表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
2.5章 様々な思惑、動き出した運命の歯車
198/347

女子会<パジャマパーティー>

更新します。


「プッハ~!さっぱり♪」



 頭、体を洗った後、浴槽に飛び込んだ。

その勢いで、張った湯船が豪快に流れ出る。

 まるで中年親父のようなその言葉……。


「さよちゃん行儀悪いよ」

「良いの良いの!自分()なんだから!

それよりナナミン恥ずかしからずに早く早く!」


 まだ脱衣場にいた恵がおずおずと入ってくる。

 粘っていたが諦めた様子で、ボディタオルを前に隠しながら扉から入ってくるナナミンの顔はほんのりと赤く染まっていた。



 結局のところ、男二人は、帰宅。


 当然といえば当然。


 敢えて言うのであれば、好太郎先輩は残る気満々であったが、孝希先輩が無理矢理引きずってお持ち帰りした。

 明日も部活で朝の五時から――らしい。


 マリアは一度戻ってからまた来るみたい。

 自分のお泊まりセットでも持ってくるのかな。


 そして、ナナミンは、お泊まり決定!

という訳で女の子のみのお泊まり会となった。



―――私達は、一緒に入浴中である。


 ナナミンは一人でと言っていたが、私が強引に風呂場に連れ込んだのだ。

 二人で一緒にお風呂なんて本当に子どもの頃以来。あの頃と比べると、成長したと目の前のナナミンを見て実感する。


「シャンプー借りるね。」

「どうぞどうぞ。遠慮せず……」


 私はぷか~と顔だけ出して、湯船に浸かる。

 ナナミンがごしごしとボトル式のシャンプーを泡立てて長い髪を洗っていく。


 艶のある黒髪が泡まみれ。

その泡立った髪を優しく擦る。


 髪を洗い終わると、シャワーで泡を流す。

 水気を含んだ髪で頭を振る。

そして次は体を洗う。


 ボディタオルを使い丁寧に体を磨く。

 足、足裏、ふくらはぎ、太もも、と下から順番に洗う。


 色白い肌に実った果実がたわわと揺れる。


「どうかした?さよちゃん。

さっきからずっと気になるんだけど……」


 恥ずかしがりながら体を手で覆い隠す。

谷間が強調されて男子だと完全に


―――鼻血ブシャーッ!


な事になりそう。


「なんでもないよ~!

ナナミン肌綺麗だな~と思って。

何か特別な事でもしてるの?」


 シミ一つ無い綺麗な背中がぷかぷかと

浮かぶ浴槽の前に見える。


「そう?別に何もしてないかな~」

 

 何もしてなくてその肌の綺麗さ。

 人によっては嫌みに聞こえそうだ。






「ふぅ~、温まるな~♪」


 ナナミンが浴槽に入ったことで更にお湯が溢れていく。

 二人で向かい合いながら体育座りで浸かる。

 元々浴槽は二人で足を伸ばせる程広くはないので仕方がないが、


昔は二人で入っても余裕がある大きさだった事を覚えている。


「ナナミンさ、

コウキセンパイとは変わらないの~?」

「え?何が?」


 ナナミンがきょとんとしている。


この様子からして無自覚なのはうかがえる。

「普通、告白して断ったら気まずいと思うんだけどな。」


 幼馴染から告白。そして、断れば、

誰しもその後が気まずいと思う。

 そういう話は友達からもよく聞くことがある。

 でも、今日の感じではそういう気まずいという感じは全く感じられなかった。


  いや、それどころか以前と変わらないと感じるくらい自然体であった。


「ん~。まあ、一年前の話だし。

一年経てば、お互い気持ちの整理は付くと思うよ。」


 人差し指を頬に軽く当てる仕草をする。


「ナナミン達、おっとな~♪」


「高校は、大人だと思うよ。さよちゃん。」

「クラスの男子に子どもっぽい奴、いるよ?」


 クラスに女子がいるにも構わず、女子の体についてあれこれと話していたり、ふざけ合って窓を割ってしまって先生に怒鳴られたりと、高校生にしては子どもっぽい側面をよく見掛ける。


「男の子はそういうのあってもいいと

おもうけど。

 子どもっぽいところとカッコつけるところのギャップに萌えるんだよ?」

「ナナミン。将来、結婚する人に甘々に甘やかしそう。」


 頭の中に夫を膝枕して甘やかすナナミンの姿が鮮明に思い浮かぶ。

 今からでもナナミンにてこ入れをしておく必要がありそう。



****



 お風呂から出ると同時くらいに玄関のドアが開く音がした。


「あ、マリア!お帰り!!」


「お帰りって……。

まあ、いいや。お邪魔します。」


 リビングと扉からタオルで濡れた髪を拭きながらマリアに挨拶する小夜。

 玄関に立つマリアの服装は、制服から変わっている。

 リラックスできるような服。

 薄い生地のワンピースの上に長袖の白い上着が羽織っている。

 膝丈までのスカート。

桃色のワンピースが今の季節にピッタリ。


 寝間着にも、外出用にも使えそうな可愛らしい装いが彼女らしい。

 そして、片手に鞄を持っている。

 恐らくお泊まりセットなのだろう。


「お風呂は?」

「入ってきたよ。もういつでも寝られる!」

「えぇー!もう寝るの?早くない?」


 現在、十時過ぎ。

寝るにしては、少し早い。


「そう?私はいつもこの時間に寝てるよ?」

「早っ!」


 思わず驚いてしまい持っていたタオルを落としてしまった。


「それで、サヨのその格好は?」

「え?パジャマだけど」

「それ、着ぐるみじゃ‥‥」

「あ、マリアさん。じゃなかった。

まりちゃんお帰り」


 風呂場から出てきた恵が小夜の背後からひょっこりと顔を出す。


「ナナミンせんぱ、……い?

……先輩も、ですか。」

「まりちゃん何も言わないで。」


 頭から湯気を上げるナナミンの格好は可愛らしい虎をモチーフにした着ぐるみのようなパジャマ。対して私は、白うさぎをモチーフにしたパジャマ。ポテポテしたその可愛らしい衣装に衝動買いしてしまった代物。


「それじゃ!パジャマパーティー!!

レッツ、スタート!」

ちょっと話が長くなりそうなのでもう一話追加で書きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