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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
2章 亜人連合国騒乱編
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北の森『フォルン』攻略作戦会議

 

「―――さて、ここからは作戦会議じゃ。」


  朝食をした時と同様、円を描くように囲み、座っている。俺の隣が―――右にミレド。左にポーア、そして向かい合う形でクーシェの順番。

  精霊の二人(ペーレとネモは、折角広げた透き通る羽を広げて空中にいる。

  あの男は、取り敢えず【水面鏡】を使い、例の牢屋へ送り込みそこの兵士に任せた。


「ペーレ、ネモ。グラスの様子はどうじゃ?」


『えーとね~、あのおじさん達は~、‥‥‥‥‥うん、鎧来た人と、戦ってる~』

『あっちこっちで~、戦って~、入り乱れてる~、たいへ~ん!!』


  二人が団長に付けた『眷族』からの情報をミレドに伝える。


「グラス団長達は、『戦闘中』ということですね‥‥。どの位の距離ですか?」


『えーっと~、北に~、2、3くらい?』


  北に2、3kmか。男の情報では拠点もそれくらいだった筈だ。しかし、肝心な情報が抜けていて特定まではムリ。

  質問をしたクーシェも難しい顔をしている。勘の鋭い獣人族のクーシェでもこの反応、ということは探すのはとても難航しそうだ。

 

「ふむ、北に2、3kmか。‥‥となると、この辺の森かのう。」


  ミレドが地面に簡易的な地図を描いていく。

  手の平ほどの大きさの石が俺達がいる街。そこから少し離れた所に石を置く。

  これが今、団長達が展開している戦線。そしてその背後の部分に丸を描く。この丸の何処かに本拠地がある。


「うーん、この辺りはまず、ありません。」


  ポーアが描いた円の北から北東部分の円を消す。


「何故じゃ?」


「この辺りは動物を食べる肉食系の植物が生息しておりますので、ドルイドの方は殆ど出入りしません。下手に刺激すればこちらが襲われる危険もございます。」


  確かに危険だ。そして場所はないな。

 ふと、決闘の際に兵士の一人が使った魔法が浮かぶ。あんな植物がいっぱいの所に行くのは勘弁したい。そして敵側もその事は理解している筈。


「‥‥‥‥成る程のう。これで絞れたか。まだ可能性では捨てきれぬ所が多少あるが、優先には問題無いのう。

 じゃが、まだ課題が残っておる。」


「隠蔽された結界の発見か?」


「そうじゃ!」


  人避けの結界か、魔除けの結界といった所か。

 これを突破しなければ、敵へ強襲がまず出来ない。


「結界って簡単に分かるのですか?」


  クーシェがミレドに質問する。

 結界についてはこの中でミレドの方が詳しい。


「うむ、その結界にもよるが、熟練されたモノ程難しくなるのじゃが、それでも綻びは何処かしらにある。例えば、こう魔力を空気中に流せばノイズのような違和感のある箇所があるとか、のう。」


「‥‥‥‥」


  あると思われる箇所は北から北西。絞られたとはいえどそれなりに広範囲。

 何とかならなくもないが、一人でこれはきつい。


「何か思いつきましたか?ネスク様。」


  考えをまとめているとポーアが覗き込む。


「ああ、‥‥‥‥思い付いたといえば思い付いた、かな…。ミレド、この範囲一帯に結界は張れるか?」


  円で囲んだ北から北西部分を指差す。


「うーむ、張れなくもないが‥‥、ここまで広範囲じゃと媒体が無いから薄い結界になってしまうぞ。敵からの一撃でパリンじゃ!」


  ミレドがパリンという言葉と一緒に両手を一回叩く。聞くからに、耐久は求められないか。


「それで十分!次、クー。

 この辺一帯の魔力探知は出来るか?」


  俺は別の役割を果たさなければいけないため、この探知の役割はクーシェに任せた方が良い。


  クーシェが無理なら俺がその役割を果たすのみ。俺の疲労がどこまで蓄積されるかわからないが‥‥‥‥。


  クーシェは考え込む。無理なお願いをしているのだ。その返事を時間は待つ。


「‥‥‥‥自信はありませんがやらせていただきます!私のお力でネスク様のお力になるのであれば!!」


  クーシェの強い意志が宿った瞳。彼女の瞳は、真っ直ぐで自分の信念を貫く。そういったモノを感じさせられる。

  クーシェとアイコンタクトを一度だけすると次にポーアへと移る。


「ポーア、神器は使えそうか?」


「はい、いつでも‥‥‥‥!」


「ポーアは敵兵士を足止め。それ以外では、主に味方への援護を頼む。」


  敵の残存戦力が未だに未知数の部分がある。結界の破壊をした謎の兵器、魔物を生み出す魔道具など。

  予想外の事態に備えて一人はいつでも動けるように手を開けておきたい。担い手としてはポーアが一番合っている。

  秘術を使え神器の所有者となった彼女なら。


「承りました。ネスク様もお気を付け下さい。」


「ああ、他の皆も気を付けろ。」

「はい。」「うむ。」


  最後に精霊二人に目を向ける。

 ここが最も肝心な所だ。


「ネモ、ペーレ。お前達にも手伝ってもらうぞ。」


  精霊二人、恐らく今回の作戦の要だ。


『何するの~?』

『どうするの~?』


  二人は今からする事に愉しさを膨らませて俺の周りを飛び回る。

「二人には俺と一緒に『()』を降らせてもらう。」


  二人の頭に?でいっぱいになる。

『どいうこと~?』『わかんな~い!』


「やればその内分かる。さあ、攻略開始だ!」

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