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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
2章 亜人連合国騒乱編
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属性精霊と精霊二人

 

「属性、精霊?」


  ポーアの頭には、?マークがいっぱい。

 俺も人の事を言えないがその謎キーワードが気になる。


「ポーアは精霊にも、魔法と同じで『色』、

 いわゆる属性が存在する事は知っておるかのう?」


  ミレド先生の講義が始まった。


「はい、存じております。

 火、水、風、雷、土、光、闇‥‥‥ですよね。」


「うむ、その通りじゃ。一般的に知られておる精霊の属性は七つ。

 ―――――ああ一応いっておくのじゃが、よく勘違いされがちで記されておらぬ属性【無】と呼ばれる属性もある。これを合わせて全部で八つあるのじゃが、今は説明は省こうかのう。」


「そうなのですか!?」


『そうだよ~』

『精霊王様だ~』


  へえー、精霊王は【無】属性なのか。

 これはこの世界で知られる情報の中で初めての情報なのでは‥‥。


  「うむ、無属性は妾の知る限りでは、あやつだけじゃ。‥‥‥‥話を戻すぞ。

属性精霊エレメント・フェアリー』とは、この七つ、八つの内、一つの"()()()()()()上級精霊"の事を指していうのじゃ。」


  えーと、つまり、今までの情報をまとめると、

 こういうことか。

  まず、下級精霊は高濃度の魔力から生まれ、その元で何百年もかけて中級、上級と自身を昇華させていく。そして、自然の力を振るう事が出来るようになった精霊が『上級精霊』。

  更に昇華かこの世に生まれ出た段階で自身の色。つまり、属性が発現する。その属性を極めた上級精霊が『属性精霊』と呼ばれるようになるというところか。


「ネスクとポーアは理解が早くて助かるのう。

 そして、『属性精霊』となった精霊は自身と同じ属性の下級精霊を自身の『眷族』。つまり、弟子のようにする事が出来るのじゃ。」


  あれ。俺、声に出してた?

 まとめる事に必死で全然気付かなかった。

 ポーアも何とか飲み込めたようだ。

 流石は姫様だ。

 クーシェは、‥‥‥‥全く聞いていない。

  すりすりする事に絶賛夢中。あとで教えよう。

 クーシェの事だから教えればすぐ、覚えるだろう。人族の言葉をほんの数ヵ月で覚える位なのだから。


  あれれっ?そういえば、ポーアは人族の言葉を最初から普通に使っていたような、

 どこで覚えたのだろうか。


「『眷族』という事は親子のような関係なのでしょうか?」


「うむ、近いが、少し違うかのう。どちらかというと、人族の貴族が用いる寄親(よりおや)寄子(よりこ)の関係に似ておる。

属性精霊エレメント・フェアリー』はその力で寄子となった()()()()()()()()()()を与える。寄子の下級精霊は寄親の『属性精霊』の力となり、自身の力を蓄えて寄親のために活動するのじゃ。」

 

「‥‥‥‥成る程、理解しました。」


  ポーアは納得のいったように頷く。


「‥‥‥‥で、その二人の精霊はネモとペーレの寄子、じゃろ?

 格はおそらく『()()』かのう。上級にしては魔力量が少ないからのう。関係を契って日も浅いのじゃろう。中級精霊ならば、力を分け与えたその日に人型に変わっても不思議じゃないかのう。」


『『そうだよ~、ねぇ~♪』』


  二人が顔を見合わせて綺麗にハモる。

『あと~、ペーレのと合わせて~、もう一組いるんだ~』

『緑の人達に~、付けてあるんだ~♪』


  二人がグラス団長達の動向を知っていた事がこれで解決した。寄子の精霊からその動きを随時教えてもらっていたという事か。

  緩そうなしゃべり方と裏腹に流石は上級精霊。


「その二人とは話せるのですか?」

『うん!話せるよ~、けど~』

『人見知りなんだ~、この子達~♪』


  ポーアの問いに二人が答えると寄子の精霊二人へ視線が集まる。しかし、そこには寄子二人の精霊の姿がなくなっていた。少し目を話をしていた隙に姿を消せるとはまさに摩訶不思議である。

