですよ?見ているこちらが恥ずかしくなってしまいますから」


 メガネをくいっと持ち上げた後ウインクをして、いたずらっぽく言う。少し間が開いた後、恵の頭がボンっと音を立てた。


「ちょ、ちょっと、河野君!!わ、私たちそんなんじゃありませんから!!!」


「ははははっ――では。」


 俺のクラスのクラス委員長の河野海斗は爽やかな笑顔を残して去っていった。

 河野がいなくなると、「あうあう……」と声にならない鳴き声のような言葉を言う恵と二人きり。男なら誰しも憧れるような展開ではあるが、今は当初の目的を達成しよう。




「これで全部か?」


「何から何までありがとうね。全く、あの二人とは段違いだよ………」


「まぁ、あの二人も忙しいからな。」


 持ち上げた束のプリントを職員室まで運ぶ。元々恵は孝希と好太郎にも頼んでいたが、二人ともそれぞれの理由で断られたらしい。

 孝希は、昼の練習。好太郎は野暮用。

 孝希の方は部活の大会が近いこともあり、昼にも練習に精を出していることは分かる。だが、好太郎の方は確実にサボりだろう。いつもの事だ。


「ねぇ、来月の第一の土曜日なんだけど。予定とか、ある?」


 何か予定はなかったか、を頭の中に入れているスケジュールと照らし合わせるが、特に検索に引っかかる予定はなかった。

 まあ、その前日まで期末テストのため予定を入れる余裕なんてない。

「んー、特には無いな。強いていうのなら家でゴロゴロ?」


「それ予定じゃないよ!なら、お買い物に付き合ってよ」


「買い物に?」


「そ、買い物に!」


「ああ、いいぞ?」


「えっ!本当に!?」

 グイッと顔を寄せてきた恵。顔が近いため溜まらず顔を逸らす。


「ここで嘘言って得する奴なんていないだろ。」


「むー、その言い方はマイナスかな(けど……やった!!)」


「一体何が!?」


 ご機嫌になった恵がズンズンズンズンと進んで行ったため何がマイナスだったのか大朏には分らなかった。


 * * * * * * * * * * * *


「へー、じゃあ。兄さんとななみん二人で出かけるんだー」


「まだ二週間先だけどな」


 ハンバーグに切り込みを入れて口に中に放り込んだ。口の中に肉の旨味がぎっしりと詰まった味が広がる。

 ご飯をかき込んでよく噛み、呑み込んだ。


「けど、良いよねー。兄さんはー。」


 はあとため息をこぼした小夜。

 小夜は今年、受験生である。狙っている高校は俺の通っている高校である。

 まだ前期とはいえ、決して油断出来ない。

 その事を理解している小夜は色々と自粛して勉強に精を出している。


「来年合格したらどこにでも連れてってやるから、がんばれよー小夜ー(棒読み)」


「そこはもっと感情をこめてよ、兄さん!!」


「ま、勉強がんばれ。そうすりゃ、お土産は買ってきてやる」


「わーい、ありがとー(棒読み)」


「そこはもっと感情こめろよ!」


「「……ぶ。あはははっ!!!」」


 小夜と二人で思わず、笑いがこみ上げた。こんな、ふざけた会話ができるのも、小夜がいるからだ。

 今日は、夜勤で母さんがいない。

 こんな時、(きょうだい)のいるありがたみが分かる。


「それじゃ、部屋にいるから。何かあったら呼べよ」


「可愛い妹が添い寝してあげよっか?」


「……ばーか」


 大朏はそういうと、リビングを出て二階の自分の部屋へ向かった。



「そういえば、兄さん気付いているのかな。これって…………デートだよね。」


 リビングに残った小夜の言葉通り『デート』なのだが、大朏は全く気付いていないのであった…………。

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