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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
2.5章 様々な思惑、動き出した運命の歯車
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精霊とハニワさん

更新します

 

「ネ~スさ~ま~!!」


  休憩を終えしばらく森の中を歩いた先にポーアがいた。その後ろには回収した少女三人がいる。

  えーと確か、ドルイドの『フィアール』、カラス人の『ネラ』、そしてキツネ人の『マロン』だったな。


  ポーアの背後に隠れるようにいる。


『ポアポア~!おっひさ~!!』

『から元気~?』


  ネスクの背後からネモとペーレが空を飛んで

 ポーアの周りをくるくる回る。


―――だから、空元気なら帰れ!


「ネモ様に、ペーレ様!?お二人とも元気になられたのですね!良かったです。」


 二人の元気な姿を見たポーアが笑う。


「‥‥‥‥ネスク?」


  ルリに服の端を引かれた。思わず、三人の仲良くする姿に惚けていたみたいだ。

  惚けた頭をブンブン振ってから思考を切り替える。


「ポーア。一度家に戻ろう……!

こんな人数じゃ身動きが取りづらい。

こんな状態で魔物に囲まれたら‥‥」


――どこから魔物が飛び出るか分からない状況。

 動きの取りづらいところで魔物に囲まれたら守り切れない。例え俺、ポーア、ネモにペーレがいたとしてもだ。


「そうしましょう。日も暮れてしまいますから。‥‥戻りましょう!」


  家のある方へと向かう。

  先頭をネスク、後方をポーア。左右にネモとペーレを配置し、四人の間に子ども達を取り囲んだ陣形。

  子ども達は離れるのが不安なのかポーアから離れようとしないが。


「ネス様、いつの間にルリちゃんの他にパルメちゃんとフルールちゃんを手なずけたのですか?」

「ん?そう見えるのか?」

「はい」


  ルリが俺の後ろの服の端を握っているのは、

 森に入る前からであったが、


―――今はルリに加え、

左右にパルメルスとフルールがくっついている。


「飲み物をあげてからこんな調子。まあ慣れたがな。」


  ぎゅっと左右から捕まれて動きづらいが無理やり剥がすのも可哀想という事でこの状態。

  コアラにしがみつかれる木の気持ちがよく分かった気がする。





――しばらく歩くと、


  雨も止み、雲の合間から東に沈みかける夕日が見える。雨の香りを運んで肌を指す冷たい風が吹く。そして、視界が開ける。


「ヘクチッ!」


  背後で誰かがくしゃみをした。

 これは早々に風呂に入る必要がある。


  だが、その前に目の前に広がる状況を説明してほしい。


「おおっ、おぬしら戻ったか!

 無事で何よりじゃ!」

「ネスク様!!」

「ポーア様!!怪我などはありませんか!?」


  ミレドにクーシェ、カレンさん。

 先に討伐組が帰っていた。

‥‥‥‥先に戻って来ているのは肩の力が抜けたような思いなのはいいのだが、‥‥何だ。

 この惨状は‥‥。


  三人は血で真っ赤に体が染まっている。

 おそらく返り血、だろう。にしては肌の色が真っ赤になって、全身真っ赤のちょっとしたお化け。

  そして、その三人の背後には何事も無かったようにハニワさん『試作品1号』がいるのだが、ハニワさんの周りの土は盛り上がり何かが焼いたような跡だけが取り残されている。

  おそらくここにも魔物が来たことは想像するにかたくない。なのだが、


  魔物の残骸が無くなるくらいの攻撃。

 俺、そんなに魔法をハニワさんに入れた(インプット)したかな?


―――してない。絶対に!


「狩りの成果でもみるかのう?」


  血濡れた手で(俺があげた)ブルモーの魔法鞄を取り出した。牛の革にも血がべっとり。

  思わず顔が引きつった。


「とりあえず、ミレド達全員。今すぐ‥‥風呂に行ってこい。」


  びしょ濡れのポーア、ルリ、パルメルス、フルール、マロン、ネラ、フィアールの七人。

  そして、真っ赤なお化けこと、ミレド、クーシェそしてカレンさん。


  総勢十人。

 これくらいなら今の風呂にギリギリ入れるだろう。


  だけど、その内、




――大銭湯を作る必要性があるな。


「そうですね。先にお、ふろ?に行きましょう。ミレド様達もですが、わたくし達も早く体を温めなければ風邪ひいちゃいます。」


  ポーアが先導して皆を家の裏手の風呂場に連れて行く。さて、俺は‥‥


―――もちろん一緒に入る。


―――んなアホな事やってるなら、ハニワさんを作れ!