  ポーアは話せなくて少し残念そうにしている。この様子だと、ポーア達ドルイド族にとって精霊族はそれほどまでに話しをしたい種族のようだ。

  ついでに俺も、ネモとペーレに聞いてみたい事がある。薄々分かっているのだが、一応本人達からの口から聞きたい。


「ネモ、ペーレ。一応、お前達の(属性)を教えてくれるか?無理なら良いのだが‥‥。」


『ペーレ、いいよね~?』

『ネスク、良い人~、だから~いいと思う~』


  二人が俺の回りをくるくると回る。


『今から見せるから~、見ててね~!』

『とっておきのいっちゃうよ~!』


  くるくる回っていた二人が上空へと飛び上がる。


『私は~『()』だよ~、こんな風に~!!』

  ネモがそういうと芋虫のように地面を這っていた茶髪の男の体が宙に浮く。風で男の体を持ち上げているようだ。


『そ~れ、そ~れ!ぐるぐる~♪』


  ネモがその小さな手を上に持ち上げてぐるぐる回すと男がぐるぐると回り竜巻のようになる。


「ぎゃあああああ!」


  男は悲鳴を上げて竜巻のように回転する風の渦の中で叫ぶ。


「まさに自然の猛威じゃのう。」

「‥‥‥‥そうですね。きゃあっ!!」

  ミレドはその光景を少し遠い目で見つめる。ポーアは竜巻で持ち上がるスカートを手で押さえる。俺も踏ん張らないと少し持っていかれそうだ。クーシェを抱えているというのもあるが。

  さすがにこの事態でクーシェも頬擦りをやめてがっしりと俺にしがみつく。


『次~、ペーレは~あわあわの『水』だよ~』


  ペーレがシャボン玉サイズの水玉を両手に作り上げる。両手の水玉と体の大きさがほぼ同じ大きさだ。その水玉をフウーと吹いて竜巻発生中の場所の方へと飛ばす。


『弾けて~、まっざれ~♪』


  どっか聞き覚えのあるセリフをペーレが言った後にペーレがパンッと両手を()()叩く。

  ボンッと竜巻を取り込むようにシャボン玉サイズの水玉が膨れ上がり()()な球状の水玉が目の前に出来上がる。


「あぶぶぶっ!!あぶぶぶっ!!」


  男が回転しながら水玉の中で溺れている。まるで洗濯機の中の洗濯物のようだ。

 この後、あの男はピカピカになって干されるのであろうか。それこそ、キレイな◯◯イアンのように心を洗濯されるのかな。


『こんな感じ~』

『パーン♪』


  ペーレが再び両手を()()叩くと球状の水玉がパーンと破裂してその水がこちらに押し寄せる。


「【異次元箱ディメンション・ボックス】」

「「きゃあああ!」」


  ミレドが【異次元の箱】を発動させて大量の水を別次元へしまい込むがそれでも幾ばくかの水は掛かってしまいクーシェ、ミレド、ポーア、そして俺はびしょ濡れとなる。

  ≪水も滴る≫とは正にこの事だ。


『どう~?』

『すごいでしょ~?』


  二人共自分の力を振るえて満足したといわんばかりに、良い笑顔。


「うむ、確かに、――――すごいのう」

「‥‥‥‥はい。」

「ああ、‥‥‥‥だが。」

「びしょびしょで気持ち悪いです。ヘクチっ!」


  クーシェの可愛らしいくしゃみの後、ネモとペーレの背後。竜巻と巨大水玉があった所にあの男がドサリと降って来る。ミレドの拘束魔法はあの災害のような物を受けても健在で男を縛っている。男はそのまま、口から泡を吹いて痙攣している。御愁傷様。

 両手を合わせて彼の冥福を祈る‥‥‥チーン。

 

流石は自然を操れる精霊族。

手加減しているとはいえ、強力の一言です。

そしてあの災害のような技を受けて生きているこの男。意外にタフですね。

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