  俺の中で『理性』が『野性』をぼこぼこにしている。と、そんな事は置いといて。


 ハニワさんに近付く。


  そして、触れると製作者権限でハニワさんの情報が頭の中に入ってくる。


「‥‥やっぱり。」


  ハニワさんの情報を閲覧して驚愕した。

 俺が入れていない魔法がいつの間にか組まれていた。ハニワさんは土器。生物ではない。


  それがどういう意味を持つかというと、

―――土器であるハニワさんが自分で作った。


  という事だ。つまり土器が自分で考え()()したという事だ。

  機械で例えるなら、人によって作られた頭脳の無い機械が命令に無い行動を取ったという事だ。


  理由に全く心当たりがない。


 その事がネスクが驚いた理由。


『ネスネス~何それ~?』

『おもちゃ~?』


  振り返るとネモとペーレが空中にふわふわといた。ポーア達と一緒に行ったのではなかったのか。


「ああ、これは通称『ハニワさん』。ここ、聖域に近付く危険な魔物を狩るために作った土器だ。」


『へえ~、ネスネス~

 おもしろいこと考えたね~♪』

『つちせいれいさんも~居心地良さそう~!』


  ん?今なんて言った?


「つちせいれい?」

『そうだよ~それ~、居心地がいいのか~

 土精霊さんが中に~入ってるの~

 あれぇ~?

 ネスネス~気づいてなかったの~?』


 つち、せいれい‥‥


 土せいれい‥‥


 土、聖霊。‥‥土精霊?


『ネスネス~土精霊さんのために~作ったんじゃないの~?そのおもちゃ~』

「いや、全く。全然。これっぽっちもそんな事考えて作ってない。」


  精霊の事なんて考えず、俺が考えた事をそのままの形で作っただけだ。


――でも、これで謎が解決した。


  つまり、土精霊が中に入ったことでハニワさんの機能を向上させこの惨状を作り出せる程の魔法を生み出したという事だ。


『中にいるのは~。ん~と、

 土の眷族みたい~これも~珍しい~』

『土は~頑固者~♪滅多にその眷族も~ヒトの前には姿を見せないんだ~♪』


  そんなに珍しいのか。

 俺は土精霊の『属性精霊エレメント・フェアリー』を知らないからどういう性格なのかも知らない。

 二人の反応からして珍しいのだろう。


「そういや、お前らの仕事って?」


 話を切り換える。休憩時に言っていた事を思い出したからだ。その内容次第では俺もネモやペーレの力になれそうだ。


『ん~と、どうしよ~?』

『ペーレはいいと~思うよ~。

 ネスネスは信じられるから~』


  二人が顔を見合せてそう言う。二人が言いづらいということは、精霊間でも結構な極秘の内容なのだろう。


『まあ、い~や♪王様から~『眷族ちゃん』達の格をもっと~あげるように~言われたんだ~』

『なんか~近い内に、大きい嵐が起きるみたい~』


  二人の話では全く分かった。

 格を上げる?嵐?


  言語が違うのかと思えるくらい話の筋が見えない。でも、一つだけ分かったことがある。


「精霊の格って、そんなに簡単に上がる物なのか?」


  前に濃密な魔力の中で精霊の格は成長すると言っていたが、そんな簡単に上がるのならばそこら中に『属性精霊エレメント・フェアリー』がいるのではなかろうか。


『ん~ん、普通はムリ~』

『ムリ~』


  やっぱりな。


『でも~聖域(ここ)なら~できるかも?』

『かも?』


  んんん?


  新たな疑問がさらに生まれ、

 ネスクの頭の中を疑問符でいっぱいにする。

 三人とも首を傾げる謎の空間が広がった。

血塗れの少女が増殖。

ホラー映画で出てきそうですね。その内、血塗れの少女達が魔物達を狩り尽くしていくのでしょうかね。(苦笑)


ヒャーーッ!!(想像して悲鳴)

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